REVIEW
マジムって何だろうから始まり、すぐに主人公の名前とわかると、次に「じゃあ、風のマジムってどういうことなんだろう?」という具合にどんどん引き込まれていきます。原作ファンの方が楽しめるのはもちろんのこと、私のように原作を読まず、内容も全く入れずに観ると、伏線がどんどん繋がっていく過程が一層楽しめると思います。

主人公の伊波まじむ(伊藤沙莉)は、沖縄にある通信会社の契約社員で、何となく将来に迷い始めた様子がうかがえます。そんななか、契約社員でも社内プロジェクトに応募できることを知り、同じ頃あることをひらめきます。そして、マジムは社内プロジェクトの応募にチャレンジします。

本作はマジムという一人の女性の挑戦と、彼女のルーツ、そして生まれ持っての性格というか才能が交錯し、運命が動き出す瞬間を映し出しています。同時に彼女が生まれ育った沖縄への思いと、沖縄県民それぞれの思いが通じ合ったり、ぶつかり合ったりする様子が描かれています。

実社会で考えるとスケールの大きな話でありつつ、一人ひとりの人間の思いが大切にされる様子が描かれているので、多くの方が等身大でマジムの気持ちに寄り添いながら観られるはずです。ちょうど私は、自分が観るべきタイミングでこの作品に出会ったなと思えるような金言にビビッときました。自分らしくありつつ、昨日の自分よりも一歩一歩成長するマジムの姿にすごく勇気をもらえます。

伊藤沙莉がマジムの役にぴったりな点でもすごく感情移入しやすいです。脇を固める俳優陣も皆良い仕事をしていて、特に小野寺ずるが印象に残りました。あと、俳優としての肥後克広がいつもダチョウ倶楽部感を見事に消していて、どっぷり作品の世界観に入っていることに改めて驚かされます。とにかく本作は、ホッコリした気分と元気、そして勇気をくれる作品なので、ビタミン剤のように摂取してください。
デート向き映画判定

ラブストーリーの要素はほぼありませんが、打ち込めるものがなくて悩んでいたり、逆に打ち込めるものが見つかったけれど怖くて前に進めない時に一緒に観ると、お互いに励まし合いながらモチベーションを上げられるのではないでしょうか。本作を観て南大東島に行きたくなったら、旅行の予定を一緒にたてるのも良いですね。
キッズ&ティーン向き映画判定

若い皆さんは大人と別の視点でも楽しめると思います。過疎化や家業の跡継ぎ問題なども背景として出てくるので、地方に住んでいる若い皆さんは自分と重ねて観られる部分もありそうです。また、マジムがこれまでの日常を変えようと一歩踏み出す姿は、どこに住んでいるかにかかわらず、誰にでも通じる部分があります。人と違ってもいいから自分らしい方法で当たって砕けろの精神を見せてもらえますよ。

『風のマジム』
2025年9月5日より沖縄県先行公開、9月12日より全国公開
コギトワークス
公式サイト
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©2025 映画「風のマジム」
TEXT by Myson
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「風のマジム」原田マハ 著/講談社文庫
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情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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