REVIEW

アダムの原罪【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ

REVIEW

Playground/校庭』で、子ども達が日々直面している“現実”を生々しく描いたローラ・ワンデル監督(脚本も担当)の長編2作目となる作品です。なお、本作の製作は、ベルギーを代表する名監督、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が務めています。

映画『アダムの原罪』アナマリア・ヴァルトロメイ

物語の舞台は、とある病院の小児科センターです。左腕を骨折し入院中の4歳のアダム(ジュール・デルサール)と母レベッカ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、小児科センターで何やら説明を受けています。アダムの骨折には、複雑な背景があるようで、徐々にアダムとレベッカがどういう状況にあるのかが明かされていきます。

映画『アダムの原罪』アナマリア・ヴァルトロメイ

キャラクターに対する先入観を持たずに観て欲しいので、詳しくは書かずにおくとして、本作のテーマには、親の保護責任が関連しています。レベッカとアダムの様子を観ていると、母子間の愛情だけでは片付けられない複雑な状況があるとわかります。

アダムが4歳と幼い点も問題を複雑にしています。子どもの意志を尊重しようにも、親の影響力が大きく、どこまで幼い子ども自身が理解して意志を表明しているのかは、第三者の大人達には難しい判断となります。

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール

こうした状況で、看護師長のルシー(レア・ドリュッケール)が、レベッカとアダムを支えようとする姿が印象的です。お役所仕事で片付けられそうな状況を防ぐべく、レベッカとアダムの気持ちに寄り添い、2人にとってなるべく最善な状況になるよう奔走します。

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール

最後にアダムがか弱い声で発する重い一言が胸に刺さります。さまざまな立場の大人達が自分の運命を左右する状況で、幼いアダムが振り絞って出した答えがすべてを物語っています。映画公式資料によると、「アダムのために」と訳される英題の“Adam‘s Sake”について、ワンデル監督は、「アダムという名前は、旧約聖書に登場する最初の人間から取ったものです。(中略)今回でいうと、アダムのためになることは人類のためになる。そこに焦点を当てたかったのです」と述べています。アダムの最後の一言は、大人達にこの視点を突きつけたように映ります。

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール

本作では、誰が正しくて、誰が間違っているというわけではない状況が描かれています。そうしたなかで、大人が忘れてはいけない視点をもたらすストーリーとなっています。本作でも、ローラ・ワンデル監督の手腕を感じます。

デート向き映画判定

映画『アダムの原罪』アナマリア・ヴァルトロメイ

親としての責任や子育てについて考えさせられる内容なので、お子様がいらっしゃる夫婦や、これから一緒に家庭を築く予定の2人が一緒に観ると、お互いの考えを共有する機会にできるかもしれません。また、幼い子どもでも耳を傾ける必要性があると再確認できるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『アダムの原罪』

大人が気づかされる事柄が多い作品であると同時に、子どもにとっても、いろいろな考えをもたらす作品だと思います。ただし、状況を事細かに説明してくれるタイプの映画ではないので、せめて小学生高学年くらいになってから観たほうが、自分なりに理解しながら観られるように思います。一方で、言葉ではない面から伝わってくるものも大いにあるので、親子で観て感想を語るなかで、一緒に考えを深めていく観方もオススメです。

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ

『アダムの原罪』
2026年6月5日より全国順次公開
スターキャットアルバトロス・フィルム
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©DRAGONS FILMS – LES FILMS DU FLEUVE – LES FILMS DE PIERRE – LUNANIME – FRANCE 3 CINÉMA – BE TV & ORANGE – PROXIMUS – RTBF (TÉLÉVISION BELGE) – SHELTER PROD

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ アダムの原罪【レビュー】

『Playground/校庭』で、子ども達が日々直面している“現実”を生々しく描いたローラ・ワンデル監督(脚本も担当)の長編2作目…

ドラマ『スピナーベイト』制作発表記者会見、加藤清史郎、駿河太郎、萩原護、奥野壮、高橋侃、桃児、吉澤要人、吉村界人 青春が足りてない(笑)!?加藤清史郎、駿河太郎、吉村界人等が登壇、和気あいあい『スピナーベイト』制作発表記者会見

映画、ドラマ、舞台で実写化され大ヒットを記録した漫画「セトウツミ」や、国内外で話題を呼んだアニメ「オッドタク シー」(2021年TX)のオリジナル脚本を手掛け、近年では、「シナントロープ」や「ホウセンカ」の原作・脚本、週刊ヤングジャンプにて連載中の漫画「カミキルKAMI KILL-」(原作)などでも知られる此元和津也の原作漫画がドラマ化されました。今回は、このドラマに出演するキャストが勢揃いし、制作発表記者会見を開きました。

映画『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年5月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年5月】のアクセスランキングを発表!

映画『アン・リー/はじまりの物語』アマンダ・セイフライド アン・リー/はじまりの物語【レビュー】

アマンダ・セイフライドを主演に迎え、『ブルータリスト』のスタッフが贈る本作は、シェーカー教団の創始者アン・リーの実話を基にして…

映画『モータルコンバット/ネクストラウンド』カール・アーバン モータルコンバット/ネクストラウンド【レビュー】

エド・ブーンとジョン・トビアスが手掛けた同名ビデオゲームを原作とする本作では…

映画『炎上』森七菜/髙橋芽以 心理学から観る映画61:欲求の階層からみるキャラクターの心情『嵐が丘』『炎上』『マテリアリスト 結婚の条件』

今回は、マズローの「基本的欲求」の観点から、キャラクターがどのような心理状態にあるのかを考察します。

映画『TOKYO BURST-犯罪都市-』水上恒司/ユンホ(東方神起) TOKYO BURST-犯罪都市-【レビュー】

REVIEWマ・ドンソクが主演の人気シリーズ“犯罪都市”の初のユニバース作品として作られた…

映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン 『サヨナラの引力』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サヨナラの引力』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント:メリル・ストリープ メリル・ストリープ【ギャラリー/出演作一覧】

1949年6月22日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』穂志もえか Never After Dark/ネバーアフターダーク【レビュー】

『忍びの家 House of Ninjas』で、主演、プロデューサーを務めた賀来賢人と、ショーランナー、脚本と監督を務めたデイヴ・ボイルは、映像製作会社“SIGNAL181”を共同で立ち上げ…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原 セルフ・モニタリングとモデリングの機会となる映画鑑賞(論文紹介)&映画でSELラボOPEN!

株式会社TSトーキョーは、映画でSELラボをオープンしました!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以
  2. 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!
  3. 【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原

REVIEW

  1. 映画『アダムの原罪』レア・ドリュッケール/アナマリア・ヴァルトロメイ
  2. 映画『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』
  3. 映画『アン・リー/はじまりの物語』アマンダ・セイフライド
  4. 映画『モータルコンバット/ネクストラウンド』カール・アーバン
  5. 映画『TOKYO BURST-犯罪都市-』水上恒司/ユンホ(東方神起)

PRESENT

  1. 映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン
  2. Prime Original ドラマシリーズ 『クロエマ』杉咲花/多部未華子
  3. 映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT)
PAGE TOP