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パリ13区【レビュー】

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映画『パリ13区』ルーシー・チャン/マキタ・サンバ

各国の名だたる映画祭で受賞の常連となっているジャック・オディアール監督が手掛ける本作は、再開発が進み、高層ビルが並ぶパリ13区を舞台に描かれるラブストーリー。ルームメイトとなった台湾系フランス人のエミリーとアフリカ系フランス人のカミーユは、すぐに肉体的な関係になりますが、恋人になるわけでもなく、お互いに微妙な関係になってしまいます。ここから2人は他の人物を巻き込んで、一層複雑な関係に陥っていきます。
セックスと恋愛は別物なのか、それとも…。本作を観ていると、そんな問いが何度となく浮かび上がります。役者達の演技もリアルで、もどかしさや苛立ち、孤独…といったいろいろな感情が生々しく伝わってきます。セックスと恋愛との関係は、観た皆さんが各々答えを出していただくとして、本作を観て1つ感じることは、セックスは突き詰めていくと“自分自身も知らない自分”に辿り着くということ。一見すると素敵なラブストーリーというよりも意地悪なラブストーリーに思えますが、恋愛の本質をこんな形で示すとは、さすがジャック・オディアール監督だなと感服です。そして、モノクロで描くパリが何とも美しくて絵画的。キャラクター一人ひとりが歩くパリの風景は、その人物ごとに色合いが変わって見えて、とても情緒的に映ります。映画という芸術の醍醐味を見せてくれる本作。映画好きの皆さんにはぜひ観て欲しいです。

デート向き映画判定
映画『パリ13区』ルーシー・チャン/ノエミ・メルラン

ヌードやベッドシーンがかなり多いので、初デートには向いていないでしょう。マンネリカップルや関係が進展しないカップルは、敢えてショック療法的に観ると、自分の気持ちに何らかの結論が出るかもしれません(苦笑)。そんなカップルが本作をデートで一緒に観るべきかどうかは迷うところです。まずはじっくり自分の頭の中を整理したい方は、1人で観るほうが良いのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『パリ13区』ルーシー・チャン/マキタ・サンバ/ノエミ・メルラン

R-18なので18歳にならないと観られません。18歳になって観たとしても、恋愛のかなり現実的な面をいきなり突きつけられることになります。若いうちは真っ新な気持ちで恋愛をしたいという方は、恋愛で何度か失敗を経験してから観てはいかがでしょうか。恋愛って綺麗事ではないことはよくわかるので、逆に恋愛を客観視したい方は参考になる部分がありそうです。

映画『パリ13区』ルーシー・チャン/マキタ・サンバ

『パリ13区』
2022年4月22日より全国公開
R-18+
ロングライド
公式サイト

©PAGE 114 – France 2 Cinéma
© ShannaBesson ©PAGE 114 – France 2 Cinéma

TEXT by Myson

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1990年6月26日生まれ。アメリカ出身。

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