REVIEW

THE END(ジ・エンド)【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン

REVIEW

いつも通り観賞前にほぼ何も情報を入れず、登場人物はいつの時代にどこに住んでいるのか、彼等同士はどういう関係にあるのかすらわからずに観て、徐々に状況を掴んでいく感覚ごと堪能しました。だからこそ、本作で描かれる“小さな社会”の歪さが、真相を知る度に際立っていくと同時に、人間の適応力についても考えさせられます。

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン

本作は、インドネシアで起きた共産主義者によって行われた大量虐殺を当事者達が再現するという手法で撮ったドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』で長編デビューし、アカデミー賞®にノミネートされたジョシュア・オッペンハイマー監督作です。本作はフィクションでありミュージカルなので『アクト・オブ・キリング』とは全く異なるジャンルに思えるものの、本作で用いられる演出には、『アクト・オブ・キリング』で当事者に再現させた手法に通じるところがあります。

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ

どんなストーリーかは観ていただくとして、本作は私達が生きている現実世界を投影していると思えてなりません。インターネットによって瞬時に世界中と繋がることができるようになった現代社会は、私達が関わる世界を一気に押し広げました。一方で、“個”でほぼ何でも済ませられるようになった現代社会では、家族という1番小さなコミュニティですら維持が難しくなっているともいえます。登場人物達のセリフからは、そんな現代社会の現実を客観視できます。

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ

また、本作で登場する一家は、格差社会の縮図といえて、富む者と貧しき者それぞれの生きづらさが描かれています。今地球はさまざまな資源が枯渇する可能性をはらんでおり、技術革新にともない人間の居場所が問われる事態になっています。そんななか、さまざまな意味で人間は生き残りをかけていて、生きながらえたとしても、その過程で大きなものを失っていく可能性があることを、本作を観ると思い知らされます。

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン

ティルダ・スウィントン、ジョージ・マッケイ、マイケル・シャノンなど名優の競演も見ものです。もしかしたら将来訪れるかもしれない未来を覗いてみてください。

デート向き映画判定

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/マイケル・シャノン

ティルダ・スウィントンとマイケル・シャノンが演じる夫婦のやり取りも印象的です。本作で描かれる一家の状況では、重い選択が迫られます。それは単純に夫婦の相性に関わるだけではなく、生きるための選択という点で、簡単に合わせられる選択ではありません。自分達が同じ状況だったらどうするかと考えながら観ることになるでしょう。つまり、重くてシリアスな題材なので、初デートや交際ホヤホヤカップルが観た後に議論するにはややハードルが高いかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/モーゼス・イングラム

皆さんの中には、ジョージ・マッケイが演じた息子やモーゼス・イングラムが演じた少女の視点で観る方も多いと思います。特にジョージ・マッケイが演じた息子は他の家族に比べて一層特殊な状況に置かれているので、もしもこの家に生まれたらどんな感じかと想像せずにいられないでしょう。そして、小さな社会、大きな社会、それぞれと接点を持つことの意味を考えるきっかけにできそうです。哲学的な映画が好きな方には特にオススメです。

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン

『THE END(ジ・エンド)』
2025年12月12日より全国公開
スターキャットアルバトロス・フィルム
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©Felix Dickinson courtesy NEON ©courtesy NEON

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ライアン・ゴズリング プロジェクト・ヘイル・メアリー【レビュー】

タイトルについている“プロジェクト・ヘイル・メアリー”とは、“イチかバチか(ヘイル・メアリー)”のプロジェクトという意味…

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山﨑賢人/山田杏奈 ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編【レビュー】

本作は野田サトル氏による原作コミック “第一部の総括”的ポジションにあたるといわれており…

映画『スペシャルズ』佐久間大介(Snow Man) 佐久間大介【ギャラリー/出演作一覧】

1992年7月5日生まれ。東京都出身。

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ 『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』キム・へヨン監督来日記念試写イベント 6組12名様ご招待

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』キム・へヨン監督来日記念試写イベント 6組12名様ご招待

映画『キング・オブ・キングス』 『キング・オブ・キングス』ムビチケカード 3名様プレゼント

映画『キング・オブ・キングス』ムビチケカード 3名様プレゼント

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ジャパンプレミアイベント、ティモシー・シャラメ、ジョシュ・サフディ監督、川口功人、窪塚洋介 ティモシー・シャラメ「高い情熱を常にキープすることを意識しました」『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』来日ジャパンプレミアイベント

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』来日ジャパンプレミアイベント:ティモシー・シャラメ、ジ…

映画『私がビーバーになる時』 私がビーバーになる時【レビュー】

「こんなストーリーなのか!」と、良い意味で想像と全く異なる展開に…

Netflixシリーズ『ONE PIECE シーズン2』記者会見、イニャキ・ゴドイ(モンキー・D・ルフィ役)、新田真剣佑(ロロノア・ゾロ役)、エミリー・ラッド(ナミ役)、ジェイコブ・ロメロ(ウソップ役)、タズ・スカイラー(サンジ役) 麦わらの一味が大集結!「絆は言葉のいらないレベルまで成長しました」『ONE PIECE シーズン2』来日記者会見

Netflix実写シリーズ『ONE PIECE』待望のシーズン2配信を前に、モンキー・D・ルフィ役のイニャキ・ゴドイをはじめ、新田真剣佑、エミリー・ラッド、ジェイコブ・ロメロ、タズ・スカイラーの5名が記者会見に登壇!

映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ティモシー・シャラメ マーティ・シュプリーム 世界をつかめ【レビュー】

卓球にすべてをかける青年が主人公の本作は、アメリカに実在した卓球選手マーティ・リーズマンの人生に着想を得て…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集! 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!

映画を観終わった後に「運命は変えられない」と思ったり、「何事も自分次第」と思うことがありますよね。そういった背景にあるのかもしれない心理的概念として、今回は、ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)を取り上げます。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス

REVIEW

  1. 映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ライアン・ゴズリング
  2. 映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山﨑賢人/山田杏奈
  3. 映画『私がビーバーになる時』
  4. 映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』ティモシー・シャラメ
  5. 海外ドラマ『ワンダーマン』ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世

PRESENT

  1. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆
PAGE TOP