REVIEW

総理の夫

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『総理の夫』田中圭/中谷美紀

政治家とその家族からは、政界がどう映っているのかを知ることができ、普段なかなか国民へは届かない政治家の声が聞けるような感覚で、政治が身近に感じられる作品です。また、総理大臣側ではなく、その夫目線というところがミソで、男性社会の実態を新たな角度から浮き彫りにしています。それは女性蔑視やあらゆる機会の喪失などの問題だけではなく、男性にとっても“男性だから”というところで窮屈な状況があることを映し出していて、どちらかだけを非難するものではない点で性別問わずすんなり受け入れられる内容になっています。
また、本作で登場する総理大臣(中谷美紀)は、多くの国民が政治家はこうあって欲しいと思うような理想を体現しています。現状の日本政府とどうしても比較してしまう分、やっぱりこれは映画だからなと夢物語のように感じてしまう部分はありますが、女性が総理大臣を務めるという部分で、とても現実的な問題も提起されており、そこは政治家でなくても働く女性皆に共感できるところだと思います。
ラストでは、働く女性にとっての厳しい現実を突きつけられますが、映画を通してこういった現状を多くの方が知ることにより、徐々に社会が改善されることを期待します。ほんわかしながらも妻に真摯に向き合う夫を好演している田中圭、政治家のしゃべり方を徹底した中谷美紀の演技にもご注目ください。

デート向き映画判定
映画『総理の夫』中谷美紀

夫婦に訪れるいろいろな出来事とその時にそれぞれがどんな選択をするかというシミュレーションができるので、結婚を意識しているカップルは一緒に観ると良さそうです。仕事とプライベートの両立に悩んでいるカップルも一緒に観て、普段言い出せない本音をお互いにぶつけてみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『総理の夫』田中圭/貫地谷しほり

政治への興味を喚起するストーリーで、かといって難しい内容ではないので、ぜひ若い皆さんにもぜひ観て欲しいと思います。政治家同士の駆け引きを、それぞれのキャラクターの目線で観られる点も魅力で、普段何気なく観ているニュースの背景も想像しやすくなるでしょう。

映画『総理の夫』田中圭/中谷美紀/貫地谷しほり/工藤阿須加/松井愛莉/木下ほうか/片岡愛之助/嶋田久作/余貴美子/岸部一徳

『総理の夫』
2021年9月23日より全国公開
東映、日活
公式サイト

©2021「総理の夫」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  2. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  3. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  4. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  5. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP