REVIEW

エマニュエル【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『エマニュエル』ノエミ・メルラン

REVIEW

エロティシズムとは何ぞやというのを突き詰めている作品です。エロチックに見えている光景が瞬時にエロチックに見えなくなったり、どんなにエロチックな行動をしていても、全くエロチックに見えなかったり、それって何が原因なのだろうと考えるきっかけになります。そして、その背景では、人が自分自身であることの意味と繋がっていて、性と欲望の探求を経て自分を見つける物語ともいえます。
タイトルからわかる通り、本作はエマニエル・アルサン著「エマニエル夫人」に由来します。1974年には日本でも映画『エマニエル夫人』が公開され、大人から女子高生まで劇場に詰めかけたとあります(映画公式サイトより)。本作は「エマニエル夫人」を原案に、舞台を現代に置き換えて作られた作品です。

本作で監督・脚本(レベッカ・ズロトヴスキとの共同脚本)を務めたのは、『あのこと』でベネチア国際映画祭金獅子賞、ルミエール賞作品賞を受賞し、手腕を認められたオードレイ・ディヴァン。ディヴァン監督は本作のセックスシーンについて下記のように述べています。

最も純粋で、制御不能で、表現が難しい身体の反応がオーガズムであるのにもかかわらず、ほとんどの場合、映画では女性のオーガズムは男性の性的能力の証明としてしか描かれていません。ポルノグラフィーは、大声をあげる女性のイメージを何十万と生み出してきました。女性のオーガズムを適切に表現する方法を見つけるのには時間がかかりました。(映画公式サイトより)

映画公式サイトにはもう少し詳しく載っているので良ければ読んでみてください。また、本作は、エマニュエルを演じたノエミ・メルランの高い演技力がなければ成立しません。かなり赤裸々な内容な上に表現が難しくて繊細なので、エマニュエル役を引き受ける俳優、そして演じきれる俳優はなかなかいないと感じます。映画公式サイトにはノエミのインタビューも掲載されているのでぜひ読んでみてください。
本作を観た上で、1974年の『エマニエル夫人』を観てみると、新たな発見があるかもしれません。時代背景やキャラクター設定の違いなどもあるので、比較してみるのも良さそうですね。

デート向き映画判定

映画『エマニュエル』ノエミ・メルラン

性描写がふんだんにあるので、デートで観るのは気まずいでしょう。ただ、ステレオタイプな見方を改めるという目的があるなら、カップルで一緒に観ると、有意義な部分もありそうです。観ようによってはすごくサバサバしているようにも見えるので、観察する感覚になると、デートでも割り切って観られるかもしれないですね。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『エマニュエル』ノエミ・メルラン

15歳以上の方なら観られるとはいえ、キャラクターの心情に注目する以前に、やはり見た目の刺激に意識が向いてしまうかもしれません。心と体の繋がりが重要という点は何となく理解できそうですが、大人になってから観たほうが、キャラクター達に共感しながら観られると思います。

映画『エマニュエル』ノエミ・メルラン

『エマニュエル』
2025年1月10日より全国公開
R-15+
ギャガ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

映画『エマニュエル』ノエミ・メルラン

2025年4月25日ブルーレイ&DVD発売
Amazonでブルーレイを購入する

© 2024 CHANTELOUVE – RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – PATHÉ FILMS

TEXT by Myson


関連作

「新訳 エマニエル夫人」エマニエル・アルサン 著/二見書房
Amazonで書籍を購入する 

『エマニエル夫人』(1974年版)R-18+
Amazonプライムビデオで観る

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『果てしなきスカーレット』
  2. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  3. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  4. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP