REVIEW

生きる LIVING【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『生きる LIVING』ビル・ナイ

これは、黒澤明監督の『生きる』をリメイクした作品で、ノーベル賞とブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロが脚本を務めています。ビル・ナイが演じる主人公ウィリアムズは、長年役所に勤めていましたが、ある日余命宣告を受けます。残りの人生を本当の意味で「生きたい!」と感じたウィリアムズでしたが、いざ決意してもどうしたらよいのかわかりません。そんななか、役所の職員の中でも楽しそうに働いていたマーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に街でばったり出くわし、彼女と過ごす時間の中で徐々に、最期を迎えるまでの時間をどう過ごすべきかに気付いていきます。
本作は主人公の最期の輝ける瞬間を描いているだけではなく、とても現実的な面も映し出しています。人は余命がわかったところで、それまでの生き方をすぐに変えることはできません。また、先人からそのことを教わり、直後に生き方を真似ようとしたとしても、“日常”に毒されて空虚な毎日を送り、またその日常が空虚であることにすら気付かなくなってしまう恐ろしさを物語っています。だからこそ、物語に込められたメッセージを届けようという強い意志が伝わってきます。これは主人公と同じ老年者に向けた作品というだけではなく、若者にこそ向けた作品であるともいえて、ある種のクライマックスの後に描かれるシーンの重みを感じさせます。

デート向き映画判定
映画『生きる LIVING』ビル・ナイ/エイミー・ルー・ウッド

自分の人生観を振り返る機会を与えてくれるストーリーなので、これからの人生を共に生きようと思える相手と観て、感想を話し合うと良いでしょう。一方で、惰性で交際を続けているカップルは、このままではいけないと思うかもしれません。カップルとしてそれを望むか望まぬかは抜きにして、何らかの刺激はもらえると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『生きる LIVING』ビル・ナイ

キッズやティーンの皆さんにとってはまだピンとこない部分もあると思います。ただ、高校生や大学生など、まもなく社会に出ていく皆さんにはこれからの日々をできるだけ大切に生きるために頭の片隅に置いておいて欲しいことが本作には描かれています。興味を持ったらぜひ観てみてください。

映画『生きる LIVING』ビル・ナイ

『生きる LIVING』
2023年3月31日より全国公開
東宝
公式サイト

© Number 9 Films Living Limited


関連作

『生きる』黒澤明監督版

ブルーレイ&DVD発売中/デジタル配信中
Amazon Prime Videoで観る

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』「エリィアンズ」 GROTESQQQUE-グロテスク-【レビュー】

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で総作画監督を務めた錦織敦史が、監督、脚本、キャラクター原案を担当する本作は、「『好き』なものを『好きなだけ』詰め込んだ完全オリジナル・アニメーション映画」…

映画『男ともだち』原作者:千早茜先生インタビュー 『男ともだち』原作者:千早茜さんインタビュー

直木賞作家、千早茜のロングセラー小説を、主演に松岡茉優、共演に成田凌を迎えて映画化した『男ともだち』。今回は原作者の千早茜先生にインタビューをさせていただきました。

映画『ヴェリティ/真実』アン・ハサウェイ ヴェリティ/真実【レビュー】

本作の原作者でありプロデューサーも務めるコリーン・フーヴァーは、2023年にTIME誌で「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた人物…

映画『見上げてごらん』森田剛 見上げてごらん【レビュー】

夢を追いかける主人公が夢を叶えたり、夢に破れたりするストーリーはこれまで複数映画化されてきました。でも、本作は…

映画『ワンオペレーション』クリスチャン・スレーター クリスチャン・スレーター【ギャラリー/出演作一覧】

1969年8月18日生まれ。アメリカ、ニューヨーク州出身。

映画『RYUJI 竜二』柳楽優弥/萩原利久/JUNON(BE:FIRST) RYUJI 竜二【レビュー】

1983年、俳優の金子正次自らが考案し初主演を飾った『竜二』は、映画史に残る1作となりました…

映画『バイオハザード』ザック・クレッガー監督版:オースティン・エイブラムス ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『DIGGER/ディガー』『バイオハザード』『わたしの知らない子どもたち』など

今回もなるべくネタバレせずにお話していますが、何も知らずに観たい方は映画をご覧になってからお聞きく…

映画『クレイフェイス』トム・リス・ハリス クレイフェイス【レビュー】

DCコミックスのヴィランを主人公とした、強烈な描写による本気のホラーです…

映画『ザ・ハウスメAIド 』ミーガン・フォックス ザ・ハウスメAIド <服従>【レビュー】

性能の高いフィジカルAIが続々と誕生している昨今、本作のストーリーは一層現実性を帯びてみえます…

映画『BOSS/ボス』チョ・ウジン/チョン・ギョンホ/パク・ジファン BOSS/ボス【レビュー】

ボスの座を争う話は数あれど、本作はどうしたらボスにならずに済むかというストーリーで…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』「エリィアンズ」
  2. 映画『ヴェリティ/真実』アン・ハサウェイ
  3. 映画『見上げてごらん』森田剛
  4. 映画『RYUJI 竜二』柳楽優弥/萩原利久/JUNON(BE:FIRST)
  5. 映画『クレイフェイス』トム・リス・ハリス

PRESENT

  1. 映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』リズワーン・シェイク
  2. 映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ
  3. 映画『君の話』北村匠海/出口夏希
PAGE TOP