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『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

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映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

スペインで行われた第 73 回サン・セバスティアン国際映画祭「NewDirectors 部門」でクロージング作品として上映された坂本悠花里監督の初の長編作品『白の花実』。今回は本作に出演する美絽さん(写真中央)、池端杏慈さん(写真右)、蒼戸虹子さん(写真左)にお話を伺いました。

<PROFILE>
美絽(みろ):次原杏菜 役
2008年生まれ。東京都出身。スカウトを機にデビューし、サントリー天然水「スパークリングレモン」などの多数のCM や、BUMPOFCHICKENの「Gravity」、ASIANKUNG-FUGENERATIONの「星の夜、ひかりの街 (feat.Rachel&OMSB)」など、話題MVに出演。また、モデルとして雑誌や広告に数多く出演。本作『白の花実』で映画初出演にして初主演を飾る。

池端杏慈(いけはた あんじ):穂乃川栞 役
2007年生まれ。東京都出身。2021年、ファッション誌「ニコラ」のオーディションでグランプリを獲得し、専属モデルを務めた。2023年、ポカリスエットの CM キャラクターに抜擢され、2025年にはゼクシィ15代目CMガールに起用され、注目を集める。ドラマ『オールドルーキー』(2022)で俳優デビューを果たし、映画『矢野くんの普通の日々』(2024)で映画初出演を飾る。最近の出演作には、『ストロベリームーン 余命半年の恋』(2025)などがある。さらに、「第104回高校サッカー選手権大会」応援マネージャーに決定した。

蒼戸虹子(あおと にこ):大野莉花 役
2009年生まれ。ハワイ出身。モデルとして活動後、2024年より俳優活動を開始。シリー ズ横溝正史短編集IV「悪魔の降誕祭」(2024)でデビュー後、ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」(2025)で連続ドラマ初出演を果たす。また、RADWIMPS「正解」のMVも話題になるなど、多岐に渡り活躍中。

静けさがあるからこそそれぞれの少女達の心の中が見えてくる

映画『白の花実』美絽/池端杏慈/蒼戸虹子

シャミ:
最初に役が決まった時や脚本を読んだ時に物語やそれぞれのキャラクターにどんな印象を持ちましたか?

美絽さん:
初めて脚本を読んだ時は喪失感を大きく感じました。また、10代の葛藤や悩みがすごく細かく繊細に描かれていて、すごくリアルな部分があるなと思いました。

映画『白の花実』美絽さんインタビュー

池端杏慈さん:
栞というキャラクターは大人びていて現実的で、物事を客観視できるキャラクターだと思いました。やはり幼馴染みの莉花が突然いなくなってしまったことへの寂しさとか切なさというのをどう表現したらいいのかが難しかったのですが、監督と何度か意見交換をするうちに、栞はとにかく莉花への愛情が1番強いキャラクターなので、そこを自分なりに噛み砕いてお芝居をしようと思いました。

映画『白の花実』池端杏慈さんインタビュー

蒼戸虹子さん:
私は喪失感の中に希望もあるように感じました。わからないことが多くあるなかで、自分と向き合ったり葛藤しながら杏菜や栞が新しいステージに向かっていく姿に少し希望みたいなものを感じました。

映画『白の花実』蒼戸虹子さんインタビュー

シャミ:
クラスになかなか馴染めない杏菜、完璧でありながら突然命を絶ってしまう莉花、幼馴染みの莉花の死に戸惑う栞と、それぞれが背景に何か抱えているキャラクターでした。役を演じる上で、特に難しかったところや工夫された点はありますか?

美絽さん:
杏菜の中に莉花の魂が入って来たところで、普段の杏菜との演じ分けが1番難しかったです。やっぱり莉花っぽさもあるけど杏菜なんだという、そのバランスに苦労しました。莉花の場合は上品なところがあるので、そういう部分は特に意識しました。

映画『白の花実』美絽

シャミ:
莉花を演じた蒼戸さんの演技も研究されたのでしょうか?

美絽さん:
はい、虹子の演技を見て取り入れた部分もたくさんあります。

池端杏慈さん:
栞の場合は、杏菜と莉花に対する対応が違い、特に最初は急に杏菜が莉花の日記を見つけたとか、魂が見えるということを信じられず、杏菜に対して不信感や嫌悪感を抱いていました。一方莉花に対しては大好きな幼馴染みで、常に一緒にいる存在なので、2人に対する表情の違いや気持ちの入れ替えが大変でした。栞は徐々に杏菜と仲良くなっていくのですが、やっぱりどこかで莉花を重ねている部分があるというのも、違う意味での難しさや迷いがありました。

映画『白の花実』池端杏慈/蒼戸虹子

蒼戸虹子さん:
私は撮影に入る前、莉花が抱えていた孤独や苦しみ、葛藤についてたくさん考えていたのですが、いざ莉花を演じるとなった時に、そういった莉花の抱えていたものに引っ張られすぎてしまうと、彼女が普段外に見せている明るさみたいなものがなくなってしまうかもと感じていて、そんな時に監督から「普通の学生として会話を楽しむ感じで」と。そこから莉花の姿がもっと立体的に見えるようになってきて、莉花の日常を大切に演じました。

シャミ:
それぞれのキャラクターを演じるなかで、特に共感できたところや、ご自身と似ていると感じた部分はありますか?

美絽さん:
杏菜はわりと頑固な一面も結構あるのですが、心の中では悩みがあったり、場の空気をちゃんと感じていたり、葛藤があるというところは私とわりと似ていると思います。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

池端杏慈さん:
栞は現実的な部分があったり、物事を冷静に見ているところがあって、私もどちらかというと落ち着いているほうなので、そこが似ていると思います。例えば友達が元気に話しているところに私も同じように入っていくというよりも、さりげなく参加するタイプなので、そういうところも似ています。逆に最初のほうで栞が杏菜に強く当たってしまうところは素直じゃないなと感じたのですが、自分が思っていることに対して素直になれない部分は、私もわかるなと思いましたし、やっぱり思春期の女の子なんだと感じました。

蒼戸虹子さん:
莉花が自分の気持ちを人に上手く表現できなかったり、悩みを相談できないところは、共感できるところがあります。私自身、自分の感情を出すことがあまり得意ではなくて頭の中で考えすぎてしまうところがあるので、そこも似ていると思います。でも、実際に莉花を演じながら自分の感情と向き合うことの大切さをすごく感じたので、私も自分の感情と向き合おうと今、頑張っているところです。

シャミ:
皆さん共感できるところがあったんですね。役を演じる上で事前に準備されたことや、監督と話し合ったことはありますか?

映画『白の花実』美絽/蒼戸虹子

池端杏慈さん:
監督と話し合いを重ねて、台本にない部分まで考えるようにしました。それから莉花がいなくなったことの寂しさをどう表現するのかと考えた時に、莉花との大切な思い出があるからこそ、栞は寂しいんだろうなと思ったので、本読みの時に虹子と架空で一緒にお芝居をしました。栞と莉花になって「今からパフェを食べに行こうよ」とか「今日は何の気分?」などと言い合い、台本にないバックボーンを作っていきました。だからこそ莉花がいなくなった時の栞の何ともいえない苦しさとか、取り残された側の寂しさを表現できたと思います。

蒼戸虹子さん:
映画もお芝居も初めてだったので、そもそも役とどう向き合うのかなど、わからないことだらけでした。半年の準備期間中に、ダンスレッスンやワークショップに参加して、監督と一緒に台本に書かれていない部分を埋めていきました。監督とたくさんコミュニケーションをとることで、役やお芝居との向き合い方をだんだん知ることができて、それが今の自分のベースになっている気がします。

映画『白の花実』美絽/池端杏慈

美絽さん:
ダンスは半年間皆と一緒に準備しました。あとは、とにかく台本を読んで杏菜の背景を考えたり、共感できるところを探しました。この映画は中学3年生の少女達を描いていますが、その前には何があったのかとか、杏菜の葛藤を埋めていく作業をしていきました。

シャミ:
杏菜のダンスのシーンでは、莉花が乗り移っている場面がすごく印象に残っています。途中で杏菜が引っ張られるような場面もありましたが、どのように撮影されたのでしょうか?

美絽さん:
あのシーンは実際に引っ張ってもらって撮影しました。

池端杏慈さん:
私は間近で見ていたのですが、本当にすごかったです。アクション部の方がワイヤーを付けて引っ張っていました。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

シャミ:
すごい!結構早かったですよね。

美絽さん:
でも全然大丈夫でした!

シャミ:
これからご覧になる方にも注目して観ていただきたいですね!

一同:
ぜひ!

シャミ:
本作では担任の先生役として門脇麦さんが出演されていましたが、共演されてみていかがでしたか?

映画『白の花実』門脇麦

美絽さん:
休憩時間の時など、門脇さんはすごく優しく話しかけてくださいました。初日にご一緒した時はすごく緊張していたのですが、話しかけていただいたことでリラックスできて、撮影にも安心して入ることができました。

池端杏慈さん:
門脇さんはすごくエネルギーに満ち溢れている方でした。最後のほうで栞と先生でお芝居をするシーンがあり、少しアドリブが入ったのですがあまり上手く対応できず、その時も門脇さんが明るく声をかけてくださり、そのおかげで気持ちが和らぎました。休憩時間にも明るく話しかけてくださったのがすごく印象的で、またいつかご一緒できるように頑張りたいと思います。

蒼戸虹子さん:
私は撮影の初日がダンスシーンで、ダンスは半年間ずっと準備してきたのですが、本番前は本当に緊張していたんです。そしたら門脇さんも前にバレエをされていたそうで、「これは絶対に大変だったよね」「緊張するよね」と声をかけてくださいました。そこで落ち着けた感覚があったので、すごくありがたかったです。

映画『白の花実』美絽/池端杏慈

シャミ:
本作では、莉花の日記も重要な役割を果たしていましたが、皆さんは普段日記など書かれていますか?

蒼戸虹子さん:
このお仕事を始めてからは、毎日ではありませんが日記を書いています。あとは、何でもメモを取るように心がけています。私自身忘れっぽい性格なこともあるのですが、その時に思ったことや強く感じたことでも時間が経つとやっぱり忘れてしまうなって。そういう感情が、お芝居をする上でも生きてくるものだと感じて、そこから忘れないようにメモするようにしています。

美絽さん:
私はたまに感情の整理ができなくなったり、頭で考えすぎてわからなくなってしまった時は、整理するためにノートに書くことがあります。文字で可視化されることで初めて自分はこんなことを思っていたんだとわかることもあるので書くことで整理しています。

池端杏慈さん:
印象に残ったことを何かに残しておきたいと思った時はスマホにメモするようにもしています。実際に書いて文字にするほうが良いんだろうなと思いつつ、ついスマホになってしまう時もあって。文字のほうが筆圧とかからその時の感情や個性が出るので、ペンでノートに書く大切さを忘れずにやっていきたいと思います。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

シャミ:
素敵な心がけをされているんですね!では、完成した本編をご覧になった感想を聞かせてください。

美絽さん:
私は思っていたよりも静かな映画だと感じて、そこが魅力でもあると思いました。その静けさがあるからこそそれぞれの少女達の心の中が見えてくる瞬間が多かったので、そこがすごく好きです。

池端杏慈さん:
中学生という未完成な少女達の嫉妬や好意とかいろいろな感情を抱いている姿が描かれていて、ある意味1番人間臭さのある映画だと思いました。すごく静かで綺麗でおしゃれな映画である一方で、少女達の内に秘められたものをすごく感じられたので、これから観る方にもまだ完成されていない少女達を覗いていただけたらなと思います。

蒼戸虹子さん:
映画を観た時に、少女の揺れ動く感情と景色や場所、制服などの衣裳がすごくマッチしているなと思いました。あと観終わった後の余韻がずっと続く感覚があって。それは私が今10代を過ごしているなかで感じたことのあるザワザワとした感情とか、そういったものとリンクしているからなのかなと思いました。今10代の方も大人の方も、この映画を観た時、どこかに感じたことのある感情がわいてくるのではないかと思います。

シャミ:
では、最後の質問です。普段お仕事の現場で常に意識されていることや、何か心がけていることがあれば教えてください。

映画『白の花実』美絽さんインタビュー

美絽さん:
私は挨拶を意識してするようにしています。お仕事を始めたのが小学校6年生の時で、当時はあまり社交的なタイプではなくて人見知りだったので、挨拶は本当に小さい声でしかできなかったんです。でも、やっぱり挨拶は1番大事だと思い、このお仕事を始めてからは最初と最後の挨拶は絶対に大きな声でするようにしています。

映画『白の花実』池端杏慈さんインタビュー

池端杏慈さん:
私は全員のスタッフの方々の名前を覚えるように心がけています。どんなにちょっとしたことでも名前を呼んで「ありがとうございました」と言うようにしています。このお仕事は1人でできるものではありませんし、「周りの人がいるからこそ、このお仕事は成り立っているから、その気持ちを絶対に忘れちゃダメだよ」と改めて言っていただく機会もあったりしたので、その気持ちを本当に忘れないようにしたいと思っています。でも、たまにフッと抜けてしまう瞬間があるので、そういうことがないように日頃から挨拶を意識的に元気にするように心がけています。

映画『白の花実』蒼戸虹子さんインタビュー

蒼戸虹子さん:
私はこのお仕事を始めてから自分と向き合うことを心がけています。このお仕事を始める前は、自分の感情について考えることがなくて、感情の起伏なく過ごしていたんです。ただ、役を考えることと、自分の中にあるものが繋がっているなと感じて。だから今は日常のちょっとしたことでも、自分ときちんと向き合って、自分を知ることを意識しています。

シャミ:
本日はありがとうございました!

2025年12月10日取材 TEXT by Shamy

映画『白の花実』美絽/池端杏慈/蒼戸虹子

『白の花実』
2025年12月26日より全国公開
監督・脚本・編集:坂本悠花里
出演:美絽/池端杏慈/蒼戸虹子/河井青葉/岩瀬亮/山村崇子/永野宗典/田中佐季/伊藤歩/吉原光夫/門脇麦
配給:ビターズ・エンド

周囲に馴染めず、転校を繰り返してきた少女の杏菜は、厳格な規律のもとで生徒が共同生活を送るキリスト教の寄宿学校に入学する。そこで杏菜は、踊りが上手く容姿端麗でクラスメイトや教師からの信頼も厚い完璧な少女の莉花と出会う。なかなかクラスに馴染めない杏菜だったが、莉花とだけはルームメイトとして徐々に心を通わせていく。しかし莉花は突然屋上から飛び降りて命を絶ってしまう。残されたのは一冊の<日記>。ページをめくるたび、莉花の苦悩や怒り、痛み、そして莉花の幼馴染み栞との記憶と、言葉にできなかった“ある秘密”が浮かび上がる。

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