REVIEW

ビニールハウス【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ビニールハウス』キム・ソヒョン

REVIEW

ビニールハウスで暮らす女性が主人公の本作は、窮地に陥った人間が冷静な判断を失うことにより、さらに追い込まれていく様を映し出しています。映画公式サイトによると、韓国では「元々は作物栽培のための農業施設であるビニールハウスもまた、不動産価格の高騰や経済の低迷により、正規の住宅を失った低所得者層、移民労働者が転がり込むなど、半地下や屋上部屋よりもさらに『最底辺』住居として社会問題となっている」とあります。主人公のムンジョン(キム・ソヒョン)はそうした状況にいながら、何とか生活を立て直そうと賢明に介護の仕事に励みます。でも、ある出来事によって、彼女の計画が狂わされていきます。
映画公式サイトのあらすじには、かなり後半の展開まで書かれています。とはいえ、やっぱりなるべく前情報を入れずに観たほうが、臨場感、緊張感があり、その場のムンジョンの心境に寄り添って観られるように思います。彼女の言動を冷静に観過ぎると、「なんで?」と思ってしまうかもしれません。でも、彼女にとっての心の拠りどころが何なのか、彼女がさまざまなことに我慢できているのはどうしてなのかを考えると、唯一の生き甲斐にすがりつきたい気持ちが判断を狂わせてもおかしくはなく、それだけ彼女が追い詰められていることが伝わってきます。
クライマックスではまさに雪だるま式に暗転が続きます。物事がうまくいかずに気持ちが落ちていて立て直すのに時間がかかる状況の方は今は観ないほうが良いかもしれません。気持ちを切り替えられる程度に精神的に健康な時なら、反面教師的に観るのもアリだと思います。

デート向き映画判定

映画『ビニールハウス』ヤン・ジェソン

気持ちがどんよりしてしまう展開があり、ムードを盛り上げたいデートの日には向いていません。ただ、社会問題に関心が深いカップルなら、一緒に観ると、議論が盛り上がる要素はありそうです。どんな目的で映画デートをするのかによって、デートで観るべきか、1人で観るべきか等考えると良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ビニールハウス』キム・ソヒョン

皆さんに年齢が近いキャラクターも出てくるので、子ども目線で主人公の苦労を観てみてはどうでしょうか。今はピンとこない部分もあるかもしれませんが、高齢になるとどんな問題が出てくるのか想像できるところがあります。また、貧困そのものや、貧困に結びつきやすい社会問題も見てとれます。社会を知るきっかけに観てみてください。

映画『ビニールハウス』キム・ソヒョン

『ビニールハウス』
2024年3月15日より全国公開
ミモザフィルムズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2022 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  4. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  5. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP