戦争は人を狂わせ、人生を狂わせます。人は戦争の時だけ苦しめられるわけではなく、その前も後も苦しめられます。今回は、第二次世界大戦の背景にあった残酷な真実を描く作品を、物語の舞台となる年代順にご紹介します。
※全作実話を基にしています(その上で脚色されたフィクションも含む)。一部ネタバレを含みます。
<邦画>
戦時中(1941年)『開戦前夜』
終戦前(1944年)『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
戦後『地獄に堕ちるわよ』
<洋画>
戦時中(1941年)『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』
戦時中(1943年)『ヒトラーの毒見役』
終戦前(1944年)『白パンと独裁者』
戦争は“一生”付きまとう
開戦前夜

2026年7月31日より全国順次公開
東京テアトル
監督・脚本・編集:石井裕也
出演:池松壮亮/仲野太賀/岩田剛典/中村蒼/三浦貴大/二階堂ふみ/杉田雷麟/北村有起哉/嶋田久作/中野英雄/渡辺いっけい/別所哲也/松田龍平/奥田瑛二/國村隼/佐藤隆太/江口洋介/佐藤浩市
公式サイト

REVIEW
猪瀬直樹著のノンフィクション「昭和16 年夏の敗戦」を原案として創作され、2025年8月に放送されたNHKスペシャル『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』のドラマパート(前後編計98分)にシーンを追加し、138分の映画として完成させたのが本作です。
1941年4月、日本中のエリート達を集めた“総力戦研究所”という組織が作られました。この組織の目的は、アメリカをはじめとした諸外国と戦争をした場合にどのような結果を招くのかを予想することでした。最初は戦争を回避するためにシミュレーションを行っていると思いきや、状況は一転。世の中は戦争開始を煽る方向に傾いていきます。軍部も戦争準備を進めるなか、エリート達は絶望的な日本の未来を予測しますが…。
結果は明らかなのになぜ戦争をしたのか。本作を観ると、分析をしていた若きエリート達が自分や家族が危険な目に遭う覚悟で戦争を止めようとした姿に胸を打たれます。また、戦争を踏みとどまるタイミングが何度かあったとわかるだけに切なくなります。一方で、国民の間で生活への不満が募っていたからこそ戦争開始を叫ぶ声が出てきたという側面もみえ、とても複雑な状況にあったとわかります。いくら論理的に物事を運ぼうとしても、人の感情は無視できないことを知れる内容となっています。
ペリリュー ー楽園のゲルニカー

2026年7月19日よりNetflixにて配信中/ブルーレイ&DVD販売中
PG-12
東映
監督:久慈悟郎
声の出演:板垣李光人/中村倫也/天野宏郷/藤井雄太/茂木たかまさ/三上瑛士
公式サイト REVIEW

戦争が続いているのか、終わっているのかもわからない。いや、終わっていると気づいたとしても終わったことにできない。そんな矛盾のなかで葛藤し、故郷に帰る日を秘かに願いながら生きながらえる若き兵士2人の物語。
地獄に堕ちるわよ

2026年4月27日よりNetflixにて配信中
16+
監督:瀧本智行/大庭功睦
出演:戸田恵梨香/伊藤沙莉/三浦透子/奥野瑛太/田村健太郎/中島歩/細川岳/細田善彦/周本絵梨香/金澤美穂/笠松将/富田靖子/市川実和子/高橋和也/杉本哲太/余貴美子/石橋蓮司/生田斗真
公式サイト ドラマ批評

一世を風靡した実在の占い師、細木数子の実話に基づくフィクション。食うか食われるかのどちらかしかないような戦後の社会で、苦境を生き抜くためにとった行動が、数子の運命をどう変えていったのかを描いています。
生きるための究極の選択
真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜

2026年10月16日より全国順次公開
ハーク
監督・製作・脚本:マット・ウィテカー
出演:ユアン・ホロックス/フェルディナンド・マッケイ/ダフ・トーマス/ナイ・オックモア/ルパート・エヴァンス
公式サイト REVIEW(後日UP)

1941年のハンブルク。わずか16歳で、類い希な文才により、ナチスドイツの嘘を市民に知らせ、真実に目を向けさせようとしたヘルムス・ヒューベナーの壮絶な戦いを描いています。ヒトラーに最期まで抵抗した〝最年少のレジスタンス闘士”ヘルムスは、17歳で死刑を言い渡されても信念を曲げませんでした。
ヒトラーの毒見役

2026年7月31日より全国順次公開
PG-12
アンプラグド
監督:シルヴィオ・ソルディーニ
出演:エリーザ・シュロット/マックス・リーメルト/アルマ・ハスーン/エマ・ファルク/オルガ・フォン・ラックヴァルト/テア・ラッシェ/ベリット・ヴァンダー/クリームヒルト・ハーマン
公式サイト

REVIEW
本作は、2012年、ドイツ人女性のマルゴット・ヴェルクがヒトラーの毒見役だったと告白した証言に基づいています。ヴェルクはヒトラーの協力者とみられることを恐れて戦後67年もの間、沈黙を貫いていたといわれています。
第二次世界大戦末期の1943年、戦地で戦う夫の帰りを待つローザ(エリーザ・シュロット)は、身を寄せている義両親の家の近くにある、ヒトラーの総統大本営“ヴォルフスシャンツェ”に呼ばれます。国民達が食糧難に苦しんでいるにもかかわらず、ローザを含めた女性達に出されたのはご馳走でした。でも、その食事はヒトラーに出す料理の毒見が目的でした。
内心ではヒトラーを支持しているわけでもなく、拒否ができない状況で毒見役をしながら、夫が無事に帰ることを待つローザの心痛は計り知れません。ローザは一見不可解な行動をとるものの、いつ死ぬかわからない恐怖心と夫がいない孤独感を思えば、わからなくもありません。人が人として扱われない状況の異常さが常態化している風景にも恐ろしさを感じます。
白パンと独裁者

2026年8月7日より全国公開
ビターズ・エンド
監督・脚本:ファティ・アキン
出演:ジャスパー・ビラーベック/ローラ・トンケ/リーザ・ハークマイスター/キアン・ケップケ/ダイアン・クルーガー
公式サイト

REVIEW
本作は、ファティ・アキン監督の「恩師でありドイツ映画界の重鎮ハーク・ボームの幼少期の記憶を、愛弟子であるアキンが映画化した渾身の一作」です(映画公式資料)。
物語の舞台は1945年4月、ドイツ北部のアムルム島です。12歳のナニング(ジャスパー・ビラーベック)は、身重の母や年下のきょうだいのために親友のヘルマンと一緒に農場の畑仕事を手伝い、食料などを得ています。そんなある日、ナニング達は飢えに苦しむ難民を連れた島民から、ドイツが劣勢であるという戦況を聞きます。
ちょっとした会話だと思っていたら、ある人物の思わぬ一言が本作のストーリーに大きく関わってきます。ヒトラーに本心から忠誠を誓う者とそうでない者がいる状況で、その態度の違いが実際の生活にどんな影響を及ぼしていたのかを、ナニングの目を通して描かれていきます。
本作は、ヒトラーが自決する前の1週間を、ドイツ国民の日常に照らして描いています。このたったの1週間でナニングが目にする世界は大きく変わっていきます。その過程では、人々の思想がいかに運命を左右するかが映し出されると同時に、昨日“危険な思想”といわれていた思想が、次の日には“まともな思想”とされるような戦争の異常な状況が生々しく映し出されています。
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©2026 ポニーキャニオン/東京テアトル/NHK エンタープライズ/RIKI プロジェクト
©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会
©2025 Truth&Treason. LLC. All Rights Reserved.
©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution
© 2025 Bombero International Gmbh & Co. Kg
TEXT by Myson
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情報は2026年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。




























