REVIEW
6章からなる本作は、ユニークな構成となっています。この構成について、脚本も担当したJ.T・モルナー監督は以下のように話しています。
この映画は、脚本を書き始める前から6つの章で構想していた。最初に思いついたのは真ん中の章。次に思い浮かんだのは冒頭部分。そして数週間後エンディング。この映画は初めから直線的な物語ではなく、後から時系列をいじったわけでもない。章が順番通りに再生されないことは必然的に決まっていて、私のひらめいた通りの順序で再生しなければ、物語が成り立たないことも分かっていた。(映画公式資料)

モルナー監督が語るように、時系列通りではない構成が観る者の想像を掻き立てます。この構成に誘導されるがままに観ても楽しめるでしょうし、最初から注意深く観て、真相を予想しながら観ても楽しめます。私は深読みするクセがついてしまっていて、かなり早い段階で真相を見抜いてしまったものの、真相がわかった上で観たらみたで、別のハラハラドキドキが味わえます。
35㎜フィルムで撮影された質感も本作の魅力です。フィルムで撮った映像が醸し出す質感によって、クラシックな作品のような世界観が広がり、ホラー、スリラーとしての不気味さが増して感じます。モルナー監督は脚本が完成すると、「いつものプロセスに従って妻と両親の反応をみた後」、「何年も前からの知り合いで、フィルム撮影への愛を通じて親交を深めた」俳優のジョヴァンニ・リビシに脚本を見せたといいます。そして、リビシはプロデューサーとして参加すると同時に、本作で撮影監督として長編映画デビューを果たしました。リビシは35㎜フィルムでの撮影について、「私たちは、現実的に物事を進めることを好みます。壁に影がある場合、ポストプロダクションで調整するよりも、現場で照明を使って処理したいと思う。メイクや視覚効果についても同じことが言える。より自然な仕上がりになるし、そのプロセスが好きだ」と話し、「フレディ・フランシス監督やデヴィッド・ウォルトン監督の作品に加え、1960年代に制作された小林正樹監督の映画『切腹』と『怪談』の2作品から構図やカメラワークのインスピレーションを得た」そうです (映画公式資料)。

ウィラ・フィッツジェラルドとカイル・ガルナーの名演も功を奏しています。クラシカルでビビッドな世界観で繰り広げられるパンチの効いたストーリーは、観る方それぞれで見どころが変わるでしょう。
デート向き映画判定

デートのシーンがストーリーの要なので、デートで観ると臨場感は増しそうです(笑)。ユーモアが好きなカップルなら、観終わった後に自分達が登場人物になった気分で冗談を言い合って楽しむのもアリでしょう。一方で、初デートやお互いのノリが掴みきれていないカップルは、どう反応して良いかわからなくなるかもしれません。また、そこそこ過激なシーンが出てくる点も踏まえると、一緒に映画を観慣れているカップルなら観ても良いのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

PG-12なので、小学生は保護者となら観られるとはいえ、セクシャルなシーンも出てくるので、大人のほうが気まずく感じそうです(苦笑)。ぶっ飛んだシーンが観ていて楽しいので、せめて中学生以上になってから、自分から望んで観たいと思った時に観るほうが良いと思います。

『ストレンジ・ダーリン』
2025年7月11日より全国公開
PG-12
KADOKAWA
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。