REVIEW

ミステリアス・スキン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット

REVIEW

2004年にグレッグ・アラキ監督により制作された本作は、約20年の時を経て、日本で初めて劇場公開されます。主演を務めるのは、子役から活躍していたなか、コロンビア大学進学を機に一時休業していた後に復帰した、当時23歳でブレイク前のジョセフ・ゴードン=レヴィットと、アカデミー賞多部門ノミネートで注目を浴びた『ブルータリスト』で監督を務めたブラディ・コーベットです。本作は、2人の8歳の少年に起きた出来事が、それぞれどのように記憶され、後の人生に影響を与えているのかを描いています。

映画『ミステリアス・スキン』

公式サイトには、さらに具体的なあらすじが書かれており、観る方によっては注意が必要な内容です。ここから先は公式サイトで触れられている範囲のあらすじに少し触れつつ書いていますので、何も知らずに観たい方は鑑賞後にお読みください。

8歳のブライアンとニールは同じ少年野球チームに入っていました。始めにブライアンの記憶が振り返られ、次にニールの記憶が振り返られます。最初は子どもの目線で描かれていて真相は不明なものの、徐々に彼等に何が起きたのか察しがついてきます。成長したブライアン(ブラディ・コーベット)と、ニール(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、本当に恐ろしい思いをした出来事を全く異なる捉え方で記憶しています。彼等の記憶が大きく歪められていることから、その出来事がいかに彼等を傷つけたかが伝わってきます。

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ブラディ・コーベット

原作は、1995年に発表されたスコット・ハイムの同名小説で、ハイム自身の実体験が書かれていると知って、余計に何ともいえない気持ちになりました。本作のキャラクターでいえば、1人は出来事そのものをしっかり覚えていながら捉え方を歪めています。もう1人は出来事を覚えていなくて(トラウマによって消されているともいえる)、完全に別の記憶に置き換えられています。こうでもしなければ耐えられないほど深い傷を抱えながら成長した彼等が青年になり、勇気を持って真実と向き合う姿を観ると、胸が張り裂けそうになります。

映画『ミステリアス・スキン』

コーベットとレヴィットの演技も見事です。脇役には、エリザベス・シュー 、2025年に若くして逝去したミシェル・トラクテンバーグ、人気海外ドラマ『24 ‐TWENTY FOUR‐』クロエ役でお馴染みメアリー・リン・ライスカブ等が名を連ねています。日本では20年間劇場公開されなかった背景には、さまざまな事情が想像されるなか、直視すべきという機運が今ようやく高まったのかなと感じます。

デート向き映画判定

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ミシェル・トラクテンバーグ/ジェフリー・リコン

テーマが重く、内容的にもデート向きとはいえません。ただ、あってはならないことが絶対に起こらないよう、誰もが関心を持つべき内容なので、鑑賞体験を共有するのは有意義です。映画を一緒に観ることに慣れていて、忌憚のない意見を言い合えるカップルなら、デートで観るのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ミステリアス・スキン』

R-15なので、15歳未満の方はまだ観られません。15歳以上であっても、ショッキングな内容なので、本作の公式サイトの「本作をご鑑賞になるお客様へ」の内容を読んでから観ることをオススメします。本作で起きるような辛過ぎる出来事は、誰にもいえずに抱えてしまうことが多いと思います。身近な人物に関係するからこそ、難しい問題です。一見悪い人物でなくても、悪いことをする人がいると知る機会にもなるでしょう。

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット

『ミステリアス・スキン』
2025年4月25日より全国公開
R-15+
SUNDAE
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©️MMIV Mysterious Films, LLC

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP