REVIEW

はい、泳げません【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『はい、泳げません』長谷川博己/綾瀬はるか

映画のタイトルだけ観ると、コミカルな作品かと想像しますが、泳げない事情を抱えた小鳥遊雄司(長谷川博己)にはとても辛い過去があり、想像以上にドラマチックな物語となっています。水に顔をつけることすら怖い小鳥遊は、ひょんなことから水泳教室に通うことになります。彼は過剰に水を怖がるので、コーチの薄原静香(綾瀬はるか)も手を焼きますが、彼が何か大きなものを心に抱えていることを知り、熱心に指導します。コーチの熱心な指導のもと、きっと小鳥遊は泳げるようになるのだろうというところまでは想像がつきます。ただ、本作はそれをどうやって克服するのかが見どころで、水の中って思っている以上に神秘的な場所なのだなと興味が湧いてきます。
本作は、長谷川博己、綾瀬はるかをはじめ、麻生久美子、阿部純子と実力派俳優が揃っている点も魅力です。特に麻生久美子はユニークで多面的なキャラクターを見事に演じていて、脇役ながらすごく存在感があります。切ないストーリーでありながら、爽やかさもある作品になっている点は、俳優陣の演技力と渡辺謙作監督の演出の賜物といえるのではないでしょうか。とても辛い出来事を経験して前に進めないキャラクター達から勇気と元気をもらえる1作。怖くてチャレンジしていないこと、何か諦めていることがあって、停滞感がある方はぜひ観てみてください。

デート向き映画判定
映画『はい、泳げません』綾瀬はるか

本作では、恋愛関係、夫婦関係が重要な鍵となっています。これからもずっと人生を共に生きようと考えているカップルにとっては避けられない話題が出てくるので、真剣交際しているカップルは一緒に観るだけでも、意識を統一できるところがあるでしょう。ゆくゆくは家族になりたいと思う相手なら、お互いの感想から将来をシミュレーションできるところもありそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『はい、泳げません』長谷川博己

不器用な大人達の奮闘を描いている面ではまだピンとこない部分があるかもしれません。ただ、親子についてのストーリーでもあるので、子ども目線で観ると、大人とは違った感想が出てきそうです。親子で観ると普段お互いに言えない気持ちを感想にのせて伝える機会にできるかもしれません。また、苦手を克服したい方、その苦手なことの背景に誰にも言えない事情がある方なら、年齢を問わず共感できるでしょう。

映画『はい、泳げません』長谷川博己/綾瀬はるか

『はい、泳げません』
2022年6月10日より全国公開
東京テアトル、リトルモア
公式サイト

© 2022「はい、泳げません」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  2. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  3. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  4. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  5. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP