REVIEW

私の知らないわたしの素顔

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『私の知らないわたしの素顔』ジュリエット・ビノシュ/フランソワ・シビル

テーマにもストーリーにもトリックにもジュリエット・ビノシュにも、すべてにおいて引き込まれました!原作はフランスの作家カミーユ・ロランスの同名小説で、ジュリエット・ビノシュが演じる主人公クレールが、心に大きな傷を負い、精神的に彷徨い、そして苦しみもがく様を描いています。20年連れ添った夫とは離婚し、若い恋人とも疎遠になったことで、孤独感を埋めようとしたクレールがSNSで架空の人物を作り、彼女になりすまします。途中までは想像できる展開なのですが、クレールがこの架空の人物としての人生にハマっていくほど、どんどん狂った方向に物事が進んでいきます。そんなクレールの心境を観る側も一緒に体感できる、ある意味ジェットコースター・ムービーで、クライマックスのたたみかけるような、二転三転するどんでん返しは、観る者を釘付けにするでしょう。
クレールはただ愛されたかっただけなのに、彼女が欲しいものに近づけば近づくほど、それが遠ざかっていくという皮肉な現実が残酷。でも、その本質に自分で気付かない限り、本当の幸せにはたどり着けないことを教えてくれます。美しい中年女性が、自分が失った若さに執着してしまう心境もとてもリアルですが、表面的な部分ではそこが問題に見えても、根本の心の問題は何なのかというところまで観ると、誰にでも通じる物語です。

デート向き映画判定
映画『私の知らないわたしの素顔』ジュリエット・ビノシュ/ギヨーム・グイ

男性の反応が読めないので、デートで観るとどちらに転ぶかわかりません。これはじっくり1人で観たいタイプの映画です。もしくは友達と観るほうが、気楽に観られる気がします。でも、クレールの気持ちは誰もが人生に一度は持つものなのではと考えると、お互いの孤独感を吐き出して、距離を縮めるきっかけにできるかも知れません。ただ、エッチなシーンが想像以上に多いので、ウブなカップルには不向きでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『私の知らないわたしの素顔』ジュリエット・ビノシュ

大人独特の複雑な感情を描いているので、キッズやティーンの皆さんにはまだピンとこないかも知れません。お母さんにもこういう一面があるのかも知れないと、子ども目線で想像するのも複雑な気持ちになりそうなので、成人してから観るくらいでも良いのではないでしょうか。

映画『私の知らないわたしの素顔』ジュリエット・ビノシュ/ニコール・ガルシア/フランソワ・シビル

『私の知らないわたしの素顔』
2020年1月17日より全国順次公開
R-15+
クレストインターナショナル
公式サイト

©2018 DIAPHANA FILMS-FRANCE 3 CINÉMA-SCOPE PICTURES

TEXT by Myson

関連記事

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  2. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  3. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  4. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』
  5. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP