REVIEW

ミーツ・ザ・ワールド【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人

REVIEW

同じような毎日を過ごしているだけでは出会えない人とひょんなことから出会い、それまで知らなかった世界を見る。そんな機会は望んだら簡単に得られるわけではなく、どこか運命的に得られるのかもしれません。でも、新たに出会った世界に自分が入っていけるか、その世界に生きる人の心を同じ目線で見て理解できるかは別問題。だから、相手が大切な人であっても、できることは限られていて、何かをすることが相手のためになるのかどうかすら正解はないのだと、本作を観て感じます。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花

本作の舞台は新宿歌舞伎町です。この町で出会った、アニメにハマっている腐女子の由嘉里(杉咲花)、キャバ嬢のライ(南琴奈)、既婚の No.1 ホスト、アサヒ(板垣李光人)は、それぞれどこか孤独感、空虚感を漂わせています。そんななか、由嘉里はライやアサヒに出会い、これまでとは異なる人間関係のなかで、自分と向き合うことになります。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人

ライが由嘉里にかける言葉は、由嘉里の本心に問いかける内容が多く、由嘉里が世間の価値観に流されずに本当の自分に気づくきっかけとなっているように映ります。ライは達観している人物であることは観ていて伝わってくると同時に、達観しているからこそ生まれてくる苦悩もあるのかなと感じます。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/筒井真理子

ネタバレを防ぐために具体的には述べないでおくとして、本作を観ると、幸せって何だろうと改めて考えさせられます。そして、相手の幸せを願うまではよいとして、何かをしてあげようとする行為は善のようでいて、それほど単純なものではないと気づきます。同時に、どういう状況であれ、手放しに「相手が望む幸せ」を理解することはいうほど簡単じゃないのかもしれません。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/蒼井優

とはいえ、人の幸せを願うなという話ではなくて、深い部分で他者を受け入れ、ひいては自分を受け入れるには痛みを伴うけれど、そこを乗り越えて成長できれば、本当の意味で自分らしく生き、他者と共存できる人間になれるのかなという希望をもらえます。今後も節目に観返したくなる作品です。

デート向き映画判定

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/板垣李光人

婚活をしている由嘉里がどういう方向に変化していくのかが見どころの1つです。だから、カップルで観ると2人の状況によっては微妙な空気になるかもしれません。周りが結婚や出産等で焦って婚活をしている方は、由嘉里に共感する部分が多いと思うので、1人で観るほうが気兼ねなく感情移入しながら観られるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈

友達や仲間はいるけどどこか孤独や空しさを感じているキャラクター達に共感する方もいそうです。そして、本作はそれまであまり接点を持つ機会がなかった人物同士が心を通わせるストーリーとなっています。先入観を捨てて、他者を理解し、自分も理解してもらえる出会いもあるのかもしれないと希望をもらえる作品なので、ぜひキッズやティーンの皆さんにも観て欲しいです。

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人

『ミーツ・ザ・ワールド』
2025年10月24日より全国公開
クロックワークス
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。


関連作

「ミーツ・ザ・ワールド」金原ひとみ 著/集英社文庫
Amazonで書籍を購入する

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

映画『8番出口』河内大和 河内大和【ギャラリー/出演作一覧】

1978年12月3日生まれ。山口県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  2. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  3. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  4. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗
  5. 映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP