REVIEW

小さき麦の花【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『小さき麦の花』ウー・レンリン/ハイ・チン

『僕たちの家に帰ろう』のリー・ルイジュン監督が手掛け、ベルリン国際映画祭で大きな話題を呼んだ本作。物語の舞台は中国西北地方の農村。貧しい農民のヨウティエ(ウー・レンリン)と内気な性格のクイイン(ハイ・チン)は、それぞれ家族から厄介者扱いをされており、家族の勝手な話し合いから結婚をすることになります。夫婦となった2人は、力を合わせて作物を育て、何とか生計を立てていきます。
2人共大人しい性格なので最初は夫婦間の会話も少なく、観ていて少し心配になります。でも、季節が過ぎ、作物が育つにつれて、2人の心の距離も少しずつ近づき、お互いを想い合っている様子が伺えます。ある大雨のシーンでは、ヨウティエが作ったレンガを保護するために2人でずぶ濡れになりながら作業をしていて、とても大変な状況にも関わらず2人が楽しそうに笑っているシーンは特に心に残ります。他にも2人の優しい人柄が出ている愛にあふれたシーンがたくさんあり、夫婦関係や愛について考えるきっかけにもなります。
貧しい2人がひたむきに頑張り生活を送る一方で、心ない人達が自分の利益のためだけに2人に近づいてくる場面はとても切なくなります。そんな思いやりに欠けた人達とヨウティエ達との対比も印象的です。結婚経験のある方はもちろん、人間の大きな愛についても考えさせられる作品なので、多くの方に観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
映画『小さき麦の花』ウー・レンリン/ハイ・チン

本作の夫婦の姿を通して、結婚観や理想の夫婦像を考えるきっかけになるのではないでしょうか。ヨウティエとクイインはお見合い結婚をし、最初はぎこちない雰囲気が漂っています。でも、時間の経過と共にと少しずつ心を通わせていく様子はとても微笑ましいです。そんな2人の姿を観ていると、純粋に相手を想い、気遣うことの大切さも感じられるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『小さき麦の花』ウー・レンリン/ハイ・チン

上映時間133分と長めで、静かなトーンで夫婦関係が描かれているので、中学生くらいになってから観たほうが集中して観られると思います。ティーンは、ヨウティエとクイインの夫婦関係と共に、2人を取り巻く周囲の人達の対応にも注目して観てください。また、ヨウティエとクイインが貧しいながらも小さな幸せを見つけていく姿はとても素敵なので、これを機に皆さんにとって幸せとは何か考えてみるのも良いと思います。

映画『小さき麦の花』ウー・レンリン/ハイ・チン

『小さき麦の花』
2023年2月10日より全国順次公開
マジックアワー、ムヴィオラ
公式サイト

©2022 Qizi Films Limited, Beijing J.Q. Spring Pictures Company Limited. All Rights Reserved.

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP