REVIEW
原作者の波木銅は、現役大学生だった21歳の時に、同名小説で松本清張賞を受賞しました。波木銅の才能ありきとはいえ、やはり若者自身が書いたからこその勢いと鋭さを感じるストーリーです。

学校にも家にも居場所がない朴秀美(南沙良)、陸上部のエースで学校では注目を集める存在でありながら家庭に問題を抱える矢口美流紅(出口夏希)、秘かに漫画家になる夢を持つ岩隈真子(吉田美月喜)は、ある日偶然居合わせた場所で衝撃的な光景を目にします。その後ひょんなことから“同盟”を結んだ3人は、校舎の屋上でこっそりとあるものを栽培し始めます。

『万事快調〈オール・グリーンズ〉』というタイトルからは、爽やかさが漂ってくるものの、そのイメージとは真逆といえる展開が繰り広げられます。3人の女子高生は最初から仲良しこよしのメンバーではない点で、関係性の変化もユニークです。また、彼女達はとても大胆な行動に及ぶので、極力前情報を入れずに観るほうが一層驚きをもって楽しめるでしょう。

彼女達の行いは本来応援されるべきではないものの、苦しい現実から自力で抜け出そうとする思いは誰もが共感しやすいところなので、ついつい応援するスタンスになってしまうはず。でも、やっぱり悪事は続かず、怖い目に遭うという現実的な場面もきちんと描かれています。そんな時に、彼女達が本当に得た大切なものが見えてきて、最終的には清々しさも味わえます。

本作のストーリーはエンタテインメントだからこそ成り立つ設定ではありつつも、廃れた町の女子高生の身の丈に合った現実が等身大の目線で描かれている点で、親近感が湧きます。

そして、南沙良、出口夏希、吉田美月喜、羽村仁成、黒崎煌代、若手俳優達の演技力も見ものです。カワイくてキャピキャピした女子高生の青春ものとは一線を画しているので、青春ものは苦手と思っている方にもぜひ観ていただきたいです。また、映画好きのキャラクターが登場するので、映画ファンにとっては楽しめるツボが2倍ありますよ。
デート向き映画判定

ラブストーリーの要素はほぼなく、良い意味で女子高生のキャラクター達は皆サバサバしているので、デートで観る場合でも気負わずに観られるでしょう。ただし、キャラクターは各々に複雑な家庭事情を抱えているので、似たような境遇を経験している場合は、デートの雰囲気が一変するかもしれません。踏み込んで良い話題なのかどうかを察して、相手を誘ってOKかどうかを検討しましょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

実際には真似をしてはいけない行為が描かれている一方で、現状を変えて未来を切り拓こうとする若者達が奮闘する姿は、共感を呼ぶでしょう。キャラクター達は最初お金を必要としているものの、心の居場所を見つけていくうちに、友達を大切にする気持ちや責任感が芽生えてきます。メインキャラクター達の成長ぶりをぜひ観てください。

『万事快調〈オール・グリーンズ〉』
2026年1月16日より全国公開
PG-12
カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト
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©2026「万事快調」製作委員会
TEXT by Myson
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「万事快調〈オール・グリーンズ〉」波木銅 著/文春文庫
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情報は2026年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。




























