REVIEW

顔を捨てた男【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン

REVIEW

社会が自分を見る目と、自分自身が自分を見る目がいかにして人の心理や生き方、ひいてはウェルビーイングに影響するのかを突きつけるストーリーです。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン/レナーテ・レインスヴェ

控えめな性格のエドワード(セバスチェン・スタン)は、隣りに引っ越してきたイングリッド(レナーテ・レインスヴェ)に秘かに想いを抱き始めます。そんななか、自身の外見を変えられるかもしれないという臨床実験に誘われます。そして、その治療が劇的に効き、“新しい顔”を手に入れ、“新しい自分”として、人生を再スタートさせます。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン

“新しい顔”も本来はエドワード自身の顔ではあるものの、これまで彼のアイデンティティの1つだった顔とは異なり別人に見える点で、周囲の反応も自分自身の振る舞いも大きく異なります。だから、端から見てもエドワードが自信を持てるようになったとわかります。そして、最初のうちは、以前の顔による不自由さがなくなり、明るい人生を謳歌していきそうな前向きな要素が見られます。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン

でも、劇作家を目指すイングリッドに“新しい自分”として接することで、これまでの自分の大切さにも徐々に気づいていきます。公式サイトのあらすじにはこの先の展開も少し書かれていますが、何も知らずに観ていただくほうが、エドワードの心境と同期し易いように思うので、内容の紹介はここまでにしておきます。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン/アダム・ピアソン

本作を観ると、社会の目、自分自身が自分を見る目を客観的に捉えることができます。社会の目に偏見があるという事実は否めないとして、自分自身もその偏見に引きずられて相手を誤解することがあるとわかります。つまり、誰もが皆同様な思考をしているわけではないにもかかわらず、皆を同じような思考の持ち主と捉えてしまい、勝手に自分に対して否定的になってしまうこともあるのではないかと気づきます。

映画『顔を捨てた男』アダム・ピアソン

もちろん偏見による苦しみを否定するつもりは全くありません。ただ、その偏見に呑み込まれてしまわずに、自分軸で生きていくという選択肢もあると本作は示しているように感じます。本作は不条理を描いたストーリーではあるものの、凝り固まった思考を柔らかくしてくれる要素があります。ぜひポジティブな要素を受け取って欲しいです。

デート向き映画判定

映画『顔を捨てた男』レナーテ・レインスヴェ/アダム・ピアソン

恋愛関係が重要な要素として描かれていて、良くも悪くも何らかの気づきが得られると思います。そうなった場合に、隣にいるパートナーに対する想いにも影響する可能性がなきにしもあらずです。何だかしっくりこないまま交際中の方は、一旦1人でじっくり観るほうが良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン/アダム・ピアソン

本作には、人の外見と内面の関係、内面の大切さ、自分自身がまず自分を認めることの大切さを描いています。主人公の内面がどう変化していくのか、丁寧に観て欲しい作品です。本作を観て何が大切かを知れば、これまでよりも、ありのままの自分を大切にできるのではないでしょうか。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン/アダム・ピアソン

『顔を捨てた男』
2025年7月11日より全国公開
PG-12
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ ヒックとドラゴン【レビュー】

アニメーションの『ヒックとドラゴン』を観てから大好きで、劇場未公開の続編やテレビシリーズも含めて一通り観てきたファンとしては…

映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン タンゴの後で【レビュー】

本作の背景を知らずにタイトルとキービジュアルだけ見ると、素敵なラブストーリーと勘違いする方もいるかも…

海外ドラマ『9-1-1 LA救命最前線 シーズン7』ライアン・グスマン ライアン・グスマン【ギャラリー/出演作一覧】

1987年9月21日生まれ。アメリカ出身。詳しいプロフィールは→IMDb『9-1-…

映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司 九龍ジェネリックロマンス【レビュー】

“ジェネリックロマンス”という要素から何を期待するのか、そして本作で描かれる“ジェネリックロマンス”をどう受け取るのかは…

映画『ユニバーサル・ランゲージ』 ユニバーサル・ランゲージ【レビュー】

本作の舞台は、ペルシャ語とフランス語を公用語とする架空の世界のカナダ・ウィニペグで…

映画『ヒックとドラゴン』ニコ・パーカー ニコ・パーカー【ギャラリー/出演作一覧】

2004年12月9日生まれ。イギリス出身。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから…

映画『8番出口』二宮和也 8番出口【レビュー】

観始めてスゴい設定だと驚き、何から何まで巧く作られていて…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ
  2. 映画『タンゴの後で』アナマリア・ヴァルトロメイ/マット・ディロン
  3. 映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司
  4. 映画『ユニバーサル・ランゲージ』
  5. 映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

PRESENT

  1. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  2. 映画『ムガリッツ』
  3. 映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』
PAGE TOP