REVIEW

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

これまで個性的なクリーチャーが登場する名作を数々作ってきたギレルモ・デル・トロ監督が作り出す世界観と、マーク・グスタフソンが手掛けるストップモーションアニメの世界観が絶妙なバランスでブレンドされている本作は、期待通りに可愛らしく不気味な、一癖も二癖もある作品となっています。ビジュアル面が魅力的であることはもちろんのこと、ユアン・マクレガー、クリストフ・ヴァルツ、ロン・パールマン、ジョン・タトゥーロ、フィン・ヴォルフハルト、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントンなど豪華俳優陣が声優として参加している点も見どころです。また、物語の舞台がベニート・ムッソリーニによる独裁政治が行われていた時代となっていて、戦争にまつわる社会風刺も含まれたストーリーとなっている点も特徴となっています。
本作を観ていると、原作ってどんなお話だったんだろうと気になるでしょう。世の中的にはディズニーの『ピノキオ』の印象が未だに強いと思いますが、原作者カルロ・コッローディの「ピノッキオの冒険」にはもっと残酷な描写があるとされています。原作に近いストーリーとしては、ロベルト・ベニーニ監督、主演作『ほんとうのピノッキオ』観て、比較するのもオススメです。本作は、原作のいくつかの設定を踏まえながらも、新たな解釈で描かれている点が一番の魅力です。ゼペットじいさんの設定も少しアレンジされていて、親子の物語としての要素が強く込められています。本作の解釈は、ある意味子ども目線であるともいえるし、ありのままの自分でいることの大切さ、ありのままの他者を愛する大切さを描いている点で、現代の価値観に合う内容だといえます。私達がよく知るピノッキオの物語は、無垢なピノッキオが善悪を覚えて“良い子”になっていく物語ですが、本作は親として子どもとどう向き合うかを描いています。本作は子ども達にも観て欲しいですが、大人にこそ観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

将来子どもが欲しいカップルや夫婦、既にお子さんがいる夫婦で観ると、子育てについて考える良いきっかけとなりそうです。既にお子さんがいる夫婦の場合は、自分達の価値観や都合を子どもに押し付けてないか、客観視できる部分があると思います。家族皆で観るのもありだし、親だけでまず観てみるのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

もし見つけられるなら原作に近い本も読みつつ、ピノッキオの物語の映画化作品をいろいろ観比べてみると良いでしょう。原作のストーリーで描かれている教訓、映画化された作品で描かれている教訓のそれぞれから学べることがあると思います。一つのストーリーから、さまざまな解釈が生まれるという点も、人やこの世の中を理解する上で役に立つのではないでしょうか。

Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
2022年11月25日より一部劇場にて公開、12月9日よりNetflixにて配信中
劇場用公式サイト Netflix公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作 もういちどみつめる【レビュー】

「18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました」(映画公式サイト、佐藤慶紀監督)とあるように…

映画『喝采』ジェシカ・ラング 『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作
  2. 映画『果てしなきスカーレット』
  3. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  4. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  5. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮

PRESENT

  1. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
  2. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP