REVIEW

ベルイマン島にて【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ベルイマン島にて』ヴィッキー・クリープス/ティム・ロス

巨匠イングマール・ベルイマンが傑作を生み出したスウェーデンのフォーレ島を舞台に、映画監督カップルの絶妙な恋愛模様が描かれた本作。主人公のクリス(ヴィッキー・クリープス)とトニー(ティム・ロス)は、お互いの関係にも創作活動にも停滞感を抱いていて、新しいインスピレーションを求めてフォーレ島にやって来ます。2人にはそれぞれの創作スタイルがあり、相手の仕事の進行状況がつい気になってしまうところなどは、同職カップルならではの悩みだと思います。
資料によると、本作の監督と脚本を務めたミア・ハンセン=ラブは、『アクトレス~女たちの舞台~』『冬時間のパリ』などを手掛けたオリヴィエ・アサイヤス監督とパートナー関係だった過去があるそうで、「もしかしたら本作にも監督自身の経験が盛り込まれているのでは?」とも考えられます。実際のところはわかりませんが、監督や脚本家としての苦悩がとてもリアルに描かれていて、映画監督という仕事の大変さも疑似体験できるので、映画業界志望の方なら参考になる点もありそうです。
物語のメインはクリスとトニーの恋愛関係ですが、それとは別に劇中でクリスが考えた物語も同時に進行していきます。1つの映画の中で別の物語も追うことになるので少し不思議な感覚になりますが、物語が交錯していく展開はとても見応えがあるので、ぜひ注意深くご覧ください。その他にも、ヴィッキー・クリープス、ティム・ロス、ミア・ワシコウスカ、アンデルシュ・ダニエルセン・リーらの魅力的な演技が観られたり、数々のイングマール・ベルイマンゆかりの地が登場するのもポイントです。物語の行方は本編をご覧いただくとして、特に終盤はさまざまな解釈ができる部分があるので、繰り返し観るのもオススメです。

デート向き映画判定
映画『ベルイマン島にて』ヴィッキー・クリープス/ティム・ロス

大人の繊細な恋愛模様が描かれているので、初デートよりもベテランカップル向けです。クリスとトニーの場合は同じ仕事に就いていて、仕事の取り組み方の違いなども綴られていますが、日常会話の中で感じるちょっとした違和感などは、どんなカップルでも共感できるはずです。逆にクリス達カップルを反面教師として観て、同じような揉め事を未然に防ぐのも得策です。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ベルイマン島にて』ミア・ワシコウスカ

キッズも観られますが、せめて中学生くらいになってから観たほうが主人公達の心情をより理解できると思います。ティーンの場合は、クリスとトニーの関係を客観的に観察しつつ、もし将来自分が同じような立場になったらどうするか考えてみてください。また、本作ではイングマール・ベルイマンの名前が何度も登場するので、もし気になったら調べて、ベルイマン作品を観るのも良いと思います。

映画『ベルイマン島にて』ヴィッキー・クリープス/ティム・ロス/ミア・ワシコウスカ

『ベルイマン島にて』
2022年4月22日より全国順次公開
キノフィルムズ
公式サイト

© 2020 CG Cinéma ‒ Neue Bioskop Film ‒ Scope Pictures ‒ Plattform Produktion ‒ Arte France Cinéma

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『けものがいる』レア・セドゥ 心理学から観る映画53:感情は有害か有用か

『けものがいる』と『シンシン/SING SING』は全く内容は異なるものの、感情の必要性について考えさせられるストーリー…

映画『秋が来るとき』エレーヌ・ヴァンサン/ジョジアーヌ・バラスコ 『秋が来るとき』特別一般試写会 10組20名様ご招待

映画『秋が来るとき』特別一般試写会 10組20名様ご招待

映画『#真相をお話しします』大森元貴/菊池風磨 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年4月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年4月】のアクセスランキングを発表!

映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ 未完成の映画【レビュー】

物語の始まりは2019年。10年間、電源が入れられずにいたパソコンを起動し…

映画『アンジーのBARで逢いましょう』草笛光子 草笛光子【ギャラリー/出演作一覧】

1933年10月22日生まれ。神奈川県出身。

映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス サンダーボルツ*【レビュー】

こりゃ、おもしろい!いろいろ新鮮で…

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M) 『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ ロザリー【レビュー】

自分で作った美しいドレスを身にまとったロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、父(ギュスタヴ・ケルヴェン)に連れられて…

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー 『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ 『サスカッチ・サンセット』先行試写会 10名様ご招待

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『けものがいる』レア・セドゥ
  2. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  3. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性

REVIEW

  1. 映画『#真相をお話しします』大森元貴/菊池風磨
  2. 映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ
  3. 映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス
  4. 映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ
  5. 映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永

PRESENT

  1. 映画『秋が来るとき』エレーヌ・ヴァンサン/ジョジアーヌ・バラスコ
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー
PAGE TOP