REVIEW

コレット

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『コレット』キーラ・ナイトレイ

フランス文学界を代表する女性作家シドニー=ガブリエル・コレットの半生を描いた本作。私はコレットという名前は聞いたことがありましたが、彼女の著書は読んだことがなく、本作でどういう人物だったのか知りました。女性として、妻として、作家としての苦悩が映し出されているわけですが、あからさまにフェミニズムを押しつけるような内容ではありません。情熱のある勇ましい性格でありつつ、彼女がいかに奥ゆかしい女性であったかが伝わってくるストーリーで、だからこそ女性目線だと、彼女の夫ウィリーに対して「こんちくしょう」と思ってしまう人もいるはず。そして、尽くしても尽くしても、どうしようもない男はどうしようもないけれど、それでも愛してしまう女の性(さが)って、万国共通、時代を問わずなんだなと切なくなります。何より自分が書いた小説を夫の作品として世に出され、自分の才能まで横取りされるなんて言語道断。他にも同じようなシチュエーションで苦しんだ女性の実話がいくつかありますが、やっぱり世界はずっと男性社会なんだなと実感しますね。とにもかくにも強い女性の多面性を丁寧に描いた作品なので、女性はもちろん、ぜひ男性にも観て欲しいです。

デート向き映画判定
映画『コレット』キーラ・ナイトレイ

できる女性と、ダメな男という構図なので、男性は気まずく思うかも知れませんが、敢えて一緒に観て、お互いの価値観を話し合うのも良いと思います。男尊女卑だと意識していなくても、そこに悪意はなくても、気付かずに抱いている男性もいるはず。感想を言い合うだけで正せるとは思えませんが、お互いの心理を理解し合うという前向きな気持ちで会話すると、本作の鑑賞も有意義な共同作業になるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『コレット』キーラ・ナイトレイ

PG-12ということもありますが、内容的に大人になってから観るほうが、よりリアルな感覚でキャラクター達の心情に寄り添えると思います。恋心が芽生えた人が本作を観ると複雑な気持ちになるかも知れませんが、男女関係にはこういうこともあるのだとちらっと知っているだけで、恋に盲目的にならず、自分のことも大事にする気持ちを保てるのではないでしょうか。

映画『コレット』キーラ・ナイトレイ

『コレット』
2019年5月17日より全国公開
PG-12
公式サイト

© 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり 夏の砂の上【レビュー】

松田正隆による戯曲を映画化した本作は、演出家の玉田真也が監督、脚本を務め、オダギリジョーが…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー DROP/ドロップ【レビュー】

主人公のバイオレット(メーガン・フェイヒー)は、幼い一人息子を育てるシングルマザーで、壮絶な過去を乗り越え…

映画『君がトクベツ』畑芽育 畑芽育【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月10日生まれ。東京都出身。

映画『この夏の星を見る』桜田ひより この夏の星を見る【レビュー】

2020年、新型コロナウィルス感染症が世界中に広まった1年目、私達の日常は大きく変わりました。本作では、その2020年に、長崎県、茨城県、東京都に住む中高生達が過ごした日々…

映画『国宝』吉沢亮/横浜流星 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年6月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年6月】のアクセスランキングを発表!

映画『ナチス第三の男』ジャック・オコンネル ジャック・オコンネル【ギャラリー/出演作一覧】

1990年8月1日生まれ。イギリス出身。

映画『ハルビン』ヒョンビン ハルビン【レビュー】

『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』のウ・ミンホが監督と、『ソウルの春』の制作スタッフとタッグを組んだ本作は…

映画『ハルビン』ジャパンプレミア:ヒョンビン、リリー・フランキー、ウ・ミンホ監督 リリー・フランキーがヒョンビンの優しさを感じたエピソードとは?『ハルビン』来日ジャパンプレミア

ヒョンビン主演のサスペンス・アクション映画『ハルビン』が、7月4日より全国公開となります。その公開を記念し、ヒョンビンとウ・ミンホ監督が来日し、さらに本作で伊藤博文役を演じたリリー・フランキーが登壇するジャパンプレミアが行われました。

映画『サブスタンス』デミ・ムーア デミ・ムーア【ギャラリー/出演作一覧】

1962年11月11日生まれ。アメリカ、ニューメキシコ州出身。

映画『アスファルト・シティ』ショーン・ペン/タイ・シェリダン アスファルト・シティ【レビュー】

ニューヨークのブルックリンを舞台に救急隊員が直面する日常を描いた本作は、シャノン・バーク著「Black Flies」(2008)を原作として、『暁に祈れ』のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が映画化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり
  2. 映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー
  3. 映画『この夏の星を見る』桜田ひより
  4. 映画『国宝』吉沢亮/横浜流星
  5. 映画『ハルビン』ヒョンビン

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP