REVIEW

ボブ・マーリー:ONE LOVE【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル

REVIEW

ボブ・マーリーの歌を耳にしたことがある方は多くいらっしゃると思います。ただ、ジャマイカの政治にこれほど大きな影響を与えていたことはどれだけ知られているのでしょうか。お恥ずかしながら、私はほとんど知らなかったので、本作を観てかなり衝撃を受け、彼が伝説である所以を知ることができました。本作には、家族や当時の仲間から見たボブ・マーリーの素顔が描かれている点も印象的です。それもそのはず、本作の公式サイトによると、「妻のリタや息子のジギーなどのマーリー・ファミリー、さらにザ・ウェイラーズのメンバーなど当時のボブを知る人々が製作に深く関与」とあり、だからこそ描けたストーリーであることがわかります。

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル

1976年、ジャマイカの政治闘争が激化するなか、ボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディル)が銃撃されるところから物語は始まります。それから、ボブ・マーリーと妻のリタ(ラシャーナ・リンチ)がどんな選択をとっていくのかが、夫婦の視点を軸に描かれていきます。この後のいきさつをご存じのファンの方はいらっしゃるとして、これからご覧になる方のために、詳細は伏せておきます。伝説のアーティストの伝記といえば、名も無い時代からスターダムをのし上がる過程を描いたものが主流ですが、本作は既に国民的アーティストとなっていたボブ・マーリーのその後を描いている点で趣が異なります。とはいえ、アーティストとしてのさらなる成長も描かれつつ、夫婦の物語、祖国ジャマイカとの関係が綴られています。ボブ・マーリーの温かい人間味と、音楽への情熱が伝わってくるとともに、夫婦関係は赤裸々に語られていて、リタの気苦労の大きさも伝わってきます。だから、偉大なアーティストとはいえ、等身大の1人の人間としても見られる点で感情移入しやすいと思います。そして、本作を観ると、ボブ・マーリーが遺した音楽の重みを実感します。

デート向き映画判定

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル/ラシャーナ・リンチ

ボブとリタの2人の関係の変化を、現代と過去を行ったり来たりしながら観ることができます。恋愛関係、夫婦関係には、良い時も悪い時もあり、それぞれに乗り越え方があります。本作は伝説のアーティストのストーリーとはいえ、誰にでも通じる部分があり、苦難を乗り越えたカップルの一例として観ることができます。普段苦労をかけてるなと思いながらも素直になれない方、逆に苦労かけられっぱなしという方は、揃って観ることでお互いを客観視する機会にできるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル

ボブ・マーリーは時代を経た今でも愛され続けているアーティストです。皆さんもボブ・マーリーの曲かどうかを知らないとしても、耳にしたことがあると思います。本作ではお父さんとしてのボブ・マーリーの姿も映し出されているので、子ども目線で観られるのではないでしょうか。お父さんが大スターという状況は一見ワクワクするかもしれませんが、その影響力の大きさによって、家族は苦渋の決断を強いられる場面もあり、華やかな世界に生きる人とその一家の苦労を知ることができます。政治の世界とエンタテインメントの世界はかけ離れているように見えて、大きな影響力を持つ人物なら国をも動かす力があると知ることもできるでしょう。

映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』キングズリー・ベン=アディル

『ボブ・マーリー:ONE LOVE』
2024年5月17日より全国公開
PG-12
東和ピクチャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2024 PARAMOUNT PICTURES

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン ハード・トゥルース 母の日に願うこと【レビュー】

現代のロンドンを繰り広げられる本作は、対照的な性格を持つ姉妹のそれぞれの日常を…

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人 ミーツ・ザ・ワールド【レビュー】

この町で出会った、アニメにハマっている腐女子の由嘉里(杉咲花)、キャバ嬢のライ(南琴奈)、既婚の No.1 ホスト、アサヒ(板垣李光人)は、それぞれどこか孤独感、空虚感を…

韓国ドラマ『TWELVE トゥエルブ』パク・ヒョンシク パク・ヒョンシク【ギャラリー/出演作一覧】

1991年11月16日生まれ。韓国出身。

『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』豆原一成さん、八木莉可子さんインタビュー 『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』豆原一成さん、八木莉可子さんインタビュー

今回は『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』で恋人役として共演された豆原一成さんと八木莉可子さんにインタビューをさせていただきました。

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「なんとなく孤独、これでいいの?」

今回も、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談を2件取り上げました。最後に、2025年10月劇場公開作品の中で特にオススメの3作品を紹介しています。

映画『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』オリヴィア・コールマン/ベネディクト・カンバーバッチ ローズ家~崖っぷちの夫婦~【レビュー】

REVIEW昔、同じような設定の映画があった気がすると思っていたら、やはり元ネタはマイケル…

映画『恋に至る病』長尾謙杜/山田杏奈 恋に至る病【レビュー】

斜線堂有紀による小説を、長尾謙杜と山田杏奈をW主演に迎え映画化した本作。転校生の宮嶺(長尾謙杜)は…

映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗 『爆弾』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『爆弾』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『おーい、応為』長澤まさみ 心理学から観る映画58:遺伝と環境がヒトに与える影響『おーい、応為』

今回は、葛飾北斎の娘、お栄(長澤まさみ)の半生を描いた『おーい、応為』を題材に、遺伝と環境が才能に与える影響について考えてみます。

海外ドラマ『ウェンズデー シーズン2』ジェナ・オルテガ ジェナ・オルテガ【ギャラリー/出演作一覧】

2002年9月27日生まれ。アメリカ出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion ファイナンシャルプランナーから学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】(スイーツとお飲み物付)女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
  3. 映画学ゼミ:アイキャッチ1/本の上の犬と少女

REVIEW

  1. 映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン
  2. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
  3. 映画『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』オリヴィア・コールマン/ベネディクト・カンバーバッチ
  4. 映画『恋に至る病』長尾謙杜/山田杏奈
  5. 映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太/綾野剛

PRESENT

  1. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
  3. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
PAGE TOP