REVIEW

ニューヨーク・オールド・アパートメント【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』アドリアーノ・デュラン/マルセロ・デュラン/タラ・サラー

REVIEW

本作は、ニューヨークの片隅でひっそりと懸命に生きる人達の物語です。母のラファエラ、息子のポールとティトのデュラン一家は、ペルーからニューヨークに移住した不法滞在者です。ラファエラはウエイトレスをし、息子2人も配達の仕事をしながら語学学校に通い、慎ましい生活をしています。そんなデュラン一家に訪れた出会いが、大きな変化をもたらします。
大都市ニューヨークで“透明人間”のように扱われるポールとティトが、“居場所”を求める気持ちや、1人の美少女クリスティンとの出会いを通して、一層自分達の存在感について考える背景には、思春期という年頃だけではなく、人種問題や格差社会の問題も見えて、殺伐としたジャングルのようなニューヨークの一面が描かれています。それは、クリスティンの現実や、ラファエラの奮闘を観ても、同じことがいえます。彼女、彼等の姿から、科学技術などによって文明はかなり進化しているように見えて、考え方は進化していない一部の人間の犠牲になる人々がいる現実は変わらないことを実感します。それが、大都市ニューヨークだからこそハッキリを見えることにも気づかされます。
そして、本作には一人前の男になりたいポールとティトの気持ちと、時と場合により女として見られることが苦痛なクリスティンの気持ちの両方が描かれている点も印象的です。ネタバレになるので具体的には書きませんが、メインキャラクター達が社会から受ける理不尽な出来事だけではなく、若者同士のやり取りにも残酷な面が描かれているように私は感じました。本人達に悪意はなく、各々が置かれた複雑な状況も絡んでしまうからこそ余計に切なくて、人間関係がある以上は避けられないことだからこそ辛辣に感じます。明るく前向きな面も描かれつつ、そんな現実を突きつけている点こそ本作の魅力ではないでしょうか。

デート向き映画判定

映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』アドリアーノ・デュラン/マルセロ・デュラン/タラ・サラー

正直なところ、キービジュアルやキャッチコピーのイメージとは少し異なる内容に感じる方もいるかもしれません。確かに恋愛の清々しいキラキラも描かれてはいるものの、かなりシビアな現実も描かれていて、デートで観るには少し気まずいシーンも出てきます。カップルで行くよりも、仲の良い友達と観るか、じっくり1人で観るほうが良いのではと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』マガリ・ソリエル/アドリアーノ・デュラン/マルセロ・デュラン

ティーンの皆さんは、ポールとティトやクリスティンと等身大の目線で観られる部分がありそうです。前半は朗らかムードが流れつつ、クライマックスでは、かなり大きな出来事が起こります。世の大人達のずるさ、汚さも観ることができるので、ある種の社会見学のつもりで観るのも良いかもしれません。

映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』マガリ・ソリエル/アドリアーノ・デュラン/マルセロ・デュラン/タラ・サラー

『ニューヨーク・オールド・アパートメント』
2024年1月12日より全国公開
百道浜ピクチャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2020 – Dschoint Ventschr Filmproduktion / SRF Schweizer Radio und Fernsehen / blue

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『終点のあの子』當真あみ/中島セナ 終点のあの子【レビュー】

『伊藤くんA to E』『私にふさわしいホテル』『早乙女カナコの場合は』などの原作者としても知られる柚木麻子のデビュー作「終点のあの子」が映画化…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ローラ・カーマイケル ローラ・カーマイケル【ギャラリー/出演作一覧】

1986年7月16日生まれ。イギリス出身。

映画『MERCY/マーシー AI裁判』クリス・プラット/レベッカ・ファーガソン MERCY/マーシー AI裁判【レビュー】

人間 vs. AIという構図になっているかと思いきや…

映画『ヒグマ!!』鈴木福/円井わん ヒグマ!!【レビュー】

『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』『許された子どもたち』等を手がけた内藤瑛亮監督作ということで、社会問題を絡めた作品だろうと予想…

映画『エクストリーム・ジョブ』リュ・スンリョン/イ・ハニ/チン・ソンギュ/イ・ドンフィ/コンミョン(5urprise) エクストリーム・ジョブ【レビュー】

本作の主人公は麻薬班の刑事5人です。彼等の登場シーンからコミカルで、一瞬で…

映画『パンダプラン』ジャッキー・チェン/フーフー パンダプラン【レビュー】

スター並みに大人気の稀少なパンダが、何者かに狙われ、パンダの里親になったばかりのジャッキー・チェン本人がパンダを守る…

映画『喝采』キャシー・ベイツ キャシー・ベイツ【ギャラリー/出演作一覧】

1948年6月28日生まれ。アメリカ、テネシー州メンフィス出身。

映画『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2』 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2【レビュー】

かつて子ども達に人気だったピザレストラン“フレディ・ファズベアーズ・ピザ”で恐ろしい体験をしたマイク(ジョシュ・ハッチャーソン)と妹のアビー(パイパー・ルビオ)、警察官のヴァネッサ(エリザベス・レイル)は、あれから1年半経ち、平穏な日々を取り戻しつつあり…

映画『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』ロムニック・サルメンタ/イライジャ・カンラス アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス【レビュー】

怖い!巧い!物語の舞台はレストランの一席、ほぼ2人の登場人物で展開される会話劇で、ここまでスリリングな作品に仕立て上げるとは…

映画『恋愛裁判』唐田えりか 唐田えりか【ギャラリー/出演作一覧】

1997年9月19日生まれ。千葉県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  2. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  3. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン

REVIEW

  1. 映画『終点のあの子』當真あみ/中島セナ
  2. 映画『MERCY/マーシー AI裁判』クリス・プラット/レベッカ・ファーガソン
  3. 映画『ヒグマ!!』鈴木福/円井わん
  4. 映画『エクストリーム・ジョブ』リュ・スンリョン/イ・ハニ/チン・ソンギュ/イ・ドンフィ/コンミョン(5urprise)
  5. 映画『パンダプラン』ジャッキー・チェン/フーフー

PRESENT

  1. 映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  3. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
PAGE TOP