REVIEW

高速道路家族【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『高速道路家族』チョン・イル/キム・スルギ

大きな荷物を背負い、高速道路上のサービスエリアを渡り歩く家族が主人公です。子どもは2人で、さらに母親は妊娠中、彼等がなぜホームレスになっているのかはしばらく明かされません。彼等は、サービスエリアで常習的に詐欺を働き、その日の食費を賄っています。
本作の序盤では一家の生活ぶり、中盤からは彼等と出会った人物との奇妙な関係が描かれています。この物語に登場する2つの家族は、それぞれに持っているものが違います。彼等はそれをお互いに補うかのようにある種の共存をしていきます。でも、この関係はある種の爆弾を抱えていて、思い通りにいかない状況が物語をドラマチックにしています。
高速道路で暮らす一家の父ギウ(チョン・イル)がまだ若いこともあり、なぜ働かないのかという疑問を持つ方も多いでしょう。それが明かされたら明かされたで純粋に共感できるかといえば、何ともいえない部分があり、もう少し韓国の社会背景がわかっていれば、感情移入しやすいのかもしれません。家族という括りで観ると、父親としてどうかという目線でどうしてもジャッジしたくなってしまうため、正直なところ、悶々とする部分はあります。ただ、韓国社会のリアルな姿をありのまま描くスタンスで作られた作品であるならば、必ずしも共感する必要はなく、捉え方も違ってきそうです。また、キャラクターのうち誰の目線で観るかによって感じ方は大きく変わりそうです。何がこの状況を作っているのか、観察してみてください。

デート向き映画判定
映画『高速道路家族』ラ・ミラン

2組の夫婦が登場し、それぞれ問題、悩みを抱えています。彼等がどう対処するのかは、とても現実的に映し出されているので、等身大で観られると思います。だからこそ、デートで観るというよりは1人でじっくり観て自分の気持ちと向き合うきっかけにできそうです。誰かを誘いたいなら、友達にしたほうが気楽に観られそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『高速道路家族』チョン・イル/キム・スルギ ほか

子どもが2人登場するうち、特にお姉ちゃんの状況については共感要素が多いと思います。子どもの目線では、本作に出てくる大人達はどう見えるでしょうか。お手本になる部分と、悪いお手本の部分の両方があります。どんな大人になりたいか観ながら考えてみてください。

映画『高速道路家族』チョン・イル/キム・スルギ ほか

『高速道路家族』
2023年4月21日より全国順次公開
AMGエンタテインメント
公式サイト

© 2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP