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罪人たち【レビュー】

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映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン

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ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとてもユニークです。極力前情報を入れず、「悪魔と共に踊り狂い、夜明けまで生き残れ。」という意味深なキャッチコピーと、音楽が関わっている点だけを知った状態で観て、「そういうことか!」と、複数の要素がまとめ上げられたストーリーに見入ってしまいました。マイケル・B・ジョーダンの一人二役で眼福な点、ブルースが奏でられるシーンなど、エンタテインメント性も抜群で、さまざまな角度で楽しめます。

解釈は人それぞれ異なるという前提のもと、私なりの解釈では、本作はかなり風刺が効いています。原住民、アフリカ系アメリカ人、白人、アジア人と多民族が登場し、アメリカを舞台に描かれるストーリーは、かつては植民地だったアメリカの歴史、人種差別の歴史を彷彿とさせます。同時に、現代の資本主義が招いた格差社会において、金をちらつかせて人々の思考を停止させようとする“独裁者”と、食い物にされることを受け入れてしまった人々を比喩しているようにも見えます。

ここからはあくまで私個人の解釈です。ネタバレしないように書いていますが、鑑賞後に読むことをオススメします。

映画『罪人たち』

本作でスモークとスタック(マイケル・B・ジョーダン)達が対峙する“招かれざる者たち”のリーダー(ジャック・オコンネル)、つまりすべての混乱の根源となるキャラクターは、これまでのアメリカ史において、本来何の権利も持っていないにもかかわらず、弱者を騙し搾取するだけしてきた者達の象徴と捉えられます。そのキャラクターには老いが無縁である点でも、長いアメリカの歴史において支配権を握り続けてきた比喩にも思えます。
一方で、最後まで“招かれざる者たち”と戦うキャラクター達は、“魂”を売らずに生きようとする者の存在の尊さを投影しています。さらに、ミュージシャンになることを夢見るサミー(マイルズ・ケイトン)は、古き良き時代のアメリカを象徴するアメリカン・ドリームを想起させる人物としてキーパーソンとなっています。
このサバイバルホラーは、まさに現在もアメリカが直面している問題を投影していて、“死者”が一気に蔓延したなか、セリフにもあったように「1人ずつ」相手にしていく必要性と、希望を捨てない意志を訴えかけているように映ります。

デート向き映画判定

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン

本作の宣伝で“ノンストップ・サバイバルホラー”と謳われているように、スリル満点で、激しい描写もあるため、相手の許容範囲かどうかをまず確認したほうが良いでしょう。ただ、初デートには不向きだと思います。
一方で、好きな方はとことん好きなジャンルでもあるので、2人とも観たいなら、鑑賞後の会話は盛り上がりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン

PG-12なので大人と一緒なら小学生も観られるものの、刺激が強いシーンもあるので、せめて中学生以上になって自分から望んで観たいと思ったタイミングで観るほうが良いのではないでしょうか。後半は特に展開が早く、キャラクター達はさまざまな選択を迫られます。自分ならどうするか考えながら観て、サバイバル体験を味わってください。

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン

『罪人たち』
2025年6月20日より全国公開
PG-12
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

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TEXT by Myson

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