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おくびょう鳥が歌うほうへ【レビュー】

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映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

REVIEW

世界各国で翻訳され、ベストセラーとなったエイミー・リプトロットの回想録「THE OUTRUN」を原作とした本作は、ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた『システム・クラッシャー』のノラ・フィングシャイトが監督を務め、若くして数々の名作に出演してきた実力派シアーシャ・ローナンが主演を務めています。エイミー・リプトロットの回想録ということからわかる通り、原作はリプトロット自身の体験を綴ったノンフィクションです。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

これだけの情報で観る理由は充分なので、いつも通りあらすじ含めほぼ情報を入れずに観て、本作の冒頭にある、おとぎ話のようなナレーションを一旦そのままの意味で捉えました。本作には多くのメタファーがあり、それらのメタファーが何を意味しているのかを徐々に知っていくおもしろさが味わえます。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン/スティーヴン・ディレイン

29歳のロナ(シアーシャ・ローナン)は、ロンドンの大学院で生物学を専攻していたものの、酒に溺れて生活が破綻し、10年ぶりに故郷のスコットランドのオークニー諸島に帰り、父の仕事を手伝っています。依然として酒の誘惑と葛藤する日々が続くなか、ロナは徐々に再生の道を歩んでいきます。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

ロナはアルコール依存で苦しむだけでなく、家族も問題を抱えており、少なからず子ども心に傷を負ってきたことが伝わってきます。一方で、彼女が苦しみに耐えていくうちに、家族に対する視線が変わってくる様子が見えてきます。ロナのアルコール依存は誰も手をつけられない程に悪化するものの、耐えられない辛い出来事に苦しみながら、失ったものの大きさを知ることで、再生に向けて一歩を踏み出す姿に共感を覚えます。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

ロナのカラフルな髪色も印象的です。映画公式資料には以下のように制作の背景が述べられています。

原作には、リプトロットがさまざまな髪の色で自己表現していた描写があり、ターコイズ色の髪を「マーメイド・パンク」と称していたエピソードが印象的だったと語る。監督は髪色の変化を視覚的な“キャラクターの状態”を示す象徴として映画に取り入れた。髪色の変化は、彼女の心の移ろいや過去・現在の時間軸の目印としても機能している。(映画公式資料)

フィングシャイト監督の過去作『システム・クラッシャー』も主人公の9歳の少女ベニーがピンクの洋服を身につけていたのが印象的でした。こうしたところにも、フィングシャイト監督のセンスと原作の世界観の相性の良さを感じます。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

人には頑張りたくても頑張れない時があり、壊れたままになる人、立ち直る人の両方がいる現実は、健康な人にとっては理解し難いことです。本作はそうした現実を突きつけつつも、人間には自分で立ち直る力があること、人との繋がりが救いとなることを示してくれているように感じます。精神的に孤独な闘いを続けている方は特に、本作が小さな一歩を積み重ねようとする気持ちに少しでも近づくきっかけになることを願います。

デート向き映画判定

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン/パーパ・エッシードゥ

家族やパートナーがアルコール依存などで苦しんでいる場合、身近にいる人物も大変辛い思いをします。辛抱強く寄り添っていても、何度も裏切られてしまうかもしれません。そうなると、突き放したほうが良いのかと悩みます。決まった正解はないなかで、本作のキャラクター達はさまざまな選択をとります。同じような状況で悩んでいたら、カップルで観るよりも先に1人でじっくり観て、冷静に客観視する機会にすると良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン/サスキア・リーヴス

お酒を飲める年齢に近い方は、身近な問題として観て欲しい内容です。アルコール依存になる原因は複数あると同時に、自分が依存症になっていると気づきにくい点も注意が必要です。ただ楽しいと思って飲んでいたつもりが、むしゃくしゃした時にお酒を飲んで憂さを晴らすようになり、それがクセになって、依存症になるという場合は特に自覚症状がないまま症状が深刻化するかもしれません。本作を観ると、何より辛いのは人間関係が崩れていくことだとわかるはずです。

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン

『おくびょう鳥が歌うほうへ』
2026年1月9日より全国順次公開
東映ビデオ
公式サイト

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© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

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