REVIEW

コヴェナント/約束の救出【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『コヴェナント/約束の救出』ジェイク・ギレンホール/ダール・サリム

REVIEW

スタイリッシュな作品が印象的なガイ・リッチー監督としては、今回珍しいジャンルに挑戦しています。ガイ・リッチー監督は以前から戦争映画を撮りたいと考えていて、アフガニスタン問題においてアフガン人通訳が直面している実状を取り上げたドキュメンタリーを観て、そのエピソードを基にフィクションとして本作を作成したそうです(映画公式資料より)。そんなガイ・リッチー監督念願の作品で、ストーリーに深みを与えているのは、ジェイク・ギレンホール。さらにダール・サリムは、強い信念を持つア−メッドの誠実さを見事に表現しています。そして、海外ドラマ『ザ・ボーイズ』で最凶の悪役ホームランダーを演じるアントニー・スターが本作では美味しい役を演じています。彼等が好演するキャラクター達の人情物語が本作の1番の見どころです。
2001年にアメリカで同時多発テロが起きて以降、アメリカは多くの兵をアフガニスタンに送りました。その際に現地でアメリカ兵につき通訳を務めたアフガン人は。アメリカへの移住ビザをもらえることになっていました。本作は、タリバンの武器庫や爆弾製造工場を突き止める任務を負っていたジョン・キンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)と、ジョンの通訳として共に危険な任務に挑んだア−メッド(ダール・サリム)の絆を描いた物語です。
私は例のごとく、あらすじも含めて前情報をほとんど入れずに観て、まず2つの救出劇が描かれている構成が新鮮でした。どんな救出劇かは伏せておくとして、ジョン・キンリーとア−メッドはお互いを命懸けで守ります。その様子に、アメリカとアフガニスタンそれぞれの文化の特徴が見えて、お国柄の違いを越えて人と人が助け合う姿に共感を覚えます。一方で、アメリカが2021年にアフガニスタンから撤退した後、当時通訳を務めていたアフガン人達はタリバンから“裏切り者”として命を狙われる恐れがあり、今もなお身を隠しているそうです。そうした現状を知ると、劇中でも頻繁に使われる“同胞”という言葉が切なく響きます。2021年に、アメリカを含む駐留外国軍が撤退した後、タリバン政権が復権しました。今アフガニスタンでは何が起きているのか、とても心配です。

デート向き映画判定

映画『コヴェナント/約束の救出』ジェイク・ギレンホール/ダール・サリム

ジェイク・ギレンホール主演のガイ・リッチー監督作という情報だけでイメージすると、意外に感じるジャンルの作品です。ガッツリ社会派作品となっていて、デートムービーというムードはありません。銃などによる激しい戦闘シーンが数多くあり、ほぼずっと緊張感が漂うストーリーで、隣の相手を気にするどころではなく映画に没頭してしまうと思います。という観点でいうと、1人でじっくり観るほうが向いている作品ではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『コヴェナント/約束の救出』ジェイク・ギレンホール/エミリー・ビーチャム

アフガニスタンでは、武装勢力による支配が続いており、多くの難民が生まれ、女性は教育や就労の機会を奪われるなど、多くの問題があります。アフガニスタンの問題を取り上げた映画は本作以外にもたくさんあります。他人事ではなく、世界で今でも起きている出来事に関心を持つきっかけとして観てみてください。

映画『コヴェナント/約束の救出』ジェイク・ギレンホール/ダール・サリム

『コヴェナント/約束の救出』
2024年2月23日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「なんとなく孤独、これでいいの?」

今回も、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談を2件取り上げました。最後に、2025年10月劇場公開作品の中で特にオススメの3作品を紹介しています。

映画『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』オリヴィア・コールマン/ベネディクト・カンバーバッチ ローズ家~崖っぷちの夫婦~【レビュー】

REVIEW昔、同じような設定の映画があった気がすると思っていたら、やはり元ネタはマイケル…

映画『恋に至る病』長尾謙杜/山田杏奈 恋に至る病【レビュー】

斜線堂有紀による小説を、長尾謙杜と山田杏奈をW主演に迎え映画化した本作。転校生の宮嶺(長尾謙杜)は…

映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗 『爆弾』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『爆弾』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『おーい、応為』長澤まさみ 心理学から観る映画58:遺伝と環境がヒトに与える影響『おーい、応為』

今回は、葛飾北斎の娘、お栄(長澤まさみ)の半生を描いた『おーい、応為』を題材に、遺伝と環境が才能に与える影響について考えてみます。

海外ドラマ『ウェンズデー シーズン2』ジェナ・オルテガ ジェナ・オルテガ【ギャラリー/出演作一覧】

2002年9月27日生まれ。アメリカ出身。

映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太/綾野剛 愚か者の身分【レビュー】

闇ビジネスに関するニュースが増えてきた日本において、本作で描かれているような出来事は…

映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平 次元を超える【レビュー】

キービジュアルとタイトル、「人はどこから来て、どこへ行くのか」という意味深なキャッチコピーだけで観たくなったのは…

映画『見はらし世代』黒崎煌代 黒崎煌代【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月19日生まれ。兵庫県出身。

映画『ヒポクラテスの盲点』 ヒポクラテスの盲点【レビュー】

新型コロナウイルスワクチンの被害が起こっている現実に着目した、中立した立場の取材に基づくドキュメンタリー…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion ファイナンシャルプランナーから学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
  3. 映画学ゼミ:アイキャッチ1/本の上の犬と少女

REVIEW

  1. 映画『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』オリヴィア・コールマン/ベネディクト・カンバーバッチ
  2. 映画『恋に至る病』長尾謙杜/山田杏奈
  3. 映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太/綾野剛
  4. 映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平
  5. 映画『ヒポクラテスの盲点』

PRESENT

  1. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  2. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ファイナンシャルプランナーversion
PAGE TOP