REVIEW

私は確信する

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『私は確信する』オリヴィエ・グルメ

フランスで実際に起こった未解決の“ヴィギエ事件”を映画化した本作で描かれる裁判では、憶測が飛び交います。3人の子どもを持つジャックは妻殺しの容疑者とされますが、そもそも妻は姿を消しただけで遺体も見つかっておらず、生死は確認されていません。そしてジャックが容疑者とされているのは、妻の恋人の証言があったからですが、彼の証言の真偽を示す証拠は乏しく、妻の恋人自身が怪しさ満載で、こんな簡単なことで殺人犯にされてしまうのかと恐怖を覚えます。でも私達も物語が進むにつれ、観ながら憶測だけの真犯人捜しに夢中になってしまう点で、事件に直接関わりがなくオーディエンスに過ぎない人物でも、冤罪を生む一端を担ってしまっていることに気付かされます。また裁判を仕切る人物のエゴが垣間見えるシーンも印象的に描かれていて、裁判そのものが機能していないとしたら、この世の中はどうなってしまうのかと一層恐ろしさを感じます。
そして、弁護士を演じるオリヴィエ・グルメをはじめ、弁護士を影で支える女性ノラを演じたマリーナ・フォイスや、イラッとさせるキャラクターを演じた他の役者達の演技も見事。また、二転三転する裁判の行方をスリリングに描きつつ、クライマックスの弁護士(オリヴィエ・グルメ)のスピーチでこの物語が伝えるべきメッセージをしっかり落とし込み、余韻を残す演出も秀逸です。フランスの社会問題を目の当たりにする物語ですが、日本でも同じようなことが起きているに違いありません。情報が飛び交う今を象徴する内容でもあるので、国は違えど身近な物語として観てください。

デート向き映画判定
映画『私は確信する』オリヴィエ・グルメ

最初から最後まで惹きつけられるはずなので、デートをしている意識が一瞬飛んで、物語にのめりこむと思います。でもそれはお互い様ということで、ぜひ観賞中は没頭して映画を楽しんでください。そういう意味でも、交際期間が浅く、何を話せば良いかわからないカップルは、話題探しに疲れたら本作を観ることで、一旦会話のネタ探しから解放されましょう(笑)。映画を観た後は、自然に会話のネタも見つかると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『私は確信する』オリヴィエ・グルメ/インディア・ヘア

弁護士とノラが事件の真相を探る上で、人物がたくさん出てくるので、キッズにはちょっとついていくのが大変だと思います。中高生くらいならそれなりに理解できるでしょうし、テンポ良く物語が進んでいくので飽きずに観られると思います。法廷劇のおもしろさも実感できる作品なので、これを機に他の法廷劇を描いた作品にも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

映画『私は確信する』マリーナ・フォイス/オリヴィエ・グルメ

『私は確信する』
2021年2月12日より全国順次公開
セテラ・インターナショナル
公式サイト

©Delante Productions – Photo Séverine BRIGEOT

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人 子どもの成長における大人との出会いの重要性『四月の余白』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は、元半グレで元受刑者の主人公が問題を抱えた少年、少女達と向き合う姿を描く『四月の余白』を取り上げます。

映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT) 口に関するアンケート【レビュー】

原作は、『近畿地方のある場所について』の原作者としてもお馴染みの背筋による小説「口に関するアンケート」です…

映画『スーパーガール』ミリー・オールコック スーパーガール【レビュー】

スーパーマンことカル=エル、地球での名前クラーク・ケントの従姉妹、スーパーガールのカーラ・ゾー=エルを主人公にした本作は…

映画『黒牢城』宮舘涼太 宮舘涼太【ギャラリー/出演作一覧】

1993年3月25日生まれ。東京都出身。

映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』岸井ゆきの/ツェン・ジンホア シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE【レビュー】

第58回谷崎潤一郎賞を受賞した吉本ばななの短編小説集「ミトンとふびん」に収められた一篇「SINSIN AND THE MOUSE」を原作とする本作は…

映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』ジェフリー・ラッシュ ジェフリー・ラッシュ【ギャラリー/出演作一覧】

1951年7月6日生まれ。オーストラリア、クイーンズランド州トゥーンバ出身。

映画『ロングウォーク』クーパー・ホフマン/デヴィッド・ジョンソン ロングウォーク【レビュー】

最後の1人になるまで休むことなく何日も歩き続けるというシンプルな設定で、背景が異なる若者達の成長と葛藤を見事に描く秀作…

映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック 『白パンと独裁者』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『白パンと独裁者』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『Michael/マイケル』ジャファー・ジャクソン ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『億万長者の不都合な終末』『急に具合が悪くなる。』『Michael/マイケル』など5作

6月はオススメしたい作品がいっぱいです!一部、短めに取り上げながら、今回はなるべくネタバレせずにお話しています。

映画『さよなら、僕の英雄』マッツ・ミケルセン/ニコライ・リー・コス さよなら、僕の英雄【レビュー】

『さよなら、僕の英雄』というタイトルや、マッツ・ミケルセンの新鮮な風貌から、ホッコリするストーリーなのかと思いきや…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集! 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

今回は、私の研究で扱っている情動知能を取り上げます。非認知能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT)
  2. 映画『スーパーガール』ミリー・オールコック
  3. 映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』岸井ゆきの/ツェン・ジンホア
  4. 映画『ロングウォーク』クーパー・ホフマン/デヴィッド・ジョンソン
  5. 映画『さよなら、僕の英雄』マッツ・ミケルセン/ニコライ・リー・コス

PRESENT

  1. 映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック
  2. 映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ
  3. 映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ
PAGE TOP