REVIEW
2016年にイギリスで起きた実話を綴ったサイモン・マクダーモットの著作をモチーフにした本作は、アルツハイマー型認知症を患った父と息子の物語です。物語の舞台を日本に置き換えて映画化され、父役を寺尾聰、息子役を松坂桃李が好演しています。
父の間宮哲太(寺尾聰)は、かつてレコードデビューを夢見たほど音楽を愛し、現在は楽器店を営んでいます。息子の雄太(松坂桃李)は、イラストレーターとして地元を離れて働いていたものの、哲太が認知症を発症したのを機に実家で暮らすことにします。哲太の症状が重くなるなか、雄太は父が好きな歌が父にとって救いになるかもしれないと思い、哲太が歌う様子を動画で撮って投稿。すると、思わぬ反響を呼びます。

この後の展開は本編で観ていただくとして、本作にはシビアな現実も描かれているからこそ、親子愛、人間愛の温かさが心にしみてきます。認知症を患った本人の辛さ、家族の辛さは実際に体験した方でなければ安易に理解できるとは言い難いものの、壮絶な日々に苦労されているのだとわかります。また、SNSのメリットとデメリットも生々しく描かれていて、現代社会を反映する内容としても興味深いストーリーとなっています。

本作はキャスティングも功を奏しています。哲太は歌唱力がなければ務まらない役なので、寺尾聰が演じると説得力が増します。息子の雄太も父の心配とともに、自分自身のアイデンティティに関することで複雑な思いを抱えています。松坂桃李は雄太というキャラクターのさまざまな側面を見事に表現しています。また、松坂慶子が演じる母がとてもチャーミングな点でも本作に共感しやすいでしょう。あとは、ディーン・フジオカが演じるキャラクターの歌がシュール過ぎるのでツボにハマる方もいそうです(笑)。

舞台となる横須賀の町の雰囲気も魅力的で、切なさもありつつ、最後は心が温まります。ピンチの時でもできることをやり、諦めない気持ちにさせてくれる1作です。
デート向き映画判定

家族のストーリーなので、自ずとお互いの家族の話をしたくなるでしょう。特別デート向きの作品ではないものの、交際ホヤホヤのカップルなら、お互いを知る機会にできそうです。家族として難しい決断を迫られるシーンもあるので、お互いの感想から家族観を知ることもできるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

父と息子のストーリーなので、親子で観る場合にもオススメです。若い皆さんにはまだピンとこない状況かもしれませんが、逆に将来像を想像する機会になり、親孝行の大切さを感じられるのではないでしょうか。同時に、両親が若い頃のお話を聞いてみる機会にするのもアリでしょう。子どもが知らない親の一面を聞けるかもしれません。

『父と僕の終わらない歌』
2025年5月23日より全国公開
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト
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©2025「父と僕の終わらない歌」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2025年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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