REVIEW

靴ひも

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『靴ひも』ネボ・キムヒ/ドヴ・グリックマン

本作は、自身も特別支援を必要とする息子さんをお持ちのヤコブ・ゴールドヴァッサー監督が、約10年前に耳にした実話を基に撮った作品です。核となる部分は公式サイトで公表されていますが、ここでは敢えて伏せておきます。
腎不全を患うルーベンは、数十年前に別れた元妻が亡くなったため、元妻と一緒に暮らしていた知的障害と発達障害を抱える30代半ばの息子ガディを一時的に預かることになります。ガディはご飯の出され方にこだわりがあったり、毎日のルーティンがあったりして、始めのうちルーベンは戸惑いますが、徐々に息子を理解し、父子として失われていた時間を埋めるかのように心を通わせていきます。でもルーベンの体調はだんだん悪化し、経営している小さな車の整備工場も決して順調とは言えません。こんな苦境のなか、父子はどうするのかというところで、ある大きな決断が必要になってくるのですが、ここが実話にもあった部分となります。それはとても難しい問題で、いろいろなことを観る者に投げかけてきます。同時に父の成長、子の成長をそれぞれ描いていて、誰にでも共感できる内容になっています。切なさと優しさが入り混じるストーリーですが、最後は清々しい気持ちになれます。

デート向き映画判定
映画『靴ひも』ネボ・キムヒ/ヤフィット・アスリン

父子の物語がメインなので、特別ロマンチックなムードになるような展開はあまりありませんが、心温まるストーリーなのでデートで観るのもありでしょう。大きな議論が含まれているので、観終わった後にお互いにどう思うかを話し合うと価値観が見えてくる部分もあると思います。デリケートな部分もあるので、初デートには向かないかも知れませんが、お互いに遠慮なく議論を交わせるカップルならばぜひ観てください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『靴ひも』ネボ・キムヒ/ドヴ・グリックマン

本作のなかで、ガディを見守る周囲の人々の温かさも印象に残ります。キッズやティーンの皆さんの中には、学校の同級生で支援が必要な友達がいるかもしれませんが、知的障害や発達障害を持つ人達が普段どんな事に苦労しているのかなど、もっとよく知るために本作を観てみて欲しいと思います。親子で一緒に観て、学校の話をするきっかけにするのも良いですね。

映画『靴ひも』ネボ・キムヒ/ドヴ・グリックマン

『靴ひも』
2020年10月17日より全国順次公開
マジックアワー
公式サイト

© Transfax Film Productions

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  2. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  3. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  4. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』
  5. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP