REVIEW

ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』

一言でいうと水産業の裏側が描かれたドキュメンタリー映画なのですが、その闇の深さには驚きの連続です。世界有数の水産大国であるタイには、現在も“海の奴隷”と呼ばれる漁船で奴隷労働をしている人が数万人存在しており、劇中では奴隷労働経験者のインタビューや、奴隷労働を終わらせるために活動するパティマ・タンプチャヤクル氏(2017年ノーベル平和賞ノミネート)の姿も綴られています。奴隷労働の調査を進めている最中にも何度も危険な場面があるのですが、そういった危険にさらされながらも活動を続けるパティマ・タンプチャヤクル氏の強い想いにはとても心を揺さぶられます。奴隷労働をなくすのは大変なことですが、奴隷労働者本人はもちろん、家族や周りの人達も苦しむことになるので、本当に早くなくなることを心から願います。
また、海外の話だからといって、日本が決して無関係なわけではありません。タイの水産物輸入で世界第2位の日本は、タイからさまざまなシーフードを輸入しており、そういった水産物の裏で犠牲になっているのが“海の奴隷”の存在です。普段何気なく食べているものが、誰かの犠牲によるものだと考えるだけで怖くなりますが、そういった事実を知るためにもなるべく多くの人に本作を観て欲しいと思います。

デート向き映画判定
映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』

社会問題に興味のあるカップルであれば、一緒に観ても良いと思いますが、そうでない場合は、できれば1人か友人同士で観るほうがオススメです。本作では、夫がある業者に騙されて“海の奴隷”になってしまったことで家族がバラバラになってしまう現状も描かれていて、とても胸が苦しくなります。そういった人達の姿を観ていると、今周りにいる人達のことをより大切にしたくなるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』パティマ・タンプチャヤクル

皆さんにとってもかなりショッキングな内容なので、キッズの場合は中学生以上になってから観て欲しいと思います。ティーンの場合は、奴隷労働者達や、パティマ・タンプチャヤクル氏のインタビューにも注目して観てください。彼らの言葉からは、信じられないような現実がたくさん語られていますが、社会勉強の一貫として心に留めてください。

映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』

『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』
2022年5月28日より全国順次公開
ユナイテッドピープル
公式サイト

©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ロストランズ 闇を狩る者』ミラ・ジョヴォヴィッチ ロストランズ 闇を狩る者【レビュー】

“バイオハザード”シリーズでお馴染みの2人、ミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン夫妻が再びタッグを組み、“ゲーム・オブ・スローンズ”の原作者、ジョージ・R・R・マーティンの短編小説を7年の歳月をかけて映画化…

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『ロストランズ 闇を狩る者』ミラ・ジョヴォヴィッチ
  2. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  3. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  4. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  5. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP