REVIEW

EO イーオー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『EO イーオー』

EOという名の灰色のロバを主人公にしたこの物語は、ロバの数奇な旅を通して人間のさまざまな姿を映し出しています。EOはサーカス団でカサンドラと一緒に芸を披露して暮らしていましたが、あることがきっかけでサーカス団から連れ出されてしまいます。その後も転々とするEOは、訪れる先々でさまざまな人間に遭い、時に振り回されながらも“我が道”を進んでいきます。
映画の公式資料によると、本作でEOを演じたロバは全部で6頭だそうです。6頭のロバの性格はさまざまで予測不能な状況での撮影は大変だったといいます。だから、カメラがロバの動きに合わせていったそうです。劇中では、EOはとても可愛く、賢く映っているのですが、背景にはそういった苦労があったんですね。EOはセリフを言わないながらも何かを語っているような奇跡的なシーンがあります。そんなシーンの数々はこういった苦労から生まれているのだと思うと、なお感慨深いです。
本作では、放浪するEOの周囲に現れる人間の自然な姿が映し出されています。相手がロバだからこそ、人間のそのままの姿が映し出されているように見えて、言葉で語らずとも多くを語っていて見事です。そして、EOの優雅な姿と比べると、人間がとても滑稽に見えてきます。一方、のらりくらりとした展開に気を抜いていたら、突然ショッキングな出来事が起きたり、イザベル・ユペール演じる貴婦人が貫禄たっぷりで登場したり、独特な空気感も魅力です。戦後のヨーロッパ映画界を代表する巨匠イエジー・スコリモフスキ監督による7年ぶりの作品をぜひご堪能ください。

デート向き映画判定
映画『EO イーオー』サンドラ・ジマルスカ

特別デート向けというわけではありませんが、好きな人と一緒に観て気まずいことはないので、2人とも興味があればデートで観るのもアリでしょう。ただ、派手な展開がそれほどないので、普段、起伏が激しい映画しか観ていない方を誘うには向いていないかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『EO イーオー』ロレンツォ・ズルゾロ

観て感じ取るタイプの作品で、ファミリー向けの動物映画とは少し違います。EOが可愛くて賢いので、観ていて癒される部分がありつつ、ショッキングな出来事でテンションが急に変わるところもあり、中学生くらいになってから観るほうが良いと思います。

映画『EO イーオー』

『EO イーオー』
2023年5月5日より全国公開
ファインフィルムズ
公式サイト

© 2022 Skopia Film, Alien Films, Warmia-Masuria Film Fund/Centre for Education and Cultural Initiatives in Olsztyn, Podkarpackie Regional Film Fund, Strefa Kultury Wrocław, Polwell, Moderator Inwestycje, Veilo ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド Mr.ノボカイン【レビュー】

痛みを感じない疾患を持つ主人公、ネイサン・カイン(ジャック・クエイド)は…

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド
  2. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  3. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  4. 映画『リライト』池田エライザ
  5. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP