REVIEW

返校 言葉が消えた日

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『返校 言葉が消えた日』ワン・ジン

1962年に台湾のある高校で起こった読書会迫害事件を基に描いた作品。台湾では1947年に二・二八事件が起きて以降、戒厳令が敷かれ、蒋介石率いる国民党が国民に相互監視と密告を強制しました。“白色テロ時代”と呼ばれたこの時代は40年も続き、多くの人が投獄、処刑されたと言われています。本作はまさにその時代に生きていた高校生と高校教師達が秘密裏に読書会を開き、何者かに告発され悪夢の日々を送る様子を描いています。
ただ本作は社会的テーマを扱っていながら、ホラー、ダークファンタジーとして表現しているところがとてもユニークで、「まさかこの内容でこうした表現ができるとは!」と驚かされます。同時にその恐ろしい描写が当事者達の恐怖がいかほどだったかを如実に表しているとも言えて、こんな現実が本当にあったとは信じがたいという過酷な状況を描くという意味において、“ダークファンタジー”という表現がすごく妥当だとも解釈できます。そして、キャストもそれぞれに良い味を出していて、台湾作品独特の空気感も印象に残ります。
この事件は、1989年『悲情城市』(ホウ・シャオシェン監督作)、1991年『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(エドワード・ヤン監督作)でも映画化されており、台湾では忘れがたい、忘れてはいけない事件のようです。この2作とも合わせて観て欲しい作品です。

デート向き映画判定
映画『返校 言葉が消えた日』ワン・ジン/ツォン・ジンファ

ホラー・ゲームを基にしているということもあり、気味の悪い描写が満載です。痛々しいシーンは露骨には映らない分、ホラー映画をたまに観る方には許容範囲かもしれませんが、初デートで誘うのには向いていません。また、テーマそのものが重めで、アトラクション的な怖さよりも、登場するキャラクター達に共感してズシーンとくる内容なので、デートで観るよりは1人でじっくり観るか、映画好きの友達と観ることをオススメします。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『返校 言葉が消えた日』ワン・ジン/ツォン・ジンファ

ホラー・ゲームを基にしているということもあり、気味の悪い描写が満載です。痛々しいシーンは露骨には映らない分、ホラー映画をたまに観る方には許容範囲かもしれませんが、初デートで誘うのには向いていません。また、テーマそのものが重めで、アトラクション的な怖さよりも、登場するキャラクター達に共感してズシーンとくる内容なので、デートで観るよりは1人でじっくり観るか、映画好きの友達と観ることをオススメします。

映画『返校 言葉が消えた日』ワン・ジン/ツォン・ジンファ/フー・モンボー/チョイ・シーワン

『返校 言葉が消えた日』
2021年7月30日より全国順次公開
R-15+
ツイン

© 1 Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン 『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『新解釈・幕末伝』山下美月 山下美月【ギャラリー/出演作一覧】

1999年7月26日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  2. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  3. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』
  4. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智
  5. 映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP