REVIEW

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』エルシー・フィッシャー

『レディ・バード』の制作陣と、『ムーンライト』『ルーム』を手掛けた気鋭スタジオ“A24”が制作した本作は、エイス・グレード(8年生=中学3年/日本では中学2年生の年)の少女ケイラが主人公のキュートな物語。学校では大人しく無口で、友達もいないケイラは、ネットでは自分がホストを務める自作の動画をアップしていて、SNSに夢中です。家族はお父さんと二人暮らしですが、思春期のせいか、お父さんをうざがっています。この時期は家庭以外のところで居場所を見つけるのに必死になりがちですが、自分の居場所をまだ見つけられていないケイラは、勇気を出していろいろな人と関わりを持とうとしてもなかなかうまくいかず、日々の一喜一憂が描かれていきます。10代って自分の心の中ですごく戦っていて、学校や友達の世界がすべてという感覚がすごくリアルに伝わってきます。心の中ではすごく前向きなのに、実生活ではすごく臆病。笑いたくないのに笑ったり、人に合わせることに必死になって、本当の自分がわからなくなってしまう感覚は、世代を問わず共感できるでしょう。お父さんがどんなに娘に愛を伝えても、自分のいろいろな問題は、自分自身で消化しないと気が済まないのも、こういうお年頃の特徴ではないでしょうか。それが親離れの過程でもあって、ケイラの奮闘も観ていて愛おしいし、娘に突き放されながらも優しく彼女を見守る父の姿にもキュンとします。とにかくケイラがすごくキュートで、彼女の魅力的なキャラクターで悲壮感だけで終わらない作品になっています。切ないシーンもありますが、笑えるシーンもあり、心がすごく温かくなる作品です。

デート向き映画判定
映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』エルシー・フィッシャー

思春期独特の思考や行動の傾向をコミカルに描いていて楽しい映画ではありますが、多少卑猥な用語が出てくるので、エロ要素に敏感な人には気まずく思える可能性があります。エロチックなシーンはなく、言葉だけの問題なので、そこまで過剰に反応する人は少なそうですが、初デートで誘う場合は一応念頭に入れておいてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』エルシー・フィッシャー

中学最後の年を過ごしている主人公の物語なので、皆さんの世代にドンピシャなストーリーです。SNSに夢中になったり、同級生の顔色をうかがったり、人には言わないけれど、日々いろいろなことが気になって、心が傷つくことも多いでしょう。でも、本作の主人公が奮闘する姿を観ると、今はこんなに苦しくても、明るい未来がありそうだという希望が湧いてくると思います。

映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』エルシー・フィッシャー

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
2019年9月20日より全国公開
トランスフォーマー
公式サイト

© 2018 A24 DISTRIBUTION, LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

映画『8番出口』河内大和 河内大和【ギャラリー/出演作一覧】

1978年12月3日生まれ。山口県出身。

映画『キル・ビル Vol.2』ユマ・サーマン 俳優ファミリー特集Vol.2

親子、兄弟姉妹、親戚揃って活躍する俳優達をご紹介するシリーズ第2弾をお届けします。

映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 3名様プレゼント

映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ 3名様プレゼント

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 てっぺんの向こうにあなたがいる【レビュー】

女性初、エベレスト登頂に成功した、登山家の田部井淳子氏による著書「人生、山あり“時々”谷あり」を原案として映画化された本作は、実話を基にしたフィクション…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「映画アカウントで自分らしい距離感やペースをどう整えていけばいい?」

正式部員さんからいただいたSNSについてのお悩み相談におこたえしました。後半は…

映画『トロン:アレス』グレタ・リー グレタ・リー【ギャラリー/出演作一覧】

1983年3月7日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙 盤上の向日葵【レビュー】

“孤狼の血”シリーズの原作者としても知られるベストセラー作家、柚月裕子の同名小説を映画化した本作は…

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3 11月6日開催:トーキョー女子映画部マイソンと学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】(スイーツとお飲み物付)女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ
  2. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  3. 映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙
  4. 映画『女性の休日』
  5. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP