REVIEW

大いなる不在【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『大いなる不在』森山未來/藤竜也

REVIEW

物語の序盤は、物々しい意外なシーンで始まります。一瞬、想像と異なる映画が始まるのかと思わせる、そのシーンや、途中途中に入る不可解な出来事もサスペンスの要素に見えてきて、本作には多面的なおもしろさがあります。軸は、認知症の父と長らく疎遠になっていた息子の物語です。父の陽二は認知症を発症していて、卓は父の世話のために一時的に会いにきます。そして、父の症状が重いと気付き、これまでに何が起こったのかを辿っていきます。そうするうちに、会っていなかった間の父との時間を取り戻していきます。

映画『大いなる不在』森山未來

『大いなる不在』というタイトルが意味するところは、子どもの頃に主人公、卓(森山未来)とその母の元から去った父、陽二(藤竜也)だろうことはすぐにわかります。でも、物語が進むにつれて、キャラクター各々にとっての“大いなる不在”が描かれているようにも見えてきます。だから、本作は父と息子の物語であり、夫と妻のラブストーリーにも見えます。個人的には、ラブストーリーの要素が予想以上に印象に残りました。言い換えると、そのラブストーリーにこそ父の人生観が表れていて、息子が父を理解する上で助けになっているようにも受け取れます。

映画『大いなる不在』森山未來/真木よう子/藤竜也

陽二が元教授という点で哲学的なセリフも印象に残ります。また、陽二の認知機能が失われていく背景に何が起こっていたのかというストーリーには推理を促す要素もあり、いろいろな角度から楽しむことができます。どのキャラクターの視点で観るかによっても、見え方が異なりそうなので、観た者同士で感想を述べ合うのもおもしろそうです。

デート向き映画判定

映画『大いなる不在』原日出子/藤竜也

2組の夫婦が登場し、夫婦の形を客観視するきっかけになるでしょう。強い愛情によって結ばれたとお互いに信じていても、愛で乗り越えられないかもしれないと思えるような辛い出来事が起こる可能性は誰にでもあるという現実を見ることもできます。ベテラン夫婦はもちろんのこと、若いカップルや夫婦も将来の自分達の状況を本作でシミュレーションしてみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『大いなる不在』真木よう子

いろいろな経験を経て、大人になってから観るほうがキャラクター達の心情をよりリアルに想像できると思います。ただ、祖父母と過ごす機会が多い方は、認知症の問題が身近な場合もあるでしょう。認知症を引き起こすと本人や周囲の人がどんなことで困るのかを知ることで、少し力になることができるかもしれません。

映画『大いなる不在』森山未來/藤竜也

『大いなる不在』
2024年7月12日より全国順次公開
ギャガ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023 CREATPS

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック 戦争で歪む人の心理―当事者だけが知る残酷な真実―

戦争は人を狂わせ、人生を狂わせます。人は戦争の時だけ苦しめられるわけではなく、その前も後も苦しめられます。今回は、そうした残酷な真実を描く作品をご紹介します。

映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』 ペリリュー −楽園のゲルニカ−【レビュー】

絵は可愛らしいけれど、壮絶な内容です。本作は、武田一義が史実に基づいて描いた同名の戦争漫画を原作としています…

ドラマ『地獄に堕ちるわよ』戸田恵梨香 地獄に堕ちるわよ【レビュー】

本作は、実在した占い師、細木数子の半生を描いています。細木数子の他にも島倉千代子など実在の人物が登場するものの、1話の冒頭では「この物語は事実に基づいた虚構である」という一文が表示されています…

映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』ツェン・ジンホア ツェン・ジンホア【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月30日生まれ。台湾宜蘭県出身。

映画『プライベート・ケース』ジョディ・フォスター プライベート・ケース【レビュー】

ジョディ・フォスター初のフランス映画は、もちろん全編フランス語です…

映画『モアナと伝説の海』キャサリン・ラガイア モアナと伝説の海【レビュー】

アニメーションの“モアナと伝説の海”シリーズに魅了された者としては、実写で観てみたいという願いが叶っただけで、まず満足…

映画『スーパーガール』イヴ・リドリー イヴ・リドリー【ギャラリー/出演作一覧】

2011年12月13日生まれ。イギリス出身。

映画『Return to My Blue』吉原壮眞 Return to My Blue【レビュー】

「春休み、小学校の連絡帳に『無人島へ冒険に行ってきました』って書いたら、格好良くない?」という一言から始まった、無人島への冒険…

映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン 『左利きの少女』一般試写会 10組20名様ご招待

『左利きの少女』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『PEACOCK/ピーコック』アルブレヒト・シュッフ PEACOCK/ピーコック【レビュー】

人間という社会的動物の残念な一面を揶揄する秀逸なストーリーです…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック
  2. 映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
  3. ドラマ『地獄に堕ちるわよ』戸田恵梨香
  4. 映画『プライベート・ケース』ジョディ・フォスター
  5. 映画『モアナと伝説の海』キャサリン・ラガイア

PRESENT

  1. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン
  2. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP