REVIEW

室町無頼【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『室町無頼』大泉洋

REVIEW

直木賞を受賞した垣根涼介著「室町無頼」を映画化した本作の舞台は室町時代。主人公の蓮田兵衛(大泉洋)は、大飢饉と疾病で多くの死者が出ている状況を目の当たりにしていました。一方、身寄りのない才蔵(長尾謙杜)はひょんなことから兵衛に拾われます。そして、共に歩む道中で才蔵は兵衛の人柄を知っていきます。

映画『室町無頼』大泉洋/長尾謙杜

原作を読んだ方や日本史に詳しい方はさておき、蓮田兵衛が何をした人物かは本作を観て知っていただきたいので、ここでは敢えて書かずにおきます。映画公式資料によると、蓮田兵衛は「群書類従 新撰長禄寛正記」に名前が登場するものの、詳細は記されていない人物のようです。ただ本作で描かれる蓮田兵衛というキャラクターは何ともカッコ良くて、本作の宣伝で謳われている「大泉洋史上最高にカッコいい男」という表現にも納得です。

映画『室町無頼』大泉洋

一方、堤真一が演じる骨皮道賢は、「同時代史料からある程度、彼の動向が復元可能」だとされています。蓮田兵衛と骨皮道賢は独特な立ち位置にあり、2人のユニークな関係性によって本作はドラマチックになっています。

映画『室町無頼』長尾謙杜

さらに特筆すべきは、長尾謙杜が演じる才蔵というキャラクターの魅力です。才蔵の修業パートは、まるで『ベスト・キッド』のようです。長尾謙杜の演技とアクションの才能にも目を見張るものがあります。また、柄本明が演じる唐崎の老人や、武田梨奈が演じる超熙も印象的です。

映画『室町無頼』阿見201

本作は、格差社会、政治不信等、現代にも繋がるテーマを描いているので、時代劇といえども身近な感覚で観られます。アクションにもこだわりが見え、エンタテインメント性も抜群です。大泉洋を主演に据えたことが、人情ものとしての見応えにも功を奏しています。時代劇を普段観ないという方にも観ていただきたい1作です。

デート向き映画判定

映画『室町無頼』大泉洋

ロマンチックな展開はチラッとありつつ、自分達に当てはめて観られる設定ではないので、逆にデートでも観やすいと思います。日本史に詳しい方とそうでない方で印象は異なる可能性はありつつも、そもそも蓮田兵衛はあまり知られていない人物なので、誰でも新鮮な目線で観られるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『室町無頼』大泉洋/堤真一

実在の人物として登場する蓮田兵衛と骨皮道賢は、学校の授業では出てこないかもしれませんが、本作で描かれる出来事を知ると、より室町時代の背景が頭に入り易くなりそうです。観た後に史実と照らし合わせてみると、勉強にもなって一石二鳥ですね。もちろん、純粋にエンタテインメントとして観ても楽しめます。

映画『室町無頼』大泉洋/長尾謙杜/松本若菜/柄本明/北村一輝/堤真一

『室町無頼』
2025年1月17日より全国公開
PG-12
東映
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2016 垣根涼介/新潮社 ©2025『室町無頼』製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「室町無頼」垣根涼介 著/新潮社
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻【レビュー】

REVIEW政治的手腕を発揮しながらも、暴君としてイギリス史に悪名を刻んだヘンリー8世には…

映画『聖なるイチジクの種』ソヘイラ・ゴレスターニ/マフサ・ロスタミ/セターレ・マレキ 聖なるイチジクの種【レビュー】

REVIEWイランでは2022年に、ある若い女性がヒジャブ(髪の毛を覆う布)を付けておらず…

映画『コメント部隊』ソン・ソック コメント部隊【レビュー】

情報社会になった現代、大きな組織による世論操作が行われているのではないかと…

映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』キーラン・カルキン キーラン・カルキン【ギャラリー/出演作一覧】

1982年9月30日生まれ。アメリカ出身。

映画『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー 『ドライブ・イン・マンハッタン』クリスティ・ホール監督インタビュー

ダコタ・ジョンソンとショーン・ペンの2人芝居で魅せる『ドライブ・イン・マンハッタン』で監督、脚本を務めたクリスティ・ホールさんにオンラインでインタビューをさせていただきました…

映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン 愛を耕すひと【レビュー】

イダ・ジェッセンによる史実に基づく歴史小説“The Captain and Ann Barbara(英題)”を原作に…

映画『嘘喰い』白石麻衣 白石麻衣【ギャラリー/出演作一覧】

1992年8月20日生まれ。群馬県出身。

映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』来日スペシャルレッドカーペットイベント:ティモシー・シャラメ ボブ・ディランの音楽がいかに僕にインパクトを与えたかわかるはず『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ来日

第97回アカデミー賞8部門にノミネートされている『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』でボブ・ディランを演じたティモシー・シャラメが来日…

映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー 『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ロングレッグス』トークイベント付き試写会 5組10名様ご招待

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ ブルータリスト【レビュー】

タイトルになっている“ブルータリスト”は「残忍な」という意味の単語ですが、“ブルータリズム”と呼ばれる建築様式にもかけて付けられていると考えられます…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

REVIEW

  1. 映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ
  2. 映画『聖なるイチジクの種』ソヘイラ・ゴレスターニ/マフサ・ロスタミ/セターレ・マレキ
  3. 映画『コメント部隊』ソン・ソック
  4. 映画『愛を耕すひと』マッツ・ミケルセン
  5. 映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ

PRESENT

  1. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  2. 映画『TATAMI』アリエンヌ・マンディ
  3. 映画『フライト・リスク』マーク・ウォールバーグ
PAGE TOP