REVIEW
2023年1月、WEB小説サイト「カクヨム」に第1話が投稿されるやいなや注目を集め、累計2300万PVを超える大ヒットとなった同名小説が映画化されました。小説は出版前から話題となっていたため、映画化権は10社以上が手を挙げプレゼンを行ったそうです。

本作を企画した櫛山慶プロデューサーは、「カクヨム」の連載を追っていた読者の1人であり、大学時代に観てトラウマ級に怖いと思った『ノロイ』が本作が目指す方向性の一つだと感じたそうです。そして、後からわかったそうですが、原作者の「背筋を創作に向かわせた原点の一つが『ノロイ』だった」といいます。そんな不思議な縁で、『ノロイ』の白石晃士監督、櫛山慶プロデューサー、背筋の3人が繋がったとのことです。(映画公式資料)

物語の中心人物は、オカルト雑誌の編集部に所属する小沢悠生(赤楚衛二)と、小沢から依頼を受けて一緒に特集を担当するベテランライターの瀬野千紘(菅野美穂)です。編集部ではあるネタを一人で追っていた編集者が突如姿を消し、彼が途中まで手掛けていた特集を小沢と瀬野が引き継ぎます。2人は失踪した編集者が何を調べていたのかさえわからないまま、残された資料を手がかりに徐々に真相に近づいていきます。

この“残された資料”があまりにも不気味であると同時に、かなりリアルに作り込まれていて、これを再現したのがまずすごいと感じます。また、映像化が困難な部分がある状況で、原作者の背筋自身が「映画が変に原作に引っ張られると勿体ない」といって、さまざまなアイデアを提示したそうです(映画公式資料)。だから、本作では原作とは異なる設定や展開があります。

原作を読んだファンが楽しめるのはもちろんのこと、原作未読で内容は全く知らないまま観ると、クライマックスの展開にアッと驚くはずです。伏線がたくさん張り巡らされているので、複数回観るおもしろさもあるでしょう。邦画ホラーの怖さが存分に詰まっているので、ホラーファンはニマニマしながら観られる一方、ホラーに免疫がない方は覚悟して観たほうが良さそうです。
デート向き映画判定

ホラーは吊り橋効果が期待できるものの、吊り橋効果を通り越して、ただ怖がって終わる可能性もあります(苦笑)。お互いの許容範囲がわからない間柄の場合はデートで観ると鑑賞後にどういうムードになるのか読めません。一方で、2人ともホラー好きなら大いに盛り上がれると思います。
キッズ&ティーン向き映画判定

あれが撮影用に作られたセットだとしても行きたくないと思えるくらいやばいシーンが登場します(笑)。フツーに観てても恐怖を味わえますが、細かいところまで隅々観察しながら観ると一層仕掛けの多さに気づいて楽しめるはずです。皆で観るとお化け屋敷感覚で盛り上がれると思うものの、免疫がついていない小学生、中学生あたりはトラウマになる方も出てくるかもしれません。

『近畿地方のある場所について』
2025年8月8日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
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©2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
TEXT by Myson
関連作
「近畿地方のある場所について」背筋 著/KADOKAWA
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情報は2025年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
