REVIEW
映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが分かれるのではないかという印象です。

男女関係の果たす役割が、性欲の処理なのか、精神的な繋がりによる満足なのかがテーマとなっている点では、主人公の矢添(綾野剛)が小説を書きながら自分の心に問いかける様に正直さがあります。そして、彼自身が客観的に自分と女性達の関係や女性達の反応を見ている点では、彼の頭の中がお花畑になっているわけではないこともわかります。

ただやっぱり、自分が冷めていたり、拒絶しても女性にはかまって欲しいという下心が見え隠れして、女々しく見えてしまう部分もあります。綾野剛が醸し出すムードはそうした塩梅が絶妙です。だからこそ、男性の女々しさに敏感な女性が観ると、男性好みの恋愛ファンタジーに思えてしまうかもしれません(苦笑)。
それはさておき、興味深いのは結末です。

以下はあくまで私の解釈です。なるべくネタバレを避けた表現で書いていますが、観終わってからお読みいただくことを推奨します。

この結末を直球で捉えると、ある事実が相手の女性にバレたことでもう格好をつけられなくなった矢添は惨めになりつつも、相手の女性の“事実を知っても気にしない”という素振りに救われたように見えます。でも、女性の本心を深掘りしてみると、精神的な繋がりを持つことに興味を失い、矢添とは逆に女性はここから肉体的な関係だと割り切ったようにも見えます。
後者は意地悪な解釈だと自覚しているからこそ、他の方は本作の結末をどう受け取るのか、ぜひ聞いてみたいです(笑)。
デート向き映画判定

R-18とされている通り、性描写が多く、デートで観るのは気まずいのではないでしょうか。また、時代設定が昭和真っ只中で、男尊女卑が今よりもっと“当たり前”だった時代の言動が多く出てきます。この時代だったらそうだったかもしれない、これは文学だからと割り切って観られる相手かどうかを見極めて、誘って大丈夫か判断するとよいでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

18歳未満の方は観られません。女子大生の瀬川紀子(咲耶)をはじめ、二十歳前後の女性が複数登場するので、同じ年頃の方は等身大で観られる部分があるでしょう。一方で、時代、年齢、性別の違いで、いろいろな観方が出てきそうです。友達と一緒に観るのは気まずいかもしれないものの、この作品を観た方が他にいれば意見交換をすると、おもしろい議論ができそうです。

『星と月は天の穴』
2025年12月19日より全国公開
R-18+
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
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© 2025「星と月は天の穴」製作委員会
TEXT by Myson
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「星と月は天の穴」吉行淳之介 著/講談社文芸文庫
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情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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