REVIEW

護られなかった者たちへ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『護られなかった者たちへ』佐藤健/阿部寛

通常なら、連続“餓死”殺人事件というキーワードからサイコキラーなどが登場するのかなとイメージしてしまいますが、本作ではそれが社会問題と繋がっていて意外性があり、見応えがあります。展開を追っていく上で、この話がどうやって連続殺人事件に繋がっていくのだろうと考えながら観て、不可解な部分にこそ本作で取り上げている社会問題の解決の難しさがうかがえます。ネタバレになるので具体的には書きませんが、その背景にはいろいろな立場の人達の事情があり、それが複雑に絡み合って一筋縄ではいかない点で大きな葛藤を余儀なくされ、それぞれに尋常ではない心労があるのだなと伝わってきます。
また、事件を追うだけのストーリーではなく、大きな喪失を抱えた人達がいろいろな思いに苦しみながら日々を過ごしている様子も描かれており、この事件によってお互いの人生が交錯していくことで少しだけ前に進める希望を見出す姿には共感できます。
瀬々敬久監督のもと、佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都、永山瑛太、緒形直人といった錚々たる実力派キャストで作られており、リアリティも充分です。いつ何が起きてもおかしくない時代で生きる私達にとって他人事ではない問題を描いているので、まずはこれを機に本作で取り上げられている問題への関心が高まると良いなと思います。

デート向き映画判定
映画『護られなかった者たちへ』阿部寛/林遣都

正直かなり重い内容でロマンチックなムードになるような映画ではありませんが、私達が住む日本で起きている問題を描いているので、これから長く一緒にいようと考えているカップルは特に、こういった現実を映画で一緒に観ると、人生観、価値観を改めて考えるきっかけにできるのではないでしょうか。劇中でもそれぞれのキャラクターに違った背景や思いがあるのと同じで、2人の感想や意見も異なるかもしれませんが、意見を交わすことでお互いの価値観をもっと知ることができると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『護られなかった者たちへ』佐藤健

キッズにはまだ難しい内容ですが、小学校高学年以上なら理解できると思います。劇中にも重要な役柄で子どもが登場するので、皆さんも同じ目線で観られるのではないでしょうか。本作で扱われている社会問題については、実際に皆さんの周りでも起こっていることです。今はその状況になっていなくても、そういった現実、社会の仕組みを知ることは無駄にはならないので、鑑賞後はそのことについて調べてみるのも良いと思います(ネタバレになるので敢えて具体的な名称は書かずにおきます)。

映画『護られなかった者たちへ』佐藤健/阿部寛/清原果耶/倍賞美津子/吉岡秀隆/林遣都/永山瑛太/緒形直人

『護られなかった者たちへ』
2021年10月1日より全国公開
松竹
公式サイト

© 2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『人はなぜラブレターを書くのか』綾瀬はるか 人はなぜラブレターを書くのか【レビュー】

タイトルから想像する範囲を超える、深い人間ドラマが描かれている本作は、実話を基にして…

映画『君と僕の5分』シム・ヒョンソ/ヒョン・ウソク 『君と僕の5分』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『君と僕の5分』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『フィフス・エステート:世界から狙われた男』ベネディクト・カンバーバッチ 未公開映画活性課ハ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『五月の雨』安川まり 『五月の雨』【レビュー】

本作は、DV被害者の実状を、ドキュメンタリーにドラマを織りまぜた構成で訴えかけています…

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン 大丈夫、大丈夫、大丈夫!【レビュー】

不幸な状況が前提とされているにもかかわらず、ユーモアに溢れ…

映画『OCHI! -オチ-』ヘレナ・ツェンゲル ヘレナ・ツェンゲル【ギャラリー/出演作一覧】

2008年6月10日生まれ。ドイツ出身。

映画『炎上』森七菜 炎上【レビュー】

日本の都会のど真ん中にいるストリートチルドレンの日常を描いた作品…

映画『29歳からの恋とセックス』グレタ・ガーウィグ 未公開映画活性課ナ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『ハムネット』ジェシー・バックリー ハムネット【レビュー】

REVIEW『ハムネット』という響きから、もしかしてあの名作に何らかの関係があるのかもしれ…

映画『終点のあの子』南琴奈 南琴奈【ギャラリー/出演作一覧】

2006年6月20日生まれ。埼玉県出身。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『人はなぜラブレターを書くのか』綾瀬はるか
  2. 映画『五月の雨』安川まり
  3. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン
  4. 映画『炎上』森七菜
  5. 映画『ハムネット』ジェシー・バックリー

PRESENT

  1. 映画『君と僕の5分』シム・ヒョンソ/ヒョン・ウソク
  2. 映画『オールド・オーク』デイヴ・ターナー/エブラ・マリ
  3. 映画『ミステリー・アリーナ』唐沢寿明
PAGE TOP