REVIEW

スターダスト

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『スターダスト』ジョニー・フリン

デヴィッド・ボウイがスーパースターであることは知っているし、ミュージシャンの彼がどんなスタイルだったのかというのは写真などで見たことがあり、映画出演作はいくつか観ていますが、どんな歌を歌っているのかは知りませんでした。本作は“ほぼ真実に基づく”とされていますが、私は背景をほぼ知らない状態で観たので、彼にこんな背景があったのかと驚きました。音楽に詳しい方には周知のことなのかもしれませんが、これは彼の華々しいサクセスストーリーではなく、彼がいかに苦しみながら歌手としての自分を見出したかというストーリーとなっている点で彼を知らない方にとっても共感しやすい内容になっています。
本作を観ると、彼がなぜ個性的なファッションをしているのかということ、彼の音楽に漂う悲壮感や混沌が何から生まれているのかということ、彼の音楽にはある大切な人に対する愛と哀しみや彼自身の恐れが表れていることが伝わってきて、歌詞にも一層興味が湧きます。また、私達が目にするスターの姿とは裏腹に、劇中では彼のとても内気で繊細で優しい面が印象的に描かれていて、そのギャップに驚かされます。ただそのギャップこそがデヴィッド・ボウイを生み出したということがストーリーを通してわかり、苦しみに耐えて生きる1つの方法なのだと思うと私達にも身近な物語のように感じます。ネタバレになるので具体的な言葉などは書くのを控えますが、精神的に苦しみを抱えながら日々を過ごしている時に少し希望をもらえる部分もあると思います。実在のスターの物語ということも魅力ですが、いち人間の苦悩の物語として広く観て欲しいです。

デート向き映画判定
映画『スターダスト』ジョニー・フリン

型にはまらない夫婦関係でありながら、やはりどんな夫婦にも共通していそうな普遍的な内容も描かれているので、「自分達は特異な付き合い方をしている」というカップルは特に客観視できるところがあると思います。また、劇中で描かれるデヴィッド・ボウイの対応には意外性もあり、ミュージシャンのステレオタイプな恋愛にそのまま当てはまらない部分もあるので、彼の優しい一面にも注目して観ると、2人の関係を維持するヒントが少し見つけられるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『スターダスト』ジョニー・フリン

思春期あたりになってくると、思考もだんだん複雑になり、いろいろな悩みが出てくると思います。そういった時期になってから観たほうが一層感情移入できるのではないでしょうか。デヴィッド・ボウイ自身を知らずに観ても楽しめると思いますが、デヴィッド・ボウイ本人がどんなミュージシャンかを少しだけ調べてから観ると、より興味が増すと思います。本作で興味を持ったら、実際に彼の曲なども聴いてみてはどうでしょうか?

映画『スターダスト』ジョニー・フリン

『スターダスト』
2021年10月8日より全国公開
PG-12
リージェンツ
公式サイト

©COPYRIGHT 2019 SALON BOWIE LIMITED, WILD WONDERLAND FILMS LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『流麻溝十五号』余佩真(ユー・ペイチェン) 流麻溝十五号【レビュー】

本作の原作は、曹欽榮(ツァオ・シンロン)と鄭南榕基金会による「流麻溝十五號:綠島女生分隊及其他」です…

映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 2名様プレゼント

映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン 2名様プレゼント

映画『このろくでもない世界で』ホン・サビン/ソン・ジュンギ このろくでもない世界で【レビュー】

冒頭から緊張感のあるシーンで始まる本作は、ろくでもない世界でもがく18歳の少年を主人公に…

映画『OUT』公開初日舞台挨拶、杉本哲太 杉本哲太【プロフィールと出演作一覧】

1965年7月21日生まれ。神奈川県出身。『白蛇抄』(1983)で映画デビューし…

映画『あのコはだぁれ?』清水崇監督インタビュー 『あのコはだぁれ?』清水崇監督インタビュー

昨年話題となった『ミンナのウタ』のDNAを引き継ぐ最新作『あのコはだぁれ?』。今回は本作を手掛けた…

映画『デッドプール&ウルヴァリン』ライアン・レイノルズ/ヒュー・ジャックマン デッドプール&ウルヴァリン【レビュー】

たくさん言いたいことはありながら、ネタバレになるので言えないことが多過ぎ…

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー 時々、私は考える【レビュー】

主人公のフラン(デイジー・リドリー)はとても静かだけれど、ここぞという時には…

映画『お隣さんはヒトラー?』デヴィッド・ヘイマン/ウド・キアー お隣さんはヒトラー?【レビュー】

タイトルは『お隣さんはヒトラー?』で、物語の舞台は1960年のコロンビア…。「むむむ?アドルフ・ヒトラーって…

映画『ロイヤルホテル』ジュリア・ガーナー/ジェシカ・ヘンウィック ロイヤルホテル【レビュー】

『アシスタント』のキティ・グリーン監督と、主演を務めたジュリア・ガーナーが再びタッグを組んだ本作は…

映画『チャレンジャーズ』ゼンデイヤ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】個性部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<個性部門>のランキングを発表します。特に個性が光る俳優としてどの俳優に投票が集まったのでしょうか?

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャレンジャーズ』ゼンデイヤ 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】個性部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<個性部門>のランキングを発表します。特に個性が光る俳優としてどの俳優に投票が集まったのでしょうか?

Netflix映画『悪魔はいつもそこに』トム・ホランド 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】演技力部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<演技力部門>のランキングを発表します。演技派揃いのなか、どのような結果になったのでしょうか。

海外ドラマ『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜』エル・ファニング 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】雰囲気部門

映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外10代、20代編】番外編として、今回は<雰囲気部門>のランキングを発表します。雰囲気の良さが特に評価されているのは、どの俳優でしょうか。

REVIEW

  1. 映画『流麻溝十五号』余佩真(ユー・ペイチェン)
  2. 映画『このろくでもない世界で』ホン・サビン/ソン・ジュンギ
  3. 映画『デッドプール&ウルヴァリン』ライアン・レイノルズ/ヒュー・ジャックマン
  4. 映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー
  5. 映画『お隣さんはヒトラー?』デヴィッド・ヘイマン/ウド・キアー

PRESENT

  1. 映画『ツイスターズ』オリジナルハンディファン
  2. 映画『サユリ』
  3. 映画『ボストン1947』ハ・ジョンウ/イム・シワン
PAGE TOP