REVIEW

2度目のはなればなれ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン/グレンダ・ジャクソン

REVIEW

名優マイケル・ケインの俳優人生最後の作品ということで見逃すわけにはいきません。本作は、89歳の退役軍人バーニー・ジョーダンが、2014年に行われたDデイ上陸作戦70周年記念式典に出席するため、イギリスにある老人ホームからフランスへ、着の身着のまま旅した際の実話を基にしています。
マイケル・ケインが演じる主人公バーニーは、妻のレネ(グレンダ・ジャクソン)と老人ホームで暮らしています。バーニーもレネも高齢で外出は困難、遠出なんてできそうもありません。そして、戦時中に離ればなれになった2人にとって、また離ればなれになることは大きなハードルでした。でも、バーニーの思いを汲んだレネは彼の背中を押し、バーニーは船に乗れるというアテもないままフランスへ向かいます。

映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン

一歩一歩踏みしめるように歩くバーニーの姿、体が弱りベッドにいながら、気持ちは明るくバーニーを思うレネの姿が心に染みます。グレンダ・ジャクソンが演じるレネがすごくチャーミングで、若かりし頃に離ればなれになった辛さを再び思い出しつつもドンと構えている様子は妻としての鑑です。グレンダ・ジャクソンは、本作公開前、2023年6月15日に逝去され、本作が遺作となりました。

映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン/グレンダ・ジャクソン

マイケル・ケインが演じるバーニーは、ホームに残してきた妻を思いながら、再び戦争と向き合います。長い人生を歩んできたからこそ、人に厳しく、そして優しく接するバーニーは、マイケル・ケインでなければ演じきれないと感じます。戦時中の敵味方という立場を越えた交流のシーンは、本当にジーンときます。セリフだけではなく、全身で物語る演技は本当にスゴい。引退して欲しくないなと改めて感じます。
本作は、マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが50年ぶりに2度目の共演を果たした作品でもあります。本作を観る理由がこれだけあれば、観るしかないですよね!

デート向き映画判定

映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン/グレンダ・ジャクソン

これからもずっと一緒にいたいと思って真剣交際をしているカップルにはぜひ観て欲しい1作です。本作で描かれる「2度目の離ればなれ」には深い意味があり、そこには夫婦の絆と覚悟があります。お互いがお互いのために最後まで生きるとはこういうことなのだなと実感させられます。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン

若い皆さんにはまだピンとこないかもしれないものの、頭ではなく心で感じる部分が何かしらあると思います。戦争がいかに人生に大きな影響を与え、一生影がつきまとうのかを知るきっかけにもなるはずです。興味が湧いたらぜひ観てみてください。

映画『2度目のはなればなれ』マイケル・ケイン/グレンダ・ジャクソン

『2度目のはなればなれ』
2024年10月11日より全国公開
東和ピクチャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023 Pathe Movies. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太 BAUS 映画から船出した映画館【レビュー】

2014年、東京都、吉祥寺の映画館“バウスシアター”が閉館となりました。本作は、この映画館を親の代から運営してきた本田拓夫著…

映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー 白雪姫【レビュー】

1937年に製作されたディズニーの『白雪姫』は、世界初のカラー長編アニメーションであり、ウォルト・ディズニー・スタジオの原点とされています…

映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』 ニンジャバットマン対ヤクザリーグ【レビュー】

バットマン・ファミリーが戦国時代の歴史改変を食い止めた『ニンジャバットマン』の続編…

【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性 自分を知ることからすべてが始まる【映画でSEL】

SEL(社会性と情動の学習)で伸ばそうとする社会的能力の一つに「自己への気づき」があります。他者を知るにも、共感するにも、自己をコントロールするにも、そもそも自分のことを全く理解していなければ始まりません。

映画『悪い夏』北村匠海 悪い夏【レビュー】

REVIEW染井為人著の原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題を呼び、第37回横溝…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 Before 高校デビュー編【レビュー】

本作は、縦スクロール形式のデジタルコミック“webtoon”で人気を博したyaongyi(ヤオンイ)作の同名コミックを原作としています…

映画『教皇選挙』レイフ・ファインズ 教皇選挙【レビュー】

圧倒されっぱなしの120分でした。教皇に“ふさわしい”人間の境界線をテーマに、神に仕える聖職者達の言動、ひいては人格を通して…

映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』ボーウェン・ヤン ボーウェン・ヤン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年11月6日生まれ。オーストラリア出身。

ディズニープラス『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』 スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド【レビュー】

本シリーズは馴染み深い要素をベースにしながら、新しい設定が…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 少年と犬【レビュー】

直木賞を受賞した、馳星周著の小説「少年と犬」は、『ラーゲより愛を込めて』を手掛けた平野隆プロデューサーと脚本家の林民夫、瀬々敬久監督により映画化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  2. 映画『風たちの学校』
  3. 【映画でSEL】海辺の朝日に向かって手を広げる女性の後ろ姿

REVIEW

  1. 映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太
  2. 映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー
  3. 映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』
  4. 映画『悪い夏』北村匠海
  5. 映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永

PRESENT

  1. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
  2. 映画『私の親愛なるフーバオ』
  3. 映画『デュオ 1/2のピアニスト』カミーユ・ラザ/メラニー・ロベール
PAGE TOP