REVIEW

ホテル・ムンバイ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ホテル・ムンバイ』デヴ・パテル

本作は、インドの5つ星ホテルで実際に起きた無差別テロからの奇跡の脱出劇を映画化したものです。こういう紛争で多くの犠牲者が出る状況を観ると、宗教って何のためにあるんだろうとすごく考えさせられます。本作で容赦なく人を殺していくテロリスト達は一見恐ろしいですが、彼らはまだ若く、家族を守るためにテロ行為をさせられている側面が見えると、テロがいかに無意味なことかが伝わってきます。テロ事件を伝えるニュースからわかることも一部で、その報道によって犠牲者を増やすことになりうる状況なども窺えて、当事者でなくても、気を付けなければいけないことがあると気付かされます。そして、何より素晴らしいのがホテルマン達。命をかけてでもお客様を守るというプロ意識とプライドに敬服します。普通のサービス業でここまでの意識を持つって並大抵のことではないし、こういう精神が培われているからこそ、このホテルが5つ星なんだなと改めて感じます。包囲されて動けずに隠れているお客の中でも人種の違いで不和を招きそうになったり、逆にお国を問わず助け合う姿もあり、実際の社会が小さいコミュニティにも投影されている細かい描写も印象的です。個人的には、デヴ・パテルが演じたアルジュンのような人物の宗教観をもっと知りたいなと思いました。ニュースでは、国家間の問題もいろいろと取り上げられていますが、海外へ行った時、またその逆でもこういった状況は今後起こりうると考えると、他人事とは思えない内容です。

デート向き映画判定
映画『ホテル・ムンバイ』デヴ・パテル/アーミー・ハマー/ナザニン・ボニアディ

終始緊張感が張り詰める内容で、デートのムードが良くなるような内容ではありません。また実話をもとに映画化している点で、大きな犠牲が出ている点でも、1人でじっくり観るか、こういう問題に関心のある友達と観るほうが、集中して観られると思います。ただカップルで観るとしても、「こういう時、自分ならどうする?」と、人生観、価値観が出るような会話のきっかけにはなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ホテル・ムンバイ』デヴ・パテル

R-15なので15歳未満の人は観られません。思った以上に惨殺シーンが生々しく、本当に激しいので、それなりの衝撃はあります。ただ、国外ではこういう状況が実際にあり、宗教観の違いなどで、同じ民族の中でも殺し合いが起きることがあるし、先入観などから外国人を一方的に敵対視する人がいると知るのは大事なことだと思います。今日本でも海外から多くの人が来ていますが、違う国に生まれた者同士でうまく暮らしていくには何が必要なのか、何かヒントが見つかると思います。

映画『ホテル・ムンバイ』デヴ・パテル/アーミー・ハマー/ナザニン・ボニアディ/アヌパム・カー/ジェイソン・アイザックス

『ホテル・ムンバイ』
2019年9月27日より全国公開
R-15+
ギャガ
公式サイト

© 2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー 『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー

フランスで3週連続NO.1(仏映画興収/実写映画において)を獲得し、260万人動員の大ヒットを記録した話題作『ファンファーレ!ふたつの音』。今回は本作のエマニュエル・クールコル監督にインタビューさせていただきました。

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP