REVIEW
ブルース・スプリングスティーンは76歳(2025年11月14日現在)とのことなので、全盛期を知る世代ではないものの、劇中で登場する曲の中で、“Born in the U.S.A.”を聞いたことがある方は少なくないはず。私も最近他の作品で知ったばかりの知識で観ました。

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えていました。本作は、伝説の名盤といわれる“ネブラスカ”の創作の舞台裏と当時彼がどんな葛藤を抱えていたのかを映し出しています。

スターダムをさらに登ろうとしていたブルースは敢えて自宅の部屋の一室をスタジオ代わりに使い、カセットテープでレコーディングを始めます。そして、音質として決して完璧とはいえないデモテープを巡ってストーリーが展開していきます。

彼がなぜそこまでカセットテープに吹き込んだ音源にこだわるのかを考えても、容易に理解できません。センスという一言で片付けられるものでもないように思えます。ただ、本作を観た後に長らく考えを巡らせていると、その不完全さこそ、ありのままの彼が投影されていたものだったからなのかもしれないと感じます。

大スターとなったアーティストの伝記が数あるなか、本作も苦悩の人生を描いています。彼の苦悩には家族が関係していることは明らかです。でも、不器用な親子愛がそこにあったように思えて、だからこそ逆に辛さも大きかったのではないかと想像できます。本作は、自身のルーツと現実に向き合い、戦い抜いた人物のお話ともいえます。スプリングスティーンを知らない方も観てみてください。
デート向き映画判定

スプリングスティーンとフェイ(オデッサ・ヤング)の優しさと誠実さゆえに、恋愛が両極に揺れる展開があります。綺麗事ではなく、お互いが大切だからこそ、どんな選択をするのかという一つの例が示されます。相手を思う気持ちがある一方で、一緒にいることがお互いのためになるのか悩んでいる方は、参考に観てみるのもアリではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

子どもの頃のブルースの様子も描かれているので、皆さんもブルースの親子関係を観て、感じるところがあると思います。ブルースが抱えていたであろう罪悪感のようなものがどこからきているのか想像すると、彼がいかに親思いだったかもわかると思います。実在の大スターのサクセスストーリーというよりも、身近にいる1人の青年が葛藤する物語として、皆さんも身近な感覚で観られる部分があるでしょう。

『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
2025年11月14日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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©2025 20th Century Studios
TEXT by Myson
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情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。





























