タイトルがストレートで、映画のキービジュアルからも想像通りの物語です。とはいえ、チャーリーがなぜ不思議な力を持っているのかという点や、彼女がその力をどんな風に使うのかという点がドラマチックに描かれていて、興味を引く内容となっています。
チャーリーの力が開花してからは逃亡劇がメインとなっていて、ハラハラドキドキする展開が続きます。また、彼女の力が炸裂シーンは迫力があるので、シンプルにその動向を追うだけでも楽しめます。なので、あまり難しく考えずに気楽に観るのもアリですが、哲学的なセリフも出てきます。私は「反応ではなく、決断でなければいけない」というセリフが印象に残りました。こういうメッセージをしれ〜っと入れてくるところが憎いですね。
結末についても「なぜ?」と思う方が出てくる可能性もありますが、捉えようによっては、マジョリティの世界の支配者とマイノリティとの戦いというような解釈もでき、現実社会を映し出している部分があると思うと作品に深みを感じます。
カップルで観て気まずいシーンはほぼありませんが、子どもの育て方を巡って夫婦の意見が異なる状況はどの家庭にも身近に感じるポイントでしょう。子どものことで真っ向から話し合うのが苦手な方は、本作をパートナーと一緒に観て、チャーリーのような極論を例に話し合うきっかけにするものアリなのではないでしょうか。
チャーリーが持つ能力はとてもパワフルなので、カッコ良く見えると思います。でも、その力があることで危険にさらされたり、意図に反して人を傷つけてしまわないように責任を持つ必要もあります。そういった視点で力を持つということはどういうことなのかを考えるきっかけに観るのもアリ、気楽にエンタテインメントとして観るのもアリだと思います。
『炎の少女チャーリー』
2022年6月17日より全国公開
東宝東和
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TEXT by Myson