REVIEW
家族の絆というより、家族の呪縛を描いているようでいて、優しさが漂うストーリーです。原作は、「川のほとりに立つ者は」で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなの同名小説、監督は『愛に乱暴』森ガキ侑大が務めています。

映画のタイトルがスクリーンに映し出された後に出てくる朝のシーンでは、面倒見の良い姉が弟を起こしに来ます。その光景は穏やかなストーリーを想像させるものの、ところどころに違和感が出てきます。そして、家族のそれぞれが抱えている問題が見えてきます。

そんななかでも、主人公の山吹(高杉真宙)は家族の陰の部分に呑み込まれずに優しさを保っているように映ります。でも、家族だけではなく、周囲の人間も山吹の優しさに甘え過ぎる人物が出てきます。

本作には別のタイプの複雑な家族関係を持つかな子(深川麻衣)も出てきます。かな子も含めてそれぞれのキャラクターを観ていると、家族がいる喜びもあれば、家族でいる辛さもあると実感します。端からみた家族関係の良し悪しには関係なく、家族と一緒にいたい人もいれば、離れているほうがお互いのためと考える人もいる。でも、全く価値観が異なっても繋がりが絶てない家族という枠組みは、私達が考えている以上に強烈な威力を持っています。

ただ、この強烈な繋がりがあるからこそ離れられるともいえて、どこかで繋がっているという感覚は救いなのだろうと思います。そして、家族だから甘やかし、甘えることもあれば、家族だから厳しくし、厳しくされることもあります。どんな態度をとるのかは家族の中での役割があって、一見苦しくてもお互いにとって意味のある役割を持って家族として生まれついたのかもしれません。そんなことを思うきっかけとなる1作です。
デート向き映画判定

山吹の恋愛は上手くいく部分もあれば、複雑な思いをさせられる場面もあります。性格が優しいと頼られることの多い方は、山吹と似たような体験をしているかもしれません。都合の良い時だけ頼られても断れずに身を削られていく思いをさせられる相手がいる方は、変化をもたらすヒントとして、山吹の選択を観てみてはどうでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

山吹が小学生の頃から大人になるまでを描いていて、複雑な家族関係がどう変わっていくのかを観ることができます。大人目線では客観視できるところも、子ども心にはグサッとくるシーンやセリフもあるかもしれません。PG-12なので親子で観て感想を話し合うと、普段はわざわざ口に出しづらい本心を言える機会にできるかもしれないものの、頭で考える良し悪しだけでは分別をつけづらい内容も含まれるので、どんな意見も否定せずに話せる間柄で観るほうが望ましいです。

『架空の犬と嘘をつく猫』
2026年1月9日より全国公開
PG-12
ポニーキャニオン
公式サイト
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©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会
TEXT by Myson
関連作
「架空の犬と嘘をつく猫」寺地はるな 著/中央公論新社
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情報は2026年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。




























