REVIEW
メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで期待を膨らませて観る方も多いのではないでしょうか。その期待に応えてくれる作品です。

豪華キャストの共演も本作の見どころです。オスカー・アイザック、ジェイコブ・エロルディ、ミア・ゴス、フェリックス・カメラー、チャールズ・ダンス、クリストフ・ヴァルツと実力派が名を連ねています。

本作は序章、第1部ヴィクターの話、第2部怪物の話で構成されています。第1部はヴィクター・フランケンシュタイン博士(オスカー・アイザック)がどうやって怪物(ジェイコブ・エロルディ)を生み出したのか、第2部は怪物がどう生きてきたのか、そしてヴィクターと怪物は最終的にどんな関係になったのかを描いています。

ヴィクターの視点で語られる第1部、怪物の視点で描かれる第2部ともに、人間とは何か、怪物とは何かを問うストーリーとなっています。そして、このストーリーから、ヴィクターもある意味怪物であり、怪物はある意味でフランケンシュタイン家の一員であると解釈できます。

本作を観ると改めて、メアリー・シェリーが生んだ「フランケンシュタイン」には、時代を超えた普遍性があると実感します。同時に、ギレルモ・デル・トロ監督によって加えられたオリジナリティ溢れるストーリーにもメタファーが効いていて、「人間とは何か」という問いが頭を巡ります。
以下はあくまで私の解釈です。読む方によってはネタバレと感じる内容が含まれるため、観終わってからお読みいただくことを推奨します。

印象深いシーンが数あるなか、まずヴィクターが“死”から“生”を生む研究に没頭するあまり、成功した後のことを考えていなかったと吐露するシーンが印象に残りました。とても皮肉が効いたユーモアのあるシーンでありつつ、テクノロジーがどんどん進化する現代社会でも人間は同じ問題をずっと抱えていることを思うとゾッとさせられるシーンでもあります。

また、怪物がこの世のあり方を悟った際の「時には自分でいるだけで追われ、殺されてしまうのだ」というセリフも心に刺さります。このシーンでは、憎しみがなくとも暴力がなくならない背景に、この世が弱肉強食で成り立っていること以外に、“種”の違いだけで分断されてしまう社会であることを痛感させられます。
本作は見応え充分で149分もあっという間でした。愛と憎しみ、罪と赦しを描いた本作は、また今後も観返したい1作です。
デート向き映画判定

エリザベス(ミア・ゴス)は無垢な愛を語る人物として重要な役割を果たしています。恋愛関係に限らず、人としてどう生きたいかを考えるきっかけとなるシーンも多々含まれるので、感想を話し合うと自ずと人生観が滲み出るでしょう。ゴシックホラーなので、もちろん不気味なシーンがあるものの、ギレルモ・デル・トロ監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』や『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』に通じる、美しい愛の物語が描かれています。ストーリー性の強いホラーは大丈夫という相手なら一緒に観るのも良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

怪物がいかに怪力で不死身かを描く上で、瞬間的にではあっても、グロテスクな描写も出てきます。13+と表示されており、映倫の基準でいうとPG-12相当なので、せめて中学生になってから観てください。人間とは何かという壮大なテーマを描きつつ、誰にでも理解しやすいセリフが使われています。本作に込められたメタファーは、さまざまな解釈ができるなか、1つは多様性についても考えさせられるので、ぜひ皆さんも観てみてください。

『フランケンシュタイン』
2025年11月7日よりNetflixにて配信中
13+
Netflix公式サイト
TEXT by Myson
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情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

- イイ俳優セレクション/オスカー・アイザック
- イイ俳優セレクション/クリストフ・ヴァルツ
- イイ俳優セレクション/ジェイコブ・エロルディ(後日UP)
- イイ俳優セレクション/チャールズ・ダンス
- イイ俳優セレクション/ミア・ゴス
- 『メアリーの総て』※18歳で「フランケンシュタイン」を書いたメアリー・シェリーの物語

























