REVIEW

兎たちの暴走【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『兎たちの暴走』ワン・チェン(万茜)

本作は、実際に起きた事件から着想得て、人物やストーリーはすべて脚色の上、作成された映画です。17歳のシュイ・チン(リー・ゲンシー)は、父と継母、腹違いの弟と暮らしています。そんなある日、シュイ・チンは1歳の頃に家を出た実母に再会します。空白の期間を埋めていくかのように2人は急速に心の距離を近づけていくなか、シュイ・チンは実母が抱える問題を知ります。
冒頭で何が起きたのかが先に描かれているので、間にどんないきさつがあったのかを辿りながら観ることになります。シュイ・チンがあまりに素直で良い子なだけに、これ以上傷ついて欲しくないという気持ちが観る側に芽生えてきます。そして、実母のチュー・ティン(ワン・チェン)の性格が見えてくると、自然に感情移入してしまいます。さらに、シュイ・チンの親友2人も問題を抱えていて、すべてが絡み合い、事件へと繋がっていく展開は最初から最後まで目が離せません。
本作はキャラクター設定がとても丁寧で、メインキャラクターの多面性が、読めない展開に繋がっています。また、それぞれにとっての“正義”が食い違う点も物語をドラマチックにする要素となっています。
社会的弱者が幸せを掴むことが難しい現実を描いた本作は、観る者に複雑な心境をもたらしつつ、人の温かさも見せてくれる作品です。

デート向き映画判定
映画『兎たちの暴走』リー・ゲンシー(李庚希)

恋愛要素はなくシリアスな内容なので、デートのムードを盛り上げてくれるタイプの作品とはいえないものの、カップルで観て気まずいシーンはないので、2人とも興味があれば一緒に観るのもアリでしょう。感想に正解、不正解があるわけではないとはいえ、キャラクターに対してどんな感情を抱いたかというところに、人となりが多少出てくるのではないかと思います。お互いを知るきっかけに観るのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『兎たちの暴走』リー・ゲンシー(李庚希)/チャイ・イェ(柴燁)

皆さんは3人の女子高生の目線で、身近な感覚で観られると思います。主人公達と同じ状況にないとはいえ、学校での友達関係が不安定になる経験は誰にでもあるでしょう。また、家庭環境で悩んでいる方は、他人事として観られないかもしれません。解決策を教えてくれるストーリーではないものの、感情に訴えてくるものがある作品です。自分の中のモヤモヤを客観視するきっかけに観てみるのはどうでしょうか。

映画『兎たちの暴走』リー・ゲンシー(李庚希)

『兎たちの暴走』
2023年8月25日より全国順次公開
アップリンク
公式サイト

©Beijing Laurel Films Co.,Ltd.

TEXT by Myson

本ページの情報は2023年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『リモノフ』ベン・ウィショー リモノフ【レビュー】

1943年生まれのエドワルド・リモノフは、ウクライナ出身で、「詩人、作家、反体制派、亡命者、執事、ホームレス、兵士、活動家、革命家、といくつもの顔」を持っています…

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人 『ミーツ・ザ・ワールド』監督登壇!一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ミーツ・ザ・ワールド』監督登壇!一般試写会 10組20名様ご招待

映画『サターン・ボウリング』アシル・レジアニ 『サターン・ボウリング』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『サターン・ボウリング』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃 これって、良いこと?悪いこと?『ふつうの子ども』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は環境問題に強い関心を持つ少女と、そんな彼女に思いを寄せる少年の物語『ふつうの子ども』を取り上げます。

映画『ビートルジュース ビートルジュース』モニカ・ベルッチ モニカ・ベルッチ【ギャラリー/出演作一覧】

1964年9月30日生まれ。イタリア出身。

映画『バード ここから羽ばたく』ニキヤ・アダムズ/バリー・コーガン バード ここから羽ばたく【レビュー】

イギリス、アメリカ、フランス、ドイツの合作である本作には、イギリス、ケント州出身のアンドレア・アーノルド(監督・脚本)や、アイルランド、ダブリン出身の俳優バリー・コーガン、ドイツのフライブルク・イム・ブライスガウ出身の俳優フランツ・ロゴフスキと…

映画『美しい夏』ディーヴァ・カッセル ディーヴァ・カッセル【ギャラリー/出演作一覧】

2004年9月12日生まれ。イタリア、ローマ出身。

映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』橋本環奈/眞栄田郷敦/櫻井海音/安斉星来/鈴木福/本田真凜/吉田剛明 カラダ探し THE LAST NIGHT【レビュー】

失踪した少女のカラダのパーツをすべて見つけるまで死のループから出られない“カラダ探し”は…

映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン 『テレビの中に入りたい』トークショー付き一般試写会 10組20名様ご招待

映画『テレビの中に入りたい』トークショー付き一般試写会 10組20名様ご招待

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『リモノフ』ベン・ウィショー
  2. 映画『バード ここから羽ばたく』ニキヤ・アダムズ/バリー・コーガン
  3. 映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』橋本環奈/眞栄田郷敦/櫻井海音/安斉星来/鈴木福/本田真凜/吉田剛明
  4. 映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ
  5. 映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン

PRESENT

  1. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
  2. 映画『サターン・ボウリング』アシル・レジアニ
  3. 映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン
PAGE TOP