REVIEW

ベイビーガール【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン

REVIEW

シンプルに娯楽として楽しむ方、真面目に観る方、両方ありそうです。本作のキービジュアルなどのイメージから何を期待して観るのかによって、賛否両論出てきそうな作品ともいえます。難しいことを考えずに感覚で観る場合は、主人公ロミー(ニコール・キッドマン)の混乱と暴走に身を任せて、「何やってんの(笑)⁈」とツッコミを入れたり、共感しながら、ジェットコースターのような人生の転換期を味わうのも良いでしょう。ハリス・ディキンソンが演じるサミュエルの魔性を怖がったり、魅了されたりしながら観るのも楽しいです。

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン

性差に関係なく、誰もが両方持っている男性性や女性性、支配する側と服従する側の関係を描いた物語として観るのもおもしろいです。さらに、誰にでも見せる姿とは裏腹なすごく私的な内面が湧き出てくるのを抑えられない人間の本性を観察するスタンスでも観られます。

映画『ベイビーガール』ハリス・ディキンソン

そして、本作はニコール・キッドマンとハリス・ディキンソンのスター性と演技力があるからこそ成立しているといえます。本作では、社会的立場、職場での立場、年齢的な立場、性差的な立場というように、さまざまな立場でパワーバランスが異なる2人が、裏と表でパワー・ゲームを繰り広げます。そのなかですごく人間臭い部分が浮き出てくる点が本作の見どころであり、美しい2人の俳優が演じるからこそ一層興味深く感じます。

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン

本作の監督、脚本を務めたハリナ・ラインは、たとえば『危険な情事』『幸福の条件』『ナインハーフ』のような1990年代のセクシーなスリラーが好きだった一方で、結末を好きになれなかったそうです。そうした背景のもとに作った本作について、ライン監督は以下のようにコメントしています。

私は、男性の視点で描かれてきた分野に、女性の視点から挑んでみたいと思いました。90年代の作品群は、全部男性の視点で作られたものです。それらの映画も私は好きですが、「はい、これが私のバージョンよ」というのをやってみたかったのです。私のバージョンには、もっと人間らしさがあります。ユーモアもあります。すべてのキャラクターは複雑で、野心的で、ダークです。私はそういうことをやろうとしたのです。 (映画公式資料)

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン

確かにクライマックスはある意味、爽快感があります。社会の価値観は変わってきたのか、まだまだなのか、本作を観つつ、さらに観た者同士で意見交換すると、より時代の変化の有無を感じられるかもしれません。

デート向き映画判定

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/アントニオ・バンデラス

かなりエロチックなシーンが多いので、デートで観るのは気まずいように思います。とはいえ、ジャンルや内容を問わず、さまざまな作品をよく一緒に観ているカップルは、一緒におもしろがれるかもしれません。また、ロミーとジェイコブ(アントニオ・バンデラス)の夫婦の様子は、いろいろな意味で参考になる部分もありそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン

PG-12なので、小学生以下の方が観る場合は、大人同伴ということになるものの、大人側が気まずいので親子で観るという選択肢はないでしょう(笑)。子ども目線では、純粋に何をやってるのかわからず不思議に思えるシーンも出てきそうなので、高校生か大学生くらいになってから観るほうが良さそうです。

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン/ハリス・ディキンソン

『ベイビーガール』
2025年3月28日より全国公開
PG-12
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

COPYRIGHT: © 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『戦争と女の顔』ヴィクトリア・ミロシニチェンコ ヴィクトリア・ミロシニチェンコ【ギャラリー/出演作一覧】

1994年5月17日生まれ。ロシア出身。

映画『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー 『ファンファーレ!ふたつの音』エマニュエル・クールコル監督インタビュー

フランスで3週連続NO.1(仏映画興収/実写映画において)を獲得し、260万人動員の大ヒットを記録した話題作『ファンファーレ!ふたつの音』。今回は本作のエマニュエル・クールコル監督にインタビューさせていただきました。

映画『ひゃくえむ。』 ひゃくえむ。【レビュー】

魚豊著の『チ。 ―地球の運動について―』がすごく好きなので、絶対に本作も…

映画『お嬢と番犬くん』櫻井海音 櫻井海音【ギャラリー/出演作一覧】

2001年4月13日生まれ。東京都出身。

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ひゃくえむ。』
  2. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  3. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  4. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  5. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP