REVIEW

架空の犬と嘘をつく猫【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/安藤裕子/向里祐香/安田顕

REVIEW

家族の絆というより、家族の呪縛を描いているようでいて、優しさが漂うストーリーです。原作は、「川のほとりに立つ者は」で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなの同名小説、監督は『愛に乱暴』森ガキ侑大が務めています。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/向里祐香

映画のタイトルがスクリーンに映し出された後に出てくる朝のシーンでは、面倒見の良い姉が弟を起こしに来ます。その光景は穏やかなストーリーを想像させるものの、ところどころに違和感が出てきます。そして、家族のそれぞれが抱えている問題が見えてきます。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華

そんななかでも、主人公の山吹(高杉真宙)は家族の陰の部分に呑み込まれずに優しさを保っているように映ります。でも、家族だけではなく、周囲の人間も山吹の優しさに甘え過ぎる人物が出てきます。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/深川麻衣

本作には別のタイプの複雑な家族関係を持つかな子(深川麻衣)も出てきます。かな子も含めてそれぞれのキャラクターを観ていると、家族がいる喜びもあれば、家族でいる辛さもあると実感します。端からみた家族関係の良し悪しには関係なく、家族と一緒にいたい人もいれば、離れているほうがお互いのためと考える人もいる。でも、全く価値観が異なっても繋がりが絶てない家族という枠組みは、私達が考えている以上に強烈な威力を持っています。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』余貴美子

ただ、この強烈な繋がりがあるからこそ離れられるともいえて、どこかで繋がっているという感覚は救いなのだろうと思います。そして、家族だから甘やかし、甘えることもあれば、家族だから厳しくし、厳しくされることもあります。どんな態度をとるのかは家族の中での役割があって、一見苦しくてもお互いにとって意味のある役割を持って家族として生まれついたのかもしれません。そんなことを思うきっかけとなる1作です。

デート向き映画判定

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華

山吹の恋愛は上手くいく部分もあれば、複雑な思いをさせられる場面もあります。性格が優しいと頼られることの多い方は、山吹と似たような体験をしているかもしれません。都合の良い時だけ頼られても断れずに身を削られていく思いをさせられる相手がいる方は、変化をもたらすヒントとして、山吹の選択を観てみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『架空の犬と嘘をつく猫』柄本明

山吹が小学生の頃から大人になるまでを描いていて、複雑な家族関係がどう変わっていくのかを観ることができます。大人目線では客観視できるところも、子ども心にはグサッとくるシーンやセリフもあるかもしれません。PG-12なので親子で観て感想を話し合うと、普段はわざわざ口に出しづらい本心を言える機会にできるかもしれないものの、頭で考える良し悪しだけでは分別をつけづらい内容も含まれるので、どんな意見も否定せずに話せる間柄で観るほうが望ましいです。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/深川麻衣/安藤裕子/向里祐香/安田顕/余貴美子

『架空の犬と嘘をつく猫』
2026年1月9日より全国公開
PG-12
ポニーキャニオン
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「架空の犬と嘘をつく猫」寺地はるな 著/中央公論新社
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』ロムニック・サルメンタ/イライジャ・カンラス アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス【レビュー】

怖い!巧い!物語の舞台はレストランの一席、ほぼ2人の登場人物で展開される会話劇で、ここまでスリリングな作品に仕立て上げるとは…

映画『恋愛裁判』唐田えりか 唐田えりか【ギャラリー/出演作一覧】

1997年9月19日生まれ。千葉県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 利口な子どもに甘える大人『グッドワン』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は、父と娘、父の友人の3人で出かけたキャンプでの様子を描く『グッドワン』を取り上げ、娘サム、父クリスと、その友人マットそれぞれの視点でどんな思考が働いていたかを想像してみます。

映画『モディリアーニ!』リッカルド・スカマルチョ モディリアーニ!【レビュー】

35歳の若さで亡くなったイタリア人の芸術家アメデオ・モディリアーニの人生を変えた3日間を描く本作では、ジョニー・デップが『ブレイブ』(1997)以来約30年ぶりに監督を務めました…

映画『28年後... 白骨の神殿』ジャック・オコンネル/レイフ・ファインズ 28年後… 白骨の神殿【レビュー】

おもしろすぎる!テーマが深い上に、遊び心もちゃんとあって、観賞中はテンション爆上がり…

映画『AFRAID アフレイド』ジョン・チョウ ジョン・チョウ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年6月16日生まれ。韓国出身。アメリカ、ロサンゼルス育ち。

映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』南沙良/出口夏希/吉田美月喜 万事快調〈オール・グリーンズ〉【レビュー】

原作者の波木銅は、現役大学生だった21歳の時に、同名小説で松本清張賞を受賞…

映画『長安のライチ』ダーポン(大鵬)/テレンス・ラウ(劉俊謙) 長安のライチ【レビュー】

REVIEW『熱烈』で監督・脚本を務めたダーポン(大鵬/ダー・ポンと表記される場合もある)…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ヒュー・ボネヴィル/ローラ・カーマイケル/ジム・カーター/ラケル・キャシディ/ブレンダン・コイル/ミシェル・ドッカリー/ケヴィン・ドイル/マイケル・フォックス/ジョアン・フロガット/ハリー・ハッデン=パトン/ロブ・ジェームズ=コリアー/アレン・リーチ/フィリス・ローガン/エリザベス・マクガヴァン/ソフィー・マックシェラ/レスリー・ニコル/ダグラス・リース/ペネロープ・ウィルトン ダウントン・アビー/グランドフィナーレ【レビュー】

テレビシリーズ、映画版と全部観てきた者として、15年の歴史を振り返ると、感慨深いものがあります…

映画『恋愛裁判』齊藤京子 恋愛裁判【レビュー】

アイドルは恋愛禁止という風潮が社会に浸透しているなか、改めて本作はその是非を問います…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 昨日よりちょっと賢く生きるための【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  2. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  3. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン

REVIEW

  1. 映画『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』ロムニック・サルメンタ/イライジャ・カンラス
  2. 映画『モディリアーニ!』リッカルド・スカマルチョ
  3. 映画『28年後... 白骨の神殿』ジャック・オコンネル/レイフ・ファインズ
  4. 映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』南沙良/出口夏希/吉田美月喜
  5. 映画『長安のライチ』ダーポン(大鵬)/テレンス・ラウ(劉俊謙)

PRESENT

  1. 映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  3. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
PAGE TOP