REVIEW

星と月は天の穴【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶

REVIEW

映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが分かれるのではないかという印象です。

映画『星と月は天の穴』綾野剛

男女関係の果たす役割が、性欲の処理なのか、精神的な繋がりによる満足なのかがテーマとなっている点では、主人公の矢添(綾野剛)が小説を書きながら自分の心に問いかける様に正直さがあります。そして、彼自身が客観的に自分と女性達の関係や女性達の反応を見ている点では、彼の頭の中がお花畑になっているわけではないこともわかります。

映画『星と月は天の穴』綾野剛

ただやっぱり、自分が冷めていたり、拒絶しても女性にはかまって欲しいという下心が見え隠れして、女々しく見えてしまう部分もあります。綾野剛が醸し出すムードはそうした塩梅が絶妙です。だからこそ、男性の女々しさに敏感な女性が観ると、男性好みの恋愛ファンタジーに思えてしまうかもしれません(苦笑)。

それはさておき、興味深いのは結末です。

映画『星と月は天の穴』綾野剛/田中麗奈

以下はあくまで私の解釈です。なるべくネタバレを避けた表現で書いていますが、観終わってからお読みいただくことを推奨します。

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶

この結末を直球で捉えると、ある事実が相手の女性にバレたことでもう格好をつけられなくなった矢添は惨めになりつつも、相手の女性の“事実を知っても気にしない”という素振りに救われたように見えます。でも、女性の本心を深掘りしてみると、このやり取りの少し前あたりから、矢添とは逆に肉体的な関係だと割り切り、精神的な繋がりを持つことに興味を失いつつあったからこそ、新事実を気にしていないようにも見えます。
後者は意地悪な解釈だと自覚しているからこそ、他の方は本作の結末をどう受け取るのか、ぜひ聞いてみたいです(笑)。

デート向き映画判定

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶

R-18とされている通り、性描写が多く、デートで観るのは気まずいのではないでしょうか。また、時代設定が昭和真っ只中で、男尊女卑が今よりもっと“当たり前”だった時代の言動が多く出てきます。この時代だったらそうだったかもしれない、これは文学だからと割り切って観られる相手かどうかを見極めて、誘って大丈夫か判断するとよいでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『星と月は天の穴』綾野剛/柄本佑

18歳未満の方は観られません。女子大生の瀬川紀子(咲耶)をはじめ、二十歳前後の女性が複数登場するので、同じ年頃の方は等身大で観られる部分があるでしょう。一方で、時代、年齢、性別の違いで、いろいろな観方が出てきそうです。友達と一緒に観るのは気まずいかもしれないものの、この作品を観た方が他にいれば意見交換をすると、おもしろい議論ができそうです。

映画『星と月は天の穴』綾野剛

『星と月は天の穴』
2025年12月19日より全国公開
R-18+
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2025「星と月は天の穴」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「星と月は天の穴」吉行淳之介 著/講談社文芸文庫
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

Netflix映画『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』ダニエル・クレイグ/ジョシュ・オコナー ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン【レビュー】

物語の舞台は、田舎町にある教会です。若き神父ジャド・デュプレンティシー(ジョシュ・オコナー)は、赴任したばかりのその教会で…

映画『マーズ・エクスプレス』 マーズ・エクスプレス【レビュー】

西暦2200年の火星の首都ノクティスを舞台に描かれる本作のタイトルは、「20年以上にわたり宇宙で活動をつづけている実在の火星探査機〈マーズ・エクスプレス〉の名」がつけられています…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ポール・ジアマッティ ポール・ジアマッティ【ギャラリー/出演作一覧】

1967年6月6日生まれ。アメリカ出身。

映画『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』ソン・ヘギョ 悪魔退治のノウハウ—韓国映画にみる悪魔祓い

今回は韓国映画の悪魔祓いにスポットを当ててご紹介します。

映画『HELP/復讐島』レイチェル・マクアダムス HELP/復讐島【レビュー】

本作のストーリーと演出はぶっ飛んでいて…

Netflixドラマ『ザ・ポリティシャン シーズン1』ジェシカ・ラング ジェシカ・ラング【ギャラリー/出演作一覧】

1949年4月20日生まれ。アメリカ、ミネソタ州クロケット出身。

【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集! 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

2025年10月から始めた映画学ゼミは、皆様のおかげで第4回(全8コマ)を実施できました。本当にありがとうございます! 2026年に入り、プチリニューアルし、第5回を実施します。

映画『ランニング・マン』グレン・パウエル ランニング・マン【レビュー】

1982年、原作者のスティーヴン・キングはリチャード・バックマンというペンネームで、本作の原作小説「ランニング・マン」を出版し、1985年にキング本人の名前で…

映画『終点のあの子』當真あみ/中島セナ 終点のあの子【レビュー】

『伊藤くんA to E』『私にふさわしいホテル』『早乙女カナコの場合は』などの原作者としても知られる柚木麻子のデビュー作「終点のあの子」が映画化…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ローラ・カーマイケル ローラ・カーマイケル【ギャラリー/出演作一覧】

1986年7月16日生まれ。イギリス出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集! 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

2025年10月から始めた映画学ゼミは、皆様のおかげで第4回(全8コマ)を実施できました。本当にありがとうございます! 2026年に入り、プチリニューアルし、第5回を実施します。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集

REVIEW

  1. Netflix映画『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』ダニエル・クレイグ/ジョシュ・オコナー
  2. 映画『マーズ・エクスプレス』
  3. 映画『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』ソン・ヘギョ
  4. 映画『HELP/復讐島』レイチェル・マクアダムス
  5. 映画『ランニング・マン』グレン・パウエル

PRESENT

  1. 映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP