REVIEW

君の忘れ方【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『君の忘れ方』坂東龍汰/西野七瀬

REVIEW

“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマにした本作は、恋人を亡くした主人公の昴(坂東龍汰)が、周囲の人に支えられながら深い喪失からゆっくりと再生していく物語です。一言で“再生”といっても、やはり大切な人を亡くした悲しみや寂しさから抜け出すことは容易なことではありません。でも、本作からは無理に立ち直る必要はないということも感じ取れます。

映画『君の忘れ方』坂東龍汰/津田寛治

本作では“グリーフケア(グリーフ=決して癒えることのない深い悲しみ)”という言葉も登場し、劇中には昴以外にもさまざまな悲しみを持った人が集まるグリーフケアの会が登場します。映画公式資料によると本作の作道監督は子どもの頃に父親を亡くした経験があり、当初“グリーフケア”に対して「心の傷は簡単に癒せるものではない」という懐疑的な気持ちがあったそうですが、本作の制作過程で監督自身にも心境の変化があったそうです。そういった監督の想いも本作から伝わってきますし、同じように大切な人を亡くした経験のある方にとっては優しく寄り添ってくれる作品になっていると思います。
個人的な話になりますが、私自身家族を亡くした経験があるので、観る前は少し構えていたのですが、鑑賞後は心が少し救われるような感覚があり、作品自体にグリーフケアの効果があるように感じました。

映画『君の忘れ方』坂東龍汰/岡田義徳

そして、大切な人の死という難しいテーマを扱った本作で、俳優それぞれの演技も光っています。昴を演じた坂東龍汰の演技は特に惹きつけられるものがあり、深い喪失感にもがき苦しむ様を見事に表現しています。その脇を支える西野七瀬、南果歩、津田寛治、岡田義徳らもそれぞれ印象的なキャラクターを演じています。ぜひいろいろな人物に自分を置き換えながら観て、誰かの死を背負いながら生きることについて考えるきっかけにしてみてください。

デート向き映画判定

映画『君の忘れ方』西野七瀬

恋人を亡くした主人公の物語なので、ムードを盛り上げる効果はありません。ただ、主人公の姿を観ていると大切な人を想う気持ちがひしひしと伝わってくるので、今傍にいるパートナーをより大切にしようと思えるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『君の忘れ方』坂東龍汰/南果歩

まずは素直に本作を観て自分がどんな感情になるのか観察してみてはいかがでしょう。主人公の気持ちを理解することが難しかった場合は、大人になってから観返すのも良いと思います。また、本作を機にグリーフケアについて調べてみるのもオススメです。

映画『君の忘れ方』坂東龍汰/西野七瀬

『君の忘れ方』
2025年1月17日より全国公開
ラビットハウス
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©「君の忘れ方」製作委員会2024

TEXT by Shamy

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ 『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

映画『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一 イクサガミ【レビュー】

今村翔吾著のベストセラー「イクサガミ」シリーズを原作とする本シリーズでは、岡田准一が主演、プロデューサー、アクションプランナー、藤井道人、山口健人、山本透が監督と脚本を担当…

映画『TOKYOタクシー』蒼井優 蒼井優【ギャラリー/出演作一覧】

1985年8月17日生まれ。福岡県出身。

映画『バーフバリ エピック4K』来日舞台挨拶イベント、プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ(プロデューサー) プラバース、ショーブ・ヤーララガッダ来日!『バーフバリ エピック4K』には追加シーンも

2025年に劇場公開10周年を迎える大ヒット作『バーフバリ 伝説誕生』と『バーフバリ2 王の凱旋』を一つの作品として再編集し、壮大な物語を4K映像で体験できる『バーフバリ エピック4K』の日本公開を目前にして、バーフバリ役のプラバースと、プロデューサーのショーブ・ヤーララガッダが来日しました。

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 楓【レビュー】

残酷過ぎて、切な過ぎて、優し過ぎて、どうしましょ(笑)。ネタバレを避けると、ほぼ何も書けませんが…

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一
  2. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  3. 映画『ズートピア2』
  4. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル
  5. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン

PRESENT

  1. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
  2. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  3. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
PAGE TOP