REVIEW

軍艦少年

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『軍艦少年』佐藤寛太

世界文化遺産に登録された軍艦島が物語の鍵を握る本作は、軍艦島が見える街が舞台となっています。現在軍艦島は無人島になっていますが、1974年までは人が暮らしており、ピーク時には5000人を超える人々がこの小さな島に住んでいたとされています。当時の人口密度は世界一で、東京の人口密度の9倍だったとも言われています。今は廃墟となった軍艦島も独特のオーラがあり、本作でもキャラクターの1人といえる存在感を放っています。そして、原作はヤンキー漫画「ギャングキング」「セブン☆スター」などで人気の柳内大樹による同名漫画です。
本作の主人公は海辺の街に住む男子高校生、海星(佐藤寛太)で、彼の日常と彼の家族の物語が綴られています。金髪がトレードマークの海星を佐藤寛太が魅力的に体現していて、やんちゃながらキュートな一面も垣間見えます。ヤンキー映画が世の中にいろいろあるなかで、本作で印象的なのは家族の物語が軸となっているところです。ヤンキー同士のどちらが強いかという競争はもちろんありますが、それよりも海星一家がどう苦難を乗り越えるかということ、人として強いとはどういうことかというような生きる上での美学が語られている点で、どんな世代の方が観てもそれぞれに共感できるところがあると思います。軍艦島での撮影許可に2年かけたとも言われているので、ぜひいろいろなポイントに注目して観てください。

デート向き映画判定
映画『軍艦少年』加藤雅也

主人公の海星もすごく強いですが、敵対する相当強いキャラクターも登場するので、喧嘩のシーンは多少痛々しい部分がありますが、目を背けるほどハードなシーンはそれほどないので、2人とも興味があればデートで観るのも良いでしょう。恋愛要素もちらっとありますが、気まずいシーンはなくそういう意味では気楽に観られると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『軍艦少年』山口まゆ/濱田龍臣

ティーンの皆さんは海星や同級生の目線で等身大で観られる物語だと思います。海星の鮮やかな跳び蹴りや喧嘩っぷりは爽快な部分もあって、原作が好きな方はもちろん、ヤンキー映画好きにもオススメです。親子の物語としても楽しめるので、友達と観ても親子で観ても良いと思います。

映画『軍艦少年』佐藤寛太/加藤雅也/山口まゆ/濱田龍臣/赤井英和/大塚寧々

『軍艦少年』
2021年12月10日より全国公開
PG-12
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

© 2021『軍艦少年』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP